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こんな私(俺)の物語

作者:金猫
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第八話 修行ですか応用ですか

 
前書き
お気に入り件数150件突破!
累計ページレビュー30000突破!
気づかない内にこんな数に・・・ありがとうございます!



長らくお待たせいたしましたが、ついに更新です! 

 
いえいえ、これでも一杯一杯ですよ。




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「修行しに山にいくわよ」

そんな突拍子もないことを、いきなり言わないで。


     少女移動中・・・・・・


「ひーひー・・・・・・」

「一誠、大丈夫かしら?」

山でいきなり合宿する事になった。準備しろって、いきなりできるか!まあ、スキマが使える私に忘れ物やらはたいした問題じゃないのだけれど。ああ、自然はいいわ。空気がおいしい。

「ほら、イッセー。早くしなさい」

私はスキマに荷物いれてるから、大丈夫。あまりにも重いものを持つ場合は、作用と反作用の境界を操ればいい。ホント。便利な能力ね。

「・・・あの私も手伝いますから」

「いいのよ、イッセーはあれぐらいこなさないと強くなれないわ」

それでもあれは、多いだろう。巨大リュックサック、一誠+部長+朱乃さんの荷物。修行の一環とはいえ、ありゃキツいだろうな。心の声は男にしないと、本当に染まりそうだ。

「部長、山菜を摘んできました。夜の食材にしましょう」

「・・・・・・お先に」

悪魔歴が長い二人は早いな。特に子猫は戦車(ルーク)だから。

「ほら、アーシアを守りたいのなら、頑張りなさい。一誠」

励ましくらい、いいだろう。

やっと別荘に着いた。お金もってんだな。


     時間経過・・・・・・


今、俺は二階にて、着替えを行っている。・・・・・・どんな服にしよう?普通ならジャージなど、動きやすい服装なんだろうが、実戦を考えると、普段の太極図や八卦が書いてある紫+白の非想天則の服がいいのか?
・・・格闘するからジャージだな。色は勿論紫。この修行の目標は、無限状態の維持。追尾性の弾幕、新しい境界の操作。
ん?部長が下にいった。さてと、

「さて、早速外で修行開始よ」

・・・・・・言われた・・・・・・。




 ~レッスン1木場と剣術修行~

「よっはっ」

「おりゃ!おりゃぁぁぁ!」

力一杯木刀を振る一誠、軽くいなす木場。力一杯振るったって当たるわけがない。ましてや素人。
バシッ!
また叩き落とされた。

「そうじゃないよ。剣の動きを見るだけじゃなく、視野を広げて相手と周囲も見るんだ」

体の動きは全身でする。全身を見れば、相手の動きを先読みすることが出来る。まあ、思考速度が相当速くないと無理だけど。

こんなナレーションしていたけど、私は境界を操っていた。名付けるなら、無限殺し。
有限と無限の境界の応用で、相手の無限を有限にする。これで不死も殺せる。

「ほら、まだまだ行くよ!」

え?飯も作れ!?部長、俺の仕事増えてない!?


 ~レッスン2 朱乃さんとの魔力修行~

魔力トレーニング。以前、砲撃を使ったので、霊力の代わりに魔力を使う感じで、あっさり魔力球はできた。魔力球は人それぞれの色がでる。アーシアは淡い緑色。では、俺は?正解は、

   何色でもない。

曖昧な色。本当に何色かわからない。あえて言うなら、カオス色?でも、色を変えようと思ったら、変えられた。なんなんだ。いくら俺がカオス(外も内も)な存在だからって。こんな曖昧な・・・・・・。
今は、七つの玉を、虹の七色にして、クルクル操っている。あとは、追尾性を持たせれば、簡易『夢想封印』が完成だ。・・・・・・悪魔が巫女の技使って良いのか?スペカルールがないから、俺が初めて考えた事になる。・・・・・・陰陽玉作ろうかなぁ。
魔力変換は、まったくと言っても良いほど、才能無かった。魔力弾が一番だ。・・・・・・衣玖なら雷出せそう。
あ、一誠が野菜の皮むきはじめた。あれがあの卑猥な技になるのか。・・・・・・タオル持っていこう。
・・・・・・なんか色々考えたな。


 ~レッスン3 子猫ちゃんとの組み手~

ドゴォ!
バキッ!
ズガン!

「巨乳なんて巨乳なんて巨乳なんて巨乳なんて・・・・・・滅びればいい・・・・・・!!」

完全に怨念混ざってる!そんなに妬ましいか!パルパルもビックリだよ!ただ、その怒りを自然にぶつけないで!

「当たって下さい。大丈夫です。一発で昇天させますから」

目のハイライト消して言うな!うわっ!危な!さっきから脳天やら心臓やら鳩尾やら急所ばかり狙ってくる!こんなに怖いとは!怒りでこんな怪力になるなんて!☆ぐまーもビックリだよ!

「潰れろ潰れろ潰れろ潰れろ!」

アグレッシブ過ぎだろ!今避けれているのは、高速思考のお陰。ゆかりんスペックマジ最高。

「的確に急所を撃ち抜き、悶えたところで人体的急所を殴打。これが撲殺ルートDEATH」

この子、殺しに来てるわ。あ!女口調が出ちゃった。テンパるとこうなる。

「点穴縛態・・・・・・!!」

どこで覚えた!?


 ~レッスン4 部長と~

部長の特訓は岩を背負って獣道を何十往復もすること。試しに作用と反作用の境界を操ってみた。修行にならない?いやいや、岩にかかる反作用を作用にしているんですよ。単純に計算して二倍。死ぬる。てか部長、一誠の上に座るの好きだな。

ヤバッ、脚が生まれたての小鹿見たいに・・・・・・。

「次は筋トレね。腕立て伏せ逝くわよ」

相変わらず字が違う!絶対わざとだ!
一誠の上に岩を置いた。重そうだなー。俺の近くにいると、重力増えるし。って部長。なぜ一誠の三倍は軽くあろう岩を持ってくるのですか?

「あなたは余裕がありそうだから、三倍よ」

いやいやいやいや!余裕なんて有りませんからね!?重力結界も使ってるから凄まじいですからね!疲労!

「大丈夫よ。あなた、素質あるから」

それは幼少の頃から鍛えてたからですよぉぉぉぉ!・・・・・・あれっ?でもゆかりんスペックだから素質最高レベルじゃん。

「イッセーと同じ時間で三倍こなしてね」

鬼だ!畜生!眷属なんかやめてやる!

・・・・・・まあでも、恩を仇で返すのは駄目だよな。


  少女苦行中・・・・・・


何とか終わった・・・・・・。キツイって。しかもこのあと、料理だと!?過労死しかねん。
山菜はおひたしに、牡丹肉は鍋に、魚は直の炭火焼きに、隣ではアーシアが一生懸命オニオンスープを作っている。
朱乃さんもやってたんだけど、途中から、

「私が居ると邪魔そうなので後は任せますね」

とか言って居間にいった。ちょっと待て!確かに速く料理してたけど早く休みたいからであって、仕事を奪う気では無かったんです!お願いです!ヘルプを!ヘルプをぉぉぉ!
・・・あっ、

「籃を呼べばいいじゃない」

そう思ってスキマを開いたが、
あっちはあっちですごいことになってた。うん。幽々子、ちょっと自重しようか。
・・・・・・終わったら手伝うか。
そうと決まれば、こっちを片付けますか。


  少女調理中・・・・・・


「うおぉぉぉ!美味い!マジで美味い!!」

そうか、美味いか。俺はぐったりだよ。幽々子め。俺が来たとたんに食べる速度が上がりやがった。お前の細胞はオラクルか?グルメか?
ていうか一誠。食い終わった御飯茶碗を俺に差し出すな。自分で盛れ。
子猫、幽々子と同じくらいの速度で食べないで。一種のトラウマなんだよ。せめて笑って。
ああ、そうだ、

「一誠、そこのスープも飲みなさいな」

「あっこれですか?どれ・・・・・・」

ズズッ
アーシアが不安そうな顔をしている。大丈夫。ちゃっかり味見したから。良かったから。

「美味しいです!」

「良かったわね、アーシア」

「はいっ!」

「へ?」

「そのスープはアーシアが作ったのよ」

「マジか!アーシア、もう一杯くれ!」

「はい!・・・・・・これで私もイッセーさんの・・・・・・」

おえっぷ・・・・・・また砂糖が・・・・・・甘い、甘過ぎる!(ラブコメ的に)

「さて、イッセー、紫。今日一日修行してみてどうだったかしら?」

「俺が一番弱かったです」

「上々ですね。私は元々魔術師向きなので」

「紫はともかくイッセーのことは確実ね」

今のところ、俺の能力は空間移動しか見せていないし教えていない。能力は秘匿するものだと思うんだ。何処から情報が出るか分からない以上、味方にも明かさない。そもそも、確実な味方ではない。敵対する可能性がある。
私はグレーよ!←意味わからん

「朱乃、裕斗、子猫はゲーム経験がなくても実践経験が豊富だから、感じを掴めば戦えるでしょう。アーシアと紫とあなたは実践経験が皆無に等しいわ」

失礼な!実践経験ぐらいあるわ!二度三度。

「それでもアーシアの回復、あなたのブーステッド・ギアは無視できない。相手もそれを理解しているはず。最低でも、相手から逃げられるだけの力は欲しいわ。紫の空間移動抜きにしてね」

「逃げるって・・・・・・そんなに難しいんですか?」

「逃げるのも戦術の一つよ。一旦退いて態勢を立て直すのは立派な戦い方。そうやって勝つ方法もあるの。けれど、相手に背を向けて逃げるということは、実はかなり難しいものなの。実力が拮抗している相手ならともかく、差が開いている強敵に背を向けて逃げ出すということは殺してくださいと言っているようなものなのよ。そういう相手から無事に逃げられるのも実力の一つ。イッセーとアーシアと紫には、逃げ時も教えないといけないわ。勿論、面と向かって戦う術も教えるから覚悟なさい」

「了解ッス」

「「はい」」

俺はいつでも逃げれるのだが。小道具も結構ある。閃光弾とか。
いざとなれば時間と空間の境界を操って逃げる。

あ、俺も飯食おう。何か腹に入れんと、キツい。

「食事を終えたらお風呂に入りましょうか。ここは温泉だから素敵なのよ」

具体的に何が?湯の質?景色?

「僕は覗かないよ、イッセーくん」

「バッカ!お、お前な!」

「あら、イッセー。私達の入浴を覗きたいの?なら一緒に入る?私は構わないわ。朱乃はどう?」

「イッセーくんなら別に構いませんわ。ウフフ。殿方のお背中を流してみたいかもしれませんね」

う~ん。この頃からフラグが立ってるのか?この二人。俺は幽々子以外にフラグは・・・・・・って、だから俺は百合じゃねえ!あれ、でも精神的にはノーマル?だれか、判定(ジャッジ)をくれ。

「アーシアは?愛しのイッセーとなら大丈夫よね?」

アーシアOK。まあ、結末は分かってるんだけどね。

「子猫は?」

「・・・・・・嫌です」

「じゃあ無しね。残念、イッセー」

世の中、そんなに甘くないからな。俺は合法的に見れるが、逆にあの空間は地獄だ。周りが女子のみって、どこぞのワンサマーじゃあるまいし。

「ついでに聞くけど、紫は?」

え、何で俺に話を振る?う~ん。精神的に男どうしだから対して何も感じないが、俺は女でもあるから、そっちで羞恥心がでる。となると結論は!

「五感が機能していなかったら良いですよ」

「一緒に入る意味ないじゃないですか!」

お前は男同士の友情を深めやがれ!


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修行二日目。

夜が本格的な活動時間の悪魔。当然、夜にも練習がある。俺がやったことなんて夢想天征(むそうてんせい)ぐらいだが。完成はしたが持続時間わずか30秒。まあ、こんなもんだ。霊夢とちがい、俺の夢想天征は複雑なんだ。消費する霊力も多くなる。あ、昨日の話だ。

今日の午前中は勉強会。俺は端から聞いていれば覚えられる。原作知識もあるし、大体は元々覚えていた。悪魔の仇敵、天使。最高位の名は『熾天使(セラフ)』。メンバーはミカエル、ラファエル、ガブリエル、ウリエル。主にセフィロトの守護天使の名前だ。
四大魔王はルシファー、ベルゼブブ、アスモデウス、レヴィアタン。一誠がレヴィアタンで興奮する。女が絡むと途端に性能良くなるよな。ま、今更か。それにしても、熾天使(セラフ)って聞くと月の聖杯戦争を思い出すな。俺はExtraが好きだ。理由は主にキャス弧。
次は堕天使の幹部。中枢組織の名前は『神の子を見張る者』(グリゴリ)総督がアザゼル。別名胡散臭いオッサン。副総督がシェムハザ。後はアルマロス、バラキエル、タミエル、ベネムエ、コカビエル、サハリエル。
胡散臭いオッサンはもうあった。すぐ逃げたが。ゼッテー俺の神器(セイクリッドギア)欲しがるもん。概念を操る神器はレアなんて物じゃないだろ。しかも境界。俺が考えうる最強の能力だもんな。
次はアーシアちゃんによる悪魔払い(エクソシスト)の基本。
拍手されて照れるなんて、相変わらず可愛い反応ね。

「私が属していたところでは、二種類の悪魔払いがありました」

「二種類?」

「儀式型と、実力行使型よ、一誠」

「そうですね。一つはテレビや映画でも出てくる悪魔払いです。神父様が聖書の一節を読み、聖水を使い、悪魔を人々の体から追い払う『表』のエクソシストです。そしてもう一つは、紫さんがいったとうり、私達を滅ぼそうとする『裏』のエクソシストです。この裏が悪魔の脅威です」

「イッセーも会ってるけど、私達にとっての最悪の敵は神、あるいは堕天使に祝福された悪魔払い師よ。彼らとは歴史の裏舞台で長年にわたって争ってきたわ。天使のもつ光の力を借り、常人離れした身体能力を駆使して全力で私達を滅ぼしに来る」

つまりは、表のエクソシストは人の目に写らない内側に潜んだ悪魔を、裏は人の目に写る外側の悪魔を、それぞれ、払う。いや、裏の場合滅ぼすか。フリードはイカれすぎだと思うが。良く考えたら俺ターゲット認定されてた。夜道にゃ気をつけよう。ん?部長が汚いもの持つみたいに小瓶を持ってる。ああ、聖水か。仕方ない。

「次に、聖水や聖書の特徴をお教えします。まずは聖水。悪魔が触れると大変なことになります」

具体的には知らないが、皮膚が焼けただれたりするのか?肌荒れは嫌だな。
アーシア。作り方教えてもいいことあるのか?あるんだな。

「次は聖書です。小さい頃から毎日読んでいました。今は一節でも読むと頭痛が凄まじいので困っています」

「悪魔だもの」「悪魔ですもんね」
「・・・・・・悪魔」「うふふ、悪魔は大ダメージ」
「悪魔ですからね」「うぅぅ、私、もう聖書も読めません」

言葉だけでダメージ与えられるエクソシスト。俺たち圧倒的に不利だな。俺は文字道理例外だが。

「でもでも、この一節は私の好きな部分なんですよ・・・・・・。ああ、主よ。聖書を読めなくなった罪深き私をお許しーーーあう!」

はあ。

「(アーシア、お祈りとかしたかったら私に言いなさい)」

「ほえ?」

何事にも裏技はある。俺は能力を使うだけ。


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「あの、紫さん。さっきいったことって」

「アーシアが聖書読んだりお祈りする前には私に言いなさい。ただし、他の人がいないところでね?」

「え?どうしてですか?」

「私の神器(セイクリッドギア)を使うの」

「紫さんの神器・・・・・・空間移動の?」

「あれは応用。本質は違うわ。ともかく、お祈りとかするの?」

「あ、はい」

「動かないでね」

人類と人外の境界。これで悪魔のアーシアを人間にする。以前籃に使った事があるから簡単にできた。

「はい。良いわよ。思う存分やっていいわ」

「はあ、ああ、主よ。罪深き私をお許しくださいーーー・・・・・・痛くない!?」

「終わったら言いなさい。そこでやることがあるから」

「はい!ありがとうございます!」

人間ならシステムによって頭痛は起きない。これでよかったな。俺の能力のボロがでなけりゃ。


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俺は家に一時帰宅していた。

「幽々子、どう?できた?」

「うん。死を操る能力で、植物の寿命を延ばした」

死を与えるとは逆に死を遠ざける事による延命。果てには死の否定。俺は悪魔だから寿命が長いが、幽々子は人間のままだから、延命技術が必要だった。俺も将来、人間に戻るつもりだ。

「籃、あなたにはこれを渡しておくわ」

「何ですか?これは」

「私の境界を操る程度の能力がある程度使えるようになる呪符。体に張り付けておいて。私がいなくてもいざというときすぐ逃げれるように、使いこなせるようになっておいて」

「はい」

俺だけでは守りきれないかも知れない。だから自衛手段を教えておく。籃なら俺の能力を使いこなすこともできるだろう。

俺は欲張りだ。一度つかんだものを、離そうとしない。


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時間的には一誠とリアスがしゃべっている頃、俺は必死で有限と無限の境界を操っていた。現在の持続時間は8分。他にも能力を使うとしたら、精々全力戦闘は3分。俺は魔力より霊力があるから人間状態でも4分。圧倒的に時間が足りない。せめて一時間は保たせたい。
どうやら俺の種族変換は適正があるらしい。例えば人間を0の基準として、俺を悪魔にした場合-1になる。だから魔力が少ない。籃の場合妖怪を基準にして人間にしたら-50ぐらいだ。普通の50分の1しか使えない。だから境界を操る程度の能力を付加した呪符を渡した。敵が来たときに妖怪になれるように。

「はあ、はあ、はあ、はあ、これじゃダメね」

外部からでも霊力を供給する手段を考えないと。

・・・・・・待てよ?なら俺を妖怪にした場合は?俺は八雲紫だ。不本意だが八雲紫だ。なら妖怪の適正はかなり高いんじゃないか?やってみよう。

人類と人外の境界。この境界はちょっと面倒で、人外から別の人外にはなれない。一旦人間になる必要がある。
悪魔から人間に、人間から・・・・・・と、そこで止まってしまった。

何となくだが、わかっていた。恐らく、妖怪になると力が強すぎて俺が耐えられないのだろう。悪魔に戻る。
補足だが、子猫、いや、白音のように妖怪の悪魔もいるが、あれは純粋な妖怪ではなく悪魔とのハイブリッドなので、厳密には悪魔に分類される。

玉のように流れていた汗をタオルで拭い、全身に酸素を送り込もうと活発に動く心臓が落ち着いて来た頃、一誠とリアスの話も終わったようだ。俺も寝るか。

その前に、シャワーを浴びたい。汗が凄い。


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修行も最終段階になりつつある。一誠は神器を使って木場と模擬戦、俺は姫島朱乃先輩と模擬戦。

「あちらも始めたようですね。では、私達も始めましょう」

「はい」

普段塞き止めている魔力がたまっている部分の出口を開くイメージで全身にみなぎらせる。これだけでも軽い身体強化になっている。魔力消費はゼロ。

そして思考を戦闘モードに切り替える。この状態の俺は最善手を即座に計算する、つまりは超高速思考状態。以前銀髪相手に使った脳の状態。
朱乃先輩の一挙一動を視界に納める。どのように魔力が動き、どのような経路で発動、どのような効果を生み出すのか、見て、観て、視て、見尽くす。

先輩が羽を広げて空に浮かぶ。

そして右手を天に掲げ、電気を迸らせる。

瞬間、俺は高気圧と低気圧の境界を操って真空の道を作る。雷が放たれる。しかし雷は俺が作った真空の道を伝って検討違いの地面に当たり、ドガァンという凄まじい音を鳴らし、粉塵が舞い上がる。スキマを作って後ろに回り込む、そして裏拳気味に傘で殴る!

『幻想狂想穴』

「くっ!?」

避けられた。体の腰の部分を狙ったんだが、前に咄嗟に跳んだようだ。牽制として魔力弾を放つ。あっさり雷で消されるが、それが狙いだ。雷を放つとき、右手を天に掲げる必要がある。それに私が撃った魔力弾は牽制用。つまりは被弾すると煙幕のように広範囲に広がる。つまりは周りが見えなくなるわけだ。俺は煙から離脱し、次の攻撃を加える。

『魔眼「ラプラスの魔」』

煙の範囲外に囲むように『眼』を配置する。その眼から魔力弾を放つ。私単体とは比べ物にならない魔力弾が襲う。しかし、一転に集中したのが不味かった。急上昇してきた朱乃先輩。避けられたか。

「やりますね。ではこれはどうです!?」

四方八方から電気のパチパチという音が聞こえる。一本一本なら先程のように真空の道を作って回避するが、さすがにこの量は難しい。脳の反応はまだ大丈夫だが、体が追い付かない。まあ、先輩のことだから威力は弱めてるだろう。

「喰らいなさい!」

そう簡単に喰らう分けにはいかないのよ。

『夢想天征』

ほんの少しの間だが、この世の理から外れ、目視すらできない完全異脱(かんぜんいだつ)状態。この状態の私はどんな攻撃も効かない。そもそも当たらない。その場から離脱する。先程までいた場所は、凄まじい音量と光で、見ることすらかなわない。朱乃先輩は当たった箇所を見て狼狽えている。それはそうか。あの攻撃からは逃れられないと思ったのだろう。しかしそこにいるはずの後輩は影も形もない。もしかして、消してしまったのでは、とでも思ったのか?まあとにかく、私は真上から奇襲をかける。

『霊符「夢想封印」』

七色の閃光が先輩を包み込まんと進む。しかしさすがは先輩。こちらに気付き迎撃しようと右手を天に掲げる。しかし、掲げる途中で、魔力弾の邪魔が入った。一度発動して今まで維持していた『魔眼「ラプラスの魔」』だ。そこから放たれた魔力弾が体制を崩す。

「私の勝ちです」

私の勝利宣言と共に、目映い虹色の光が視界を包んだ。


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姫島朱乃said


私達は合宿に来ている。今は合宿で新人悪魔の二人に神器(セイクリッドギア)を使った戦い方を教えている。最も、私達と会う前から使っていた紫ちゃんには必要なかったのだけれど。年下な筈なのに、大人っぽい雰囲気をもつ紫ちゃんは、呼ぼうとするとさん着けで呼んじゃうのよね。

「あちらも始めたようですね。では、私達も始めましょう」

「はい」

いい返事ね。私は魔力を使い、私が『雷の巫女』と呼ばれる所以の雷を放とうとする。そのために手を天に掲げる。電気が私の手の内を走る。すると紫ちゃんが左手を動かした。彼女の神器は空間移動系。その便利さはかなり高く、展開も早かった。逃げる前に私の雷で止める!

ドガァン!

凄まじい轟音が鳴り響く。粉塵で見えないが、恐らく間に合わなかっただろう。彼女の展開速度がいくら早くても雷には及ばない。しかしその予想はきっちり裏切られた。後ろから気配がしたのだ。

咄嗟に前に跳ぶ。そのあと、ゴゥという空気が唸る音がした。体制を立て直しすぐさま後ろを見る。そこを見ると右手で傘を振り切った紫ちゃんがいた。正直、驚きの連発だった。間に合わなかった筈なのになぜそこにいるの?なぜ無傷なの?なぜ羽も出さずに空に浮いているの?

そこで疑問を解決するのをやめた。いや、止めさせられたといった方が正しいわね。何発か魔力弾が迫ってきたから。今度こそ雷で消す。しかし、相殺した瞬間、凄い量の煙幕がでた。目潰しだったのね!?
まさか判断力が鈍っている時にこんな搦め手が来るとわね。さあ、どこから来る?先程のように後ろに来るか、魔力弾を使うか。魔力弾なら対処できる。魔力を感じ取って相殺すればいい。しかし、またもや予想は裏切られる。

自分を囲むように三百六十度、全方位から魔力を感じた。まさかそんなことが出来るようになっていたとは!すぐに対処を考える。と、上から魔力反応がない。私は咄嗟に上に飛んだ。なんとか避けた。

粉塵から抜けて、紫ちゃんと対峙する。先程までいた場所の周りを見ると、空間に眼があった。あれから魔力弾が来たのだろう。ならその戦い方、真似させてもらうわ。

「やりますね。では、これはどうです!?」

全方位に雷の発射する元を作る。逃げ場の無いように囲み、一気に解放する。

「喰らいなさい!」

ドガシャァァァァン!!!

凄まじい轟音とフラッシュにより、私は目を瞑ってしまった。目を開けて状態を確認する。そこには何もなかった。

えっ?もしかして墜落して下にいるのかと思って下を見たが、いない。ではどこに?まさか、消し飛んだなんて無いわよね・・・・・・。

『霊符「夢想封印」』

その声を聞いてすぐさま戦意が回復する。上には紫ちゃんがいた。どうしてそこにいるかとかは後回しにして、今は七色の魔力弾、彼女が言うに夢想封印を止めないと。右手を上げて雷を放とうとしたが、その手が弾かれた。魔力弾が当たったからだ。だがいつの間に!?そうして偶然にも目に入ってきたのは、空間に出ている『眼』。

そういえばあの眼から魔力弾が出ていたのね。完全に忘れていたわ。私はなすすべなく閃光に包まれる。

「私の勝ちです」

当たる直前、紫ちゃんの勝利宣言が聞こえた。

saidout


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あのあと凄い轟音が聞こえたが、一誠がブーステッドギアを使って撃った魔力弾らしい。見てみたが、俺のマスパ並の威力はあった。
こうして俺たちの修行は終わり、決戦を迎えるのであった。




「幽々子」

「何~、紫」

「籃も」

「何ですか?」

無言で抱きつく。

「あの・・・」





こんな日常





 
 

 
後書き
技は非想天則より。
霊夢の技もあるが。
夢想天征は誤字ではなく故意です。

美脚その1、ラプラスの魔登場。 
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