久遠の神話

「お金が手に入るのならね」
「それでいいか」
「流石に誰かを殺してまでお金持ちになるっていうのは」
　モラル、それが出ての言葉だった。
「私にしても不本意なんだよ」
「インモラルって訳じゃないんだな」
「大抵の人間にはモラルがあるからね」　
　サイコパスの人間も稀にいるがそうした人間はあくまで稀にしかいない、それで王も中田達に言ったのである、
「だからね」
「そうだよ、剣士でもね」
　戦い、それであったもだというのだ。
「戦わないでお金が手に入るなら最高じゃないか」
「何かあんたの場合はあれだな」
　中田は王自身の口からその考えを聞いて言った。
「戦いはあくまで金の為なんだな」
「その通りだよ」
「金が戦い以外で入るならか」
「それでいいよ」
　結局はそうだというのだ。
「何度も言うけれど私は剣士である以前に料理人だからね」
「それでだよな」
「戦わずｊに済みたいね」
　王はここでもこう言う。
「実際にね」
「だよな。それは俺も同じだよ」
「どうもこの戦いは戦わないに越したことはないって剣士が多いね」
「そうかもな、俺もだしな」
　そのことは中田もだった、中田も己の目的があるがそれでもそれが戦わないで適えられるならばと思っている。
　だから王のその言葉に頷き言うのだった。
「お互い戦わないで済めばいいな」
「そうだね」
「あんたの場合は他で金持ちになれば」
「もういいよ」
　実際にそうだというのだ。
「それで満足だよ」
「だよな。じゃあさっさと大金持ちになれよ」
「一刻も早くそうなりたいよ。何しろ子供の頃からお金のことばかり考えているから」
「守銭奴か？」
「拝金主義だよ」
　笑ってそちらだと自分で言う。
「言うならね」
「そっちか」
「そうさ。世の中お金だよ」
　全てはそこだというのだ。
「それがないとね」
「まあ一理あるな」
「今の世の中じゃね。お金がないのは命がないのと同じさ」
「極論とは思うけれどな」
「そうかもね。まあお金があればね」
　それならというのだ。
「それも戦わずに済むのならね」
「じゃあ願っておくさ」
　中田は海老のチリソースを食べながら王に対して言った、他にはモヤシと牛肉を醤油で味付けして炒めたものもある。豆腐や卵料理もあるが全て王が作ったものだ。
　その王にこう言ったのである。
「あんたが宝くじに当たってか」
「それでだね」
「大金持ちになる日が来るのをな」
「そうなったらね」
　王は笑顔のままで明るく話した。