ヘタリア大帝国
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TURN104 謎の女その三
「敗れる、まずな」
「ではどうされますか」
「ここで戦力を分散させては駄目だ」
東郷はその戦術は愚とした。
「連合軍の主力を一気に倒すぞ」
「まずは彼等ですね」
「あと一押しだ、それで攻めてだ」
「まずは彼等を退け」
「それから海賊だ」
彼等の相手をするというのだ。
「そうしよう」
「わかりました、それでは」
秋山は東郷の言葉に頷いた、そうして。
東郷の言葉通り連合軍に総攻撃を浴びせた、それはこれまでよりも遥かに強いものだった。
その攻撃で連合軍を押し切った、ジューコフも軍のダメージが五割に達したのを見て歯噛みして言った。
「こうなっては仕方がない」
「間も無く海賊が敵の後方を衝きます」
「それでもですか」
「無理だ、それでもな」
ジューコフは部下達にモニターに映る戦局を見つつ述べる。
今枢軸軍は我々を突破しようとしている」
「では突破してですか」
「そのうえで、ですか」
「突破し反転してだ」
枢軸軍は連合軍のソビエト軍とドクツ軍の間に入ろうとしていた、そこから反転してそれからだというのである。
「海賊達も正面から迎え撃つつもりだ」
「それはまた考えていますね」
「そこまで、ですか」
「そうだ、考えている」
こう言うのである。
「その場合我々はこれまで以上に攻撃を受ける、海賊達と共にな」
「ではここはですか」
「これ以上の損害を避ける為に」
「撤退する」
そうするというのだ。
「わかったな」
「わかりました、仕方ありませんね」
「それでは」
「海賊達にも伝えよ」
正規軍だけでなく協同してあたっている彼等にもだというのだ。
「共に撤退するぞ」
「わかりました」
海賊達にも連絡がいった、だが。
女は不敵に笑いそのうえでモニターに映るジューコフにこう言ったのだった。
「生憎ですが」
「撤退はしないというのか」
「我々は連合軍への協力者であります」
このことは確かだというのだ、だが。
「しかし指揮下にはありませんね」
「だからだというのだ」
「撤退だけでなく進軍も私の裁量で行わせて頂きます」
「いいのか、敵は強いぞ」
「そのことは承知しています」
彼女にしてもだというのだ、そのことは。
「ご心配なく、ですが」
「それでもか」
「必ずや連合軍のお役に立ちますので」
「我々に勝利をもたらしてくれるのだな」
「何があろうとも」
サングラスの奥から自信に満ちた笑みが見える、そこには一点の虚栄もない。
「そうさせて頂きます」
「ではだ」
「暫くお任せ下さい。閣下はそのまま撤退されて下さい」
「そうさせてもらう」
ジューコフも女の言葉に頷いた、そしてだった。
連合軍はチェリノブから撤退した、後に残ったのは海賊達だけだ。
数は逆転していた、枢軸軍の方が圧倒的になっていた、だがそれでも。
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