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ヘタリア大帝国

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TURN104 謎の女その四

 東郷はにこりともせずにこう秋山に言うのだった。
「いいか、相手の実力は本物だ」
「はい、だからですね」
「油断は出来ない」
 例え何があろうともだというのだ。
「慎重にいこう」
「ではここは」
「密集していても敵の動きに翻弄されてそのうえで集中攻撃を受ける」
「だからですjね」
「艦隊ごとに別れてだ」
 そのうえでだというのだ。
「相互に連携出来る状況で立体的に陣を組む」
「立体的ですか」
「一つの艦隊が攻撃を受けても相互に援護出来る様にする」
 これが東郷が今考えている戦術だ。
「それをする」
「わかりました、では」
 枢軸軍はすぐに布陣させた、艦隊ごとに別れそれが上下、前後左右に助け合う様にして布陣していた。それはまるでカバラの定理だった。
 その布陣で海賊達に対峙する、その陣を見てだった。
 女はここでも不敵に笑った、そして言うことはは。
「考えたわね、これは」
「中々攻めにくい陣ですね」
「敵の艦隊を一つ攻撃してもね」
 それでもだとだ、メイドに対して言うのだ。
「周りの艦隊が一斉に攻撃してくるわ」
「こちらが攻撃を仕掛けたなら」
「そうしてくるから」
 だからだというのだ。
「ここは用心が必要ね」
「しかし攻撃はされますね」
「勿論よ」
 それはするというのだ。
「必ずするわ」
「そうですか、それでは」
「私のやり方でいくわ」
「お嬢様の、ですね」
「それでいくわ、いいわね」
「わかりました、それでは」
 マイドはこれといって意見をせずに微笑んで頷くだけだった、そして。
 そのうえで布陣を組み枢軸軍に向かう、十個艦隊で一個艦隊を攻撃し。
 即座に離脱する、そうしてだった。
 こちらはダメージを与え相手の攻撃はかわす、そうした蜂の様に巧みに攻撃を繰り返し。
 それを何度か繰り返して急に反転した。
「撤退か」
「その様ですね」
「随分と心憎いやり方で攻めてくれたな」
 東郷はその彼等を見ながら言う。
「これはな」
「そうですね、この布陣にああして攻めるとは」
「少しない」 
 こう言ったのである。
「ちょっとな」
「確かに、ですが」
「御前も思ったか」
「はい、やはりあの動きは」
 秋山も怪訝な顔で言う。
「何処かで見ました」
「実戦ではなくともな」
「キャロル長官の用兵に似ています」
 まずはキャロルを例えとして出す。
「ですがそれ以上に洗練され完璧にした様な」
「そうした采配だな」
 キャロルは用兵にも定評がある、伊達に自ら艦隊を率いてそのうえで戦っているのではない。それで秋山も言うのだ。
「さらに優れている」
「例えるなら姉か」 
 東郷は言った。 
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