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八条学園怪異譚

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第四十六話 秋のプールその七

 その姿勢でだ、こう言ったのである。
「お嬢ではなくな」
「まあまあ、自己紹介の代理ってことでね」
「全く、しかしじゃ」
「そう、この娘達がね」
 茉莉也は今度は二人を出て指し示しながら半魚人に話した。
「私の可愛い後輩達なのよ」
「セクハラはしておらんな」
 半魚人は茉莉也にこのことを確認した。
「そうだな」
「いきなり言うわね」
「お嬢は女の子が大好きだからな」
 茉莉也がわかっている言葉だった、彼女のその人間性を。
「そういうことはするでないぞ」
「それがしてるから」
「お酒飲まれるといつもなのよ」
 二人はその半魚人に困った顔で話した。
「先輩って本当にセクハラ好きで」
「ちょっと油断すると」
「だからスキンシップなのよ」
 あくまでこう言う茉莉也だった、この辺りは平行線と言っていい。
「愛情表現じゃない」
「愛情表現じゃないですから」
「おかしな感情感じますから」
「身体狙ってますよね」
「女の子同士でも」
「だから、女の子同士ならいいじゃない」
 百合趣味もだ、茉莉也はあくまで主張する。あくまで言うのだった。
「そうでしょ」
「よくないですから、全然」
「私達はそういう趣味ないですから」
 二人もこう返す、この話は平行線のままだった。
 それでだ、半魚人はその三人にこう言うのだった。
「まあその話はそれで終わってな」
「ええ、泉を探しに来たけれど」
「ああ、あそこか」
 半魚人はプールサイドの端の方に顔をやった。そこにはそのプールに入る前に入るシャワールームがある。そこに顔をやって話す。
「あそこはプールに入る前に潜るからな」
「泉だとしたら有り得るわよね」
「うむ、確かにな」 
 出入りするその場所なら、というのだ。半魚人も茉莉也の言葉に頷く。
「あそこはな」
「ええ、だからこの娘達案内したのよ」
 ここにだというのだ。
「泉探してるからな」
「そうか、ではな」
「まずはあの娘達が泉かどうか確かめるから」
「それからだな」
 また話す半魚人だった、そして言うことは。
「飲むか」
「ああ、胡瓜あるからね」
「あとお魚も」
 半魚人と一緒に楽しんでいる河童とキジムナー達もここで二人に言う。
「お酒もね」
「だから楽しみにしていてね」
「ええ、じゃあね」
「後でご馳走になるわね」
「うん、やっぱりこうして皆で楽しむのがね」
「一番楽しいからね」
 二人も応える、そうしてだった。
 愛実と聖花はそのプールサイドの端にあるシャワールームに向かった、そこは一旦下まで降りて上にあがる場所だった。そこには今は水はないが。
 その場所を見下ろしてだ、愛実が聖花に話す。
「ここでじっくりと洗ってね」
「そうそう、プールに入る前に身体を綺麗にして入るからね」
「ここが一番泉らしいわよね」
「通過する場所でね」
 それにだった。
「身体も綺麗にするから」
「そうよね」
「じゃあ若しかしたらここが」
 愛実も顔が変わった、真剣な面持ちになる。 
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