気まぐれな吹雪
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第一章 平凡な日常
34、雪合戦でもしようじゃないか
みーどりたなーびくーなーみーもーりーのー
だーいなくしょうなくーなーみが・いいー
「その歌好きか?」
「うん!」
今、並中の校歌を歌っていたのはコスモだ。
恭からの連絡が来る度にこの着メロが鳴るもんだから、覚えちまったらしい。
結果、気に入ってしまい、当然のように歌える。
はぁ、リング争奪戦辺りのヒバードと歌バトルさせてぇ。
『みーどりたなーびくーなーみーもーりーのー』
あ、メール来た。
〈Dear 要
From 恭
仕事が溜まってる。今すぐ来て〉
……今日って日曜だよな?
「かなねぇ、どうしたの?」
「ああ、うん。呼び出しがかかって学校に」
「僕も行きたい!」
「せめて台詞は最後まで言わせてな?」
〈Dear 恭
From 要
了解。んで、今世話見てる子供がいるんだが……〉
『みーどりた(ピッ』
正直に言おう。
着メロがウザい。
あと返信早すぎ。
〈Dear 要
From 恭
仕方ないね。絶対条件として大人しくしていること〉
「だ、そうだぜ」
「わかった!」
†‡†‡†‡†‡†‡
「よっ要!」
「霜月さん!? どーしてここに!?」
「てめぇ、何しに来やがった!」
「あら、ごきげんよう」
…………今日って日曜だよな?
「どうしてこうなった……」
「どうだ霜月、やってくか?」
イチゴ牛乳(パック)をくわえながら学校についたオレは、雪合戦をしている沢田たちと出くわすと言う悲劇に遭った。
沢田側のいつもの面子と、キャバッローネが揃っている。
はぁ……最悪。
「悪ぃがパス。恭に呼び出されてるんでな。コスモ行くぞ……って、あれ?」
いなくなってる?
あいつ、どこ行きやがった?
『僕も混ぜて~』
ブフッ
「おいコラ!」
いつの間にか、コスモは向こうの面子に混じっていた。
コノヤロ、驚きすぎて吹いたじゃねぇか。
「……沢田」
「は、はい!」
「あいつも雪合戦に混ぜてやれ。
ただし!
怪我させたらぶっ飛ばす」
「は、はいぃっ!」
全く、子供の好奇心は羨ましいぜ。
ってオレにもあんな時期はあったけどな。
「待ってください」
「何の用だ長谷川」
「彼は誰ですか?」
「お前に教える必要があるか? 強いて言えば、坊っちゃんだ」
それだけ言うと、オレはその場を走り去った。
恭に咬み殺されたくないし、こいつとこれ以上喋りたくない。
そんなオレを出迎えてくれたのは、暖かい応接室と、非情にも机に積まれた書類と言う名のエベレスト。
ウソだろ?
なんだよこの量は。
「これ全部やれと?」
「いつも逃げる誰かさんのお陰で溜まっていてね」
「うっ……」
自業自得?
うん、知ってる。
「それに今日は雪だろう? そのせいで色々あるらしいよ。ところで、君が言っていた子供は?」
「実はだな……」
オレは外の出来事を話す。
すると、恭は謎の笑みを見せて立ち去った。
嫌な予感しかしないが、とにかく今のうちにできる限り書類を片す。
しばらくして恭は帰ってきたが、その直後、外で爆発が起こった。
…………え?
「ちょっコスモ!?」
慌てて飛び出す。
ちょっと待てよ、何をどうやったら雪(つかグラウンド)にクレーターができるんだよ。
て言うかあのガメラ擬きなんだよ。
あれか、エンツィオの巨大化かチクショー。
「コスモ、いるか!?」
「かなねぇ、こっちだよ!」
後ろから聞こえてきた声。
そこにはフゥ太とコスモがいた。
あー、二人の身長差がすごい……。
まあ、9歳と約4歳だもんな。
そりゃ、未来編でさえユニちっちゃいもんな。
「大丈夫か!?」
「うん、フゥ太お兄ちゃんが雪で壁作ってくれたから」
「そっか……。ありがとな」
「ううん。だってコスモ君は要姉の大切な人ランキングTop3に入るからね!」
さらっと何をランキングしてんだお前は。
つーか、いつの間に仲良くなってんだし。
「ま、無事ならいっか」
満足したらしいコスモを連れて、オレたちは家に帰った。
ん、書類?
知るか。
後日、何故かコスモではなくオレが風邪を引いてしまった。
復活したその日には恭に思いっきり咬み殺されたのは言うまでもなく。
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