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ペルソナ4~覚醒のゼロの力~

作者:Rabbit
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4/12 新生活

 
前書き
ちょっと主人公がロリコンっぽいかも…。

気にせんで下さい。 

 
翌朝、変な夢を見たせいで目が覚めてしまった。

時計を見ると、6時前。早いな。たまには早起きも良いだろう。

事前に受け取っていた新しい制服に身を包み、1階に下りる。

・・・誰も起きてないか。叔父さんは帰って来てるのかな。

いつ帰るかは分からないって言ってたけど。

何か冷蔵庫に入ってるかな。・・・・・・。

静かに閉める。・・・嫌な現実だ。

もう1度開けるが、当然入っている物は変わらない。

ほとんど入っていない状況だ。簡単な物しか作れないか。

トーストとベーコンエッグ、コーヒーぐらいかな。

昼飯とかどうするかな。俺は適当でいいけど、菜々子ちゃんはどうするんだ。

何かあるもので適当に作るか。




両親は家にいないことも多かったから、自然と俺は料理するようになった。

そんなに難しいものは無理だけど。

先に昼食作りを始め、そろそろ出来上がる時間になると朝食も準備する。

朝食が完成したところで、菜々子ちゃんが起きてきた。

「おはよう」
「あっ、おはよう・・・」
「ご飯出来てるよ。顔洗っておいで」
「うん・・・」

菜々子ちゃんが顔を洗っている間に、俺は自分にコーヒーを入れる。

顔を洗ってきた菜々子ちゃんが椅子に座ると、出来上がった朝食を置いて行く。

「ありがとう・・・」
「菜々子ちゃん、コーヒーは?」
「牛乳」

俺は牛乳を注いだコップを菜々子ちゃんの前に置くと、俺も椅子に座る。

「これ、お兄ちゃんが作ってくれたの?」
「そうだよ。美味しい?」
「うん、美味しい」

菜々子ちゃんは俺の作ったベーコンエッグを食べ、笑顔を見せてくれる。

やっぱり女の子の笑顔は良いね。可愛いからね。

「お父さんは仕事?」
「ジケン、あったから。帰って来ないよ」

帰って来ないか。大変だな。

「今日から学校だよね?途中まで同じ道だから…一緒に行こう」

どことなく距離感があるな。さすがに、昨日今日で仲良くなるのは無理か。

それから菜々子ちゃんと鮫川河川敷近くまで一緒に行くと、菜々子ちゃんは別の道だからと別れた。

しばらくは1人だったが、少しずつ周りにも制服を着た学生がチラホラと出てきた。

「よっ…とっ…とっとぉ…」

声がして振り返ると、傘を差して自転車に乗る男子生徒がフラフラしながら走っていた。

まだまだだな。

予想通りと言うべきかあっさり転んでしまい、股間を強く打ったようだった。

「う…。おごごご…」

あれは痛い…。

よく見たら自称主人公の相棒、花村 陽介(はなむら ようすけ)じゃないか。

災難な事故に同情していると、ふと思いつき携帯を取り出す。

「…」

カシャッ、という携帯のシャッター音が鳴る。…ぷっ。

……良い絵が取れた。

彼はそっとしておくとして、学校に急ごう。






担任は、やはりモロキンだった。

一縷の望みに賭けたんだが、ダメだったか。

何やらほざいているが、すべてスルー。スルーはお手の物だ。

そこからは、特に言うことは無い。

何やら嫌味を言っているが、すべてシャットアウト。

思わず欠伸が漏れる。

「センセー。転校生の席、ここでいいですかー?」

原作キャラ、里中 千枝(さとなか ちえ)の助け船によってようやく終わった。

カンフーが好きな、蹴り技が主体の子だったな。

ふむ。実際に見てみると、結構可愛いぞ。

「えっ!?」
「えっ?」
「か、かわ、可愛い…!?」

気付いたら、かなり顔が接近していた。

俺がぐっと近づいたら、キスも出来そうだ。さすがにしないぞ?

って、あら?

声に出してた?顔を真っ赤にして、千枝は慌てふためいている。

…ごまかそう。

「これからよろしく
「えっ!?あっ、うん…。よろしく…」

よし、成功。

千枝の後ろの席の雪子も顔を赤らめている気もするが、スルーだな。

で、そこからは授業。

俺が得意なのは、文系。理数系も出来なくはないが、文系の方が得意だ。

これは作者も同じ。メタ発言、失礼。








最後の授業も終わり放課という時、1本の校内放送が流れる。

指示があるまで、下校したらいけないらしい。

モロキンは最後に俺たちに帰らないよう言い残し、教室を出て行った。

何するかな…。今晩の献立でも考えるか。

何かサイレンが聞こえる気もするが、関係無いし。

天井を見つめてボーッとしながら考える。

そして、再び放送が。

事件があったからさっさと帰れ、ということらしい。

周りの生徒は何か興奮しだすし、アホか……。

帰ろ。

鞄を持って席を立つと、千枝が雪子を連れて話しかけてきた。

「あれ、帰り一人?よかったら、一緒に帰んない?あー、あたし里中 千枝(さとなか ちえ)ね。隣の席なのは知ってるでしょ?」
「知ってる」
「んじゃ、ヨロシク。で、こっちは天城 雪子(あまぎ ゆきこ)ね」
「あ、初めまして…。何か、急でごめんね」

知ってますとも。

雪子も雪子も可愛いな。あっちには居ないタイプだ。

「のぁ、謝んないでよ。あたし、失礼な人みたいじゃん。ちょっと話を聞きたいなーって、それだけだってば」
「何が聞きたいのか知らないけど、帰らない?」

2人と一緒に帰ろうとした時、陽介が近付いてきた。

何か持っているな。DVDか?

「あ、えーと、里中…さん。これ、スゲー、面白かったです。技の繰り出しが流石の本場っつーか…」

やけにどもりながら喋るな。

何かやらかしたのか。

「…申し訳ない!自己なんだ!バイト代入るまで待って!じゃ」

そういうと、陽介は持っていたDVDを千枝に渡して、そそくさと帰っていこうとする。

やっぱりDVDだったのか。

「待てコラ!貸したDVDに何した?」

だがまあ、あれだけ怪しい挙動の陽介を逃がすはずもなく、千枝の飛び蹴りが炸裂。

「どわっ!…おごっ!」

飛び蹴りによって吹っ飛んだ陽介の股間を、机の角が強打。

あれは痛いよ。

「何で!?信じられない!ヒビ入ってんじゃん!あたしの“成龍伝説”がぁぁぁ……」

横から覗いてみると、確かにDVDには致命的ともいえるくらいのヒビが入っている。

こりゃダメだな。踏んだのか?

「俺のも割れそう……。つ、机のカドが、直に……」

男にしか無い2つの宝玉。痛いよなー、あれは。

雪子と千枝はよく分からない顔をしている。あの痛みは、男にしか分からんだろう。

≪作者は、股間に後輩が蹴ったサッカーボールが当たったことがあります。≫

「だ、大丈夫?」
「ああ、天城……。心配してくれてんのか……」
「いいよ、雪子。花村なんか放っといて帰ろ」

千枝はDVDを背中のリュックに入れると、雪子と一緒に教室を出て行った。

俺は陽介の肩を叩き、一言。

「ドンマイ」

校門では、死んだフナみたいな目をした男子生徒が、雪子をいきなりデートに誘ってきた。

いや、あれはさすがに無いわ。

いきなり呼び捨てで、いきなりお誘いって。

俺も心の中では下の名前で呼んでるけど、実際に呼ぶ時は名字で呼ぶぞ。

常識じゃねぇか。

3人で下校していると、千枝から何でこの町に来たのかを聞かれた。

隠すことでもないし、正直に教える。

「そっか。親の仕事の都合なんだ。もっとシンドイ理由かと思っちゃった、はは」

どんな理由を想像していたんだ。

かなりダークなことを想像してたんだろうな。

「ここ、ほんっと、なーんも無いでしょ?そこが良いトコでもあるんだけど、余所の人に言えるようなモンは全然」
「俺はこういうところ、好きだよ」
「意外。都会から来てるから、こういうところは苦手かと思った」

他の奴らならそうかも。

でも、俺は不思議とそうでもない。

「あ、八十神山から採れる…何だっけ、染め物とか焼き物とかは、ちょっと有名。ああ、あと、雪子んちの“天城屋旅館”は普通に自慢の名所!」
「え、別に…ただ古いだけだよ」
「“隠れ家温泉”とかって、雑誌とかにもよく載ってんじゃん。この町で一番立派な老舗旅館でね、雪子はそこの、次期女将なんだ。雪子んち目当ての観光客とかも来るし、この町それで保ってるよね、実際」
「…そんなことないけど」

俺の気のせいか。

何となく、旅館のことになると不機嫌そうっていうか…。

あんまり自慢に思ってるわけでも無さそうな感じだ。

まぁ、人それぞれの悩みは持ってるよな。人間なんだから。

「ね、ところでさ。雪子って、美人だと思わない?」
「ちょっと、またそういうこと……」
「可愛いと思うよ」
「えっ!?いや、あの……」

あれ?

またって言うくらいだから、言われ慣れてると思ったんだけどな。

「でも、里中さんも可愛いよ」
「のぇ!?い、いや、あたしは別に…!も、もう!そういう冗談はいいから!」

本心なんだけど…。

「が、学校でも雪子はすごいモテんのにさ、彼氏ゼロ。おかしくない?」
「や、やめてよいきなり。ぜ、全部ウソだからね、モテるとか、彼氏ゼロとか!あ、違った、えっと、違うから!彼氏とか要らないし。もう…千枝!」
「ははは、ごーめんごめん。だって、せっかくのなにノリ悪いんだもん。…あれ、何だろう?」

千枝の視線の先を見ると、何やら人だかりが出来ていた。

近付いてみると、警官が立ち規制線が張られている。

事件か。サイレンはこの事件か。

人だかりの中に居る主婦の人たちの話し声が聞こえてくる。

高校生が早退したやら、アンテナに引っ掛かってたやら、見たかったやら、死体はもう降ろされたやら。

嫌だね、まったく。遺族や被害者の気持ちを無視した、ただの野次馬。

でも、こんな長閑な町でもやっぱり事件はあるか。

「え…今なんて?死体!?」

視線を規制線の内側へとやると、丁度叔父さんが近付いて来ているところだった。

「おい、ここで何してる」
「事件?」
「ああ、まあ…ちょっとな。ったく、あの校長…。ここは通すなって言っただろうが…」

確かに、事件現場の近くを通らせるのは嫌だろうな。

校長がボケてたみたいだけど。

「知り合い?」
「コイツの保護者の堂島だ。あー…まあその、仲良くしてやってくれ。とにかく3人とも、ウロウロしてないでさっさと帰れ」

叔父さんが戻ろうと踵を返した時、若い刑事が大慌てで走って来ると側溝に嘔吐した。

汚なっ!

まあ、そんなにグロかったってことか。

「足立!おめえはいつまで新米気分だ!今すぐ本庁帰るか?あぁ!?」

あぁ、ってヤクザじゃないんだから…。

そう見えなくもない外見だけど。

「す…すいませ…うっぷ」
「ったく、顔洗って来い!すぐ地取り出るぞ!」

地鶏?…ああ、地取りか。

地取(じど)りは、警察用語で周辺への聞き込みのことだ。

今から地取りってことは、現場検証が終わったところかな?

「さっきの校内放送って、これのこと…?」
「アンテナに引っ掛かってたって…。どういうことなんだろ…」
「今日はもう帰ろう。犯人が近くに居るかもしれないし」
「そう…だね。雪子、ジュネスは今度にしよう」
「うん…」
「じゃ、私たちここでね。明日から頑張ろ、お隣さん!」

ちょっと顔を青くした2人を見送った。俺もまっすぐ家に帰ることにした。

あっ、送ればよかったかな。…まだ明るいから、大丈夫かな。

「おかえり」

玄関の引き戸を開け、家の中に入ると菜々子ちゃんがリビングから走ってきて出迎えてくれた。

…和むね。

「今、ご飯作るね」
「作れるの?」
「難しいのは無理だけどね」

って言っても、買い物に行ってないから冷蔵庫にはたいしたものは無い。

…オムライスかな。

「菜々子ちゃん、オムライスでいい?」
「オムライス!?菜々子、オムライス大好き!」

それから一緒にオムライスを作り、その後は風呂に入って寝た。

さすがに風呂は一緒に入ってない。当然だけどな。

オムライスを美味しいと言ってくれた時は、本当に嬉しかった。

妹って良いね。
 
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