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久遠の神話

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第五十六話 中華街その一

                    久遠の神話
              第五十六話  中華街
 スペンサーは中華街にいた、その時にだった。
 目の前に加藤を見た、その彼に対してすぐに声をかけた。
「貴方も来ているのですね」
「店のことを聞いたからな」
 それでだというのだ。
「行ってみたくなった」
「彼の勤めているお店にですね」
「これでも食うことは好きだ」
 戦い、そして清掃以外の彼の趣味である。
「中華料理もな」
「では二人でお店に行くことになりますね」
「そうだな、今は戦うことは」
「少なくとも今は止めますか」
 スペンサーはこう加藤に提案した。
「そうされますか」
「少なくとも食うまでは俺も仕掛けない」 
 加藤も言う。
「今はな」
「腹が減ってはですか」
「そういうことだ。今はいい」
「ではそのことは後でお話をするとして」
「店に行くか」
「それでは。実はアメリカにも中華街はありまして」
 アメリカにも中国からの移民は多い、中国系アメリカ人として一定の社会的地位も手に入れて生活している。
「そこには中華料理の店も多いです」
「ニューヨークやサンフランシスコか」
「他にもあります。数は日本より多いですね」
「そうか」
「ええ、観光名所にもなっていますし」
「一度行ってみればいいというのだな」
「是非共。味もいいですので」
 スペンサーは微笑みながらこうも言った。
「是非合衆国に」
「軍人は観光の宣伝もするjのか」
「国益を守ることが軍人の責務ですが」
 それに加えてだというのだ。
「外交官としての一面もありますので」
「だからか」
「はい、時と場合によっては観光の案内もします」
「中々多忙だな。旅も嫌いじゃない」
「では機会があればアメリカにも」
「行かせてもらうか」
 こうした話をしてだった。
 二人で王のいる店に向かった、まずは赤い綺麗なチャイナドレスのウェイトレス達が迎えてくれた。
「いらっしゃいませ」
「お二人ですか?」
「はい」
 スーツ姿のスペンサーは微笑みジーンズの加藤を見て言う。
「こちらの方と」
「二人連れになる」
 加藤も言う。
「席はそれで頼む」
「わかりました。それでは」
「こちらにどうぞ」 
 二人のウェイトレスはにこりと笑って彼等を店の中に案内した、店の中は黒と赤の中華風の作りだった。
 当然椅子やテーブルもだ、そこに二人で座ると。
 先程の二人とは別のウェイトレスが来てこう言ってきた。
「メニューは何にされますか?」
「そうだな」
 加藤は店のメニューを開いたうえでウェイトレスに答えた。
「まず麺は海鮮麺だ」
「はい」
「そして炒飯も五目海鮮だ」
 御飯はそれだった。 
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