八条学園怪異譚
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第四十六話 秋のプールその六
「ハリウッド系は皆いるから」
「じゃあ吸血鬼もですか」
「あと狼男も」
「フランケンシュタインとミイラ男もね」
彼等もいるというのだ。
「実はいるのよ」
「外国のことも勉強していてものもあるからですね」
「だからですね」
二人は何故海外からの妖怪がいるのかはこのことから察した。
「それで、ですね」
「いるんですね」
「そうよ、そもそも河童もね」
日本に昔からいる彼等にしてもだというのだ。
「あの人達も中国から来たっていう説があるから」
「あっ、そうなんですか」
愛実はその話を聞いて少し驚いた声をあげた。
「河童さんって」
「そうなのよ、実はね」
「そうだったんですか」
「狐さん達の試験はそのまま中国のものだしね」
科挙をそのまま踏襲している、それで階級を上げていくのだ。
「九尾の狐さんだってね」
「あの殺生石のですね」
「あの石になった」
愛実だけでなく聖花も言う、このことについては。
「そういえばあの狐さんは中国から来たんですよね」
「中国でもインドでも悪事を働いていたって」
「そうよ、あの狐は悪い狐だって言われているけれどね」
その狐のことは茉莉也も知っている、それで二人に話すのだ。
「悪事の限りを尽くしてね」
「遂にですね」
「日本でああなったんですね」
「そうよ、それでプールね」
「はい、今から行くですね」
「そこですね」
「泉の候補地はね」
そこはだ、何処かというと。
「プールに入る前のね」
「ああ、身体を洗うですね」
「プールサイドのシャワーですね」
「そうよ、そこみたいよ」
こう二人に話すのだった。
「どうやらね」
「それは誰から聞いたんですか?」
聖花は茉莉也にそのことを問うた。
「一体」
「ええ、天狗さんからね」
神社にいるこの妖怪から聞いたというのだ。
「大天狗さんね」
「あの人からですか」
「そう、あの人から聞いたのよ」
そのことをだというのだ。
「中等部のプールの泉の候補地はね」
「そこなんですね」
「じゃあそこに行ってみればいいんですね」
二人も茉莉也の言葉に頷く、そしてだった。
三人はプールに着いた、するともうそこのプールの中とプールサイドの両方でどんちゃん騒ぎをしていた、その騒いでいる顔ぶれはというと。
河童にキジムナー、それにだった。
そのまま映画に出て来た様な全身鱗で魚と人間の合いの子の様な顔の妖怪がいた、手の指と指の間にも水かきがある。
その妖怪がだ、河童やキジムナー達と盃を交えさせていた。茉莉也はその彼の傍に来て二人に紹介した。
「この人がよ」
「半魚人さんですね」
「そうなんですね」
「そうよ、この学園の住人でもあるから」
他の妖怪や幽霊達と同じく、というのだ。
「宜しくね」
「それはわしが言う言葉だぞ」
酒を飲んでいる半魚人は茉莉也に顔を向けて言葉を返した、プールサイドの上に胡座をかいて飲んでいるところだったのだ。
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