| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

とある星の力を使いし者

作者:wawa
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第187話

 
前書き
ようやく執筆できるようになりました!

冬コミの小説なりなんなりをしていて時間が取れませんでした。
落ち着いたので頑張っていきます!

気合い!入れて!行きます! 

 
一三階から一階へ降りていく。
途中、電源を落すなどの妨害をしてくると思っていたがそれもなくすんなりと一階へ着いた。
扉が開いた瞬間、銃撃の嵐が襲い掛かってきた。
マンションのロビーに配置されていたのは機動鎧(モービルアーマー)が五体。
両手にはガトリングガンが装備されており、五体がエレベーターの扉に向かって銃撃を始めている。
このガトリングガンも学園都市製で威力は対戦車ライフルを凌ぎ、連射力はガトリングガンを超える。
毎秒三〇〇発をも撃ち、人間ならその反動と重量で思うとおりに射撃できないが、射撃手は機動鎧(モービルアーマー)
精密射撃に腕力は片手で車を持ち上げるほどの力を有しているので、ガトリングガンを操るなど造作もない。
既にエレベーターの扉は蜂の巣を通り越し、大きな穴が空いている。
それでも機動鎧(モービルアーマー)は銃撃を止めない。
何故なら、奴らが映るモニターにはエレベーター内に生体反応が感じ取れるからだ。

「やっぱり入り口にも配置されていたか。」

銃撃の嵐を正面から受けても全く動じずに麻生はエレベーター内から出てくる。
身体には何百発もの弾丸が当たっているのだが、全て弾き服すら破けていない。
もちろん、能力による恩恵だ。

「そんな気がしたから愛穂達は階段で降りて貰っているが、どうやら間違いなかったようだな。」

空に手を伸ばす。
空間の一部が歪んだと思うと、そこから一本の柄が出現した。
抜き取るとそれは黄金で出来た剣。
機動鎧(モービルアーマー)の距離を詰めて、袈裟切りで斬りつける。
対戦車ミサイルにも耐える装甲をバターのように斬り裂き、機動鎧(モービルアーマー)はバチバチと火花を一瞬散らして爆発する。
至近距離で爆発を受けても麻生にダメージはない。
また空間が歪み同じように柄が出現する。
引き抜くと今度は黄金で出来た斧。
依然と銃撃を続ける機動鎧(モービルアーマー)に接近して斧を振り下ろす。
今度は腕で斧を受け止めようとするが、腕ごと斬り裂き破壊する。
麻生が使っている武器はかの英雄王が集めた財の一つ。
有名な宝具ではないが、機動鎧(モービルアーマー)程度の装甲なら簡単に斬り裂く事ができる。
残り三体の内、二体は両手の剣と斧を投擲して破壊し、最後の一体は接近して拳を突き出す。
能力で強化された拳は装甲を貫き、心臓部分ともいえる装置を抜き取り機能を停止に追い込んだ。
ロビーに機動鎧(モービルアーマー)の影が見えなくなるともう一度、探知結界を展開する。
今度は無機物にも反応するように。
結界には愛穂達以外反応はなく、マンション内の安全は一時的だろうが確保できた。

(早いこと離れた方が良いな)

すると、非常階段の扉が開かれ愛穂達が息を切らしながら出てくる。

「はぁ・・・恭介お待たせって、どうなってるじゃんこれ!?」

「すっごい!壁が穴だらけになっているってミサカはミサカは驚愕してみる!」

機動鎧(モービルアーマー)の銃撃でエレベーター付近は穴だらけで、爆発で壁や床が抉れたりと以前の面影が無くなっている。
割とマンションのロビーが気にいっていた愛穂は、開いた口が塞がらないようで、打ち止め(ラストオーダー)は穴が空いて見る影もないエレベーターに近づいて弾痕を触っている。
呆然と立ち尽くす愛穂を放って、桔梗は弾痕を触っている打ち止め(ラストオーダー)を抱っこして無理矢理連れて来る。

「中は安全になったの?」

「とりあえずだな。
 外のヘリはこれから潰す」

「ヘリに乗組員とかいなの?」

「あれはAIで動くヘリだ。
 ぶっ潰しても誰も死なないから安心しろ。」

打ち止め(ラストオーダー)が子ども扱いしないでやら、何やら騒いでいるが桔梗が上手いことあやすだろう。
少しだけ安心する制理を見て、麻生は玄関ロビーを出て外へ出た。
彼の姿を確認した六枚羽はミサイルの照準を麻生に合わせ、発射する。
飛んでくるミサイルを見据え、能力で干渉する。
内蔵されている起爆装置を爆破させ、着弾する前に爆破させる。
爆炎が両者の間に展開されるが、その中を抜け麻生はヘリに近づく。
破壊するつもりではいるがその前に。

「誰が操っているのか確かめさせてもらおうか。」

能力で六枚羽に干渉して遠隔操作している所を見つけようとしたが。
ピッー、と言う警告音が鳴ったかと思うと六枚羽は突然爆発した。
地面に降りて、爆発した空を見上げる。

(俺が干渉すると分かっていて自爆装置を搭載していたな。)

相手は一筋縄ではいかない相手である事が分かっただけでも十分だろう。
辺りを見回し六枚羽がいないのを確認して、愛穂達を呼ぶ。

「これからどうするじゃん。」

「此処を離られよう。
 人の多い所に行けばあいつらも簡単には手出しできないはずだ。」

提案したと同時にマンションの曲がり角から、黒いワゴン車がこちらに向かって走ってきた。
全員、身構えるがワゴン車は麻生達の手前で停車すると、運転席の窓が開く。

「よう、恭介!」

「土御門、お前どうしてここに?」

「そんな事より今は乗れ。
 事情は中で説明してやる。」

「ちょっと何であの馬鹿がこんな所にいるのよ!」

「誰?ってミサカはミサカは知らない人に対して指を指して聞いてみる。」

「同じクラスの馬鹿よ。」

「確か小萌先生の生徒だよな。
 どうして車に乗っているじゃん?」

「・・・・・・・聞きたい事はあるだろうが、まずは車に乗れ。
 俺は助手席に乗る。」

「そうね、まずは安全な場所に行ってから聞いても遅くはないでしょう?」

今は一時的に安全が確保されただけに過ぎない。
いずれ機動鎧(モービルアーマー)や六枚羽が襲いかかってきてもおかしくはない。
聞きたい事がある二人だったが、場所の移動の方が優先と判断し後部座席に乗り込み、麻生は助手席に乗る。
全員が乗ったのを確認して、土御門は車を走らせる。
マンションの周囲は人の気配がなく静寂さに包まれていたが、移動するにつれて人の影が見えてきて二〇分も移動すれば車や人の往来が確認できた。
ひとまず脱出できたと後ろで愛穂達が安堵の息を吐いていると、麻生はいつの間にか右手に持っていた銃を土御門のこめかみに突きつけた。

「恭介、何を!?」

麻生の行為を見て愛穂は止めに入るが。

「黙っていろ、これはお前達の安全のためには必要な事だ。」

見た事のない鋭い眼つきと殺気を感じ、伸ばした手を止めてしまう。
制理は息を呑んで見守る事しかできず、桔梗は神妙な面持ちで麻生を見て、打ち止め(ラストオーダー)も流石に空気を呼んだのか黙っている。
誰も邪魔をしない事を確認して、麻生は土御門に問い掛ける。

「土御門、お前は俺達の敵か味方か?」

「どうしてそんな事を聞く?」

銃口を突きつけられているのは分かっているのに、土御門は狼狽えず運転を続ける。

機動鎧(モービルアーマー)や六枚羽は警備員(アンチスキル)などの表の部隊が動かせる品物ではない。
 消去法で考えるなら、暗部以外にいないだろうな。」

「暗部・・・・」

その言葉を聞いて、愛穂は土御門を見つめる。
なまじ生徒としての土御門を知っているからか、彼が暗部に所属しているのが信じられないようだ。

「お前が俺達の前に現れたタイミングはあまりにも良過ぎる。
 暗部に所属しているんだ、疑うのは当然。」

「恭介の言っている事は間違ってない。
 だが、オレは暗部の命令でお前達を助けるように命令された。」

「証拠は?」

「ないな。
 こればっかりは信じてもらう以外、どうしようもない。」

しばらくの間、沈黙が車内を支配する。
緊張した空気が広がっていたが、麻生が銃を下ろすと少しだけ緩んだ。

「んじゃ、こっちから質問じゃん。
 どうして土御門は暗部に所属しているの?」

「それには海より深い理由があってだな、簡単には説明できない。」

「暗部って、危ない所に関わって学校とか通っていいの?」

「心配しなくてもそこん所に被害が及ばないように配慮はしてある。」

矢次に言われる質問を土御門は適当にはぐらかしながら答えていく。
車が到着した場所は高級ホテルの一つ。
普通に生活していれば一生縁がないホテルに圧倒される愛穂と制理。

「ほら、立っていないで入るぞ。」

「逆に圧倒されない二人が怖いじゃん。」

麻生は別段高級ホテルなど目の前にしても萎縮はしない。
桔梗も数回程度なら泊まった事があるので慣れている。

「うわー!凄い凄いってミサカはミサカは初めて泊まる高級ホテルに興奮を隠せないではしゃいでみる!」

「極秘で恭介達を泊めるよう手配してある。
 少しだけだろうが、休憩してくれ。」

彼の後に続いてホテル内に入って行く。
既にチェックインを済ませてあるのか、土御門の手にはカードキーのような物があった。
マンションのエレベーターとは規模も装飾も違うエレベーターに乗り一九階で停まる。
降りた目の前の扉にカードキーをかざすと、電子音と共に鍵が開く。
中はベッドが二つにテーブルと座椅子が四つあり、冷蔵庫が稼働しているだけとかなりシンプルな構造になっている。
部屋に入り荷物を降ろすと、制理は大きく息を吐いた。
ティンダロスの猟犬に追われた時と比べればまだましだが、それでも心身共に疲労は出ている。
愛穂や桔梗は職務上慣れているのでましだが制理は学生だ。
麻生や土御門のような特殊な立ち位置にいる訳ではない。
気を利かせた桔梗は冷蔵庫から冷えたジュースを取り出し、コップに注ぎ制理に差し出す。

「ありがとうございます。」

「休める時に休んでおかないと倒れるわよ。」

「ミサカも欲しい、ってミサカはミサカはコップを差し出してみる。」

「はいはい、順番よ順番。」

その間、麻生は窓のカーテンを全部閉めた。
狙撃される可能性もある。
学園都市の狙撃銃ならカーテン一枚閉めた所で意味はないだろうが、しないよりかはいいはずだ。

「これからどうするじゃん。」

「敵は組織で動いている以上、命令を出している奴がいる筈だ。
 そいつを掴まればこの逃走劇も終わりになる。」

「命令を出している奴は誰か分かったのか?」

「中々尻尾を出さない奴でね。
 今は網を張ってかかるのを待っているってところだ。」

説明している間に携帯の電子音が鳴り響く。
鳴っている携帯は土御門の物らしく表示されている名前を見て、眉をひそめる。

「俺だ、どうした?」

何かあったのか、と表情で訴えるが土御門は気にするなとジャスチャ―して、部屋を出て行った。
不手際でも起こったのだろうか。

「まだ始まったばかりだけど、いつ終わるかな。」

「今日中には片をつける。
 巻き込んですまないな。」

「恭介のせいじゃないじゃん。」

「そうよ、きっと狙われたのも何かの間違いよ。」

機動鎧(モービルアーマー)や六枚羽が襲ってきたのを考えるに、相手は本気で狙ってきている。
間違いにしては住民を遠ざけたりと大掛かりな事はしない。
暗部は情報を集め、駆使し、自分が使える戦力や能力を全て把握して戦う、言わば情報戦でもある。
相手がどこにいるのか、目的、能力、規模。
これらの情報を集め対策を練って挑むのが暗部だ。
そんな彼らが間違いなんて起こす筈がない。
闇の部分を知っている桔梗や愛穂は分かっている筈だが、一切関わりのない制理がいるのだから言葉を選んだのだろう。

「ああ、そうだな。
 どっちにしろ、早い段階で終わらせた方がい・・・い。」

瞬間、視界がグラリ、と揺れた。
同時に猛烈な睡魔が麻生達に襲い掛かった。
打ち止め(ラストオーダー)は持っているコップを床に落とし倒れ込む。
制理も腰かけていたベッドに倒れ眠りにつく。
耳を澄ませるとプシュー、という音が聞こえる。
二人の症状と猛烈な睡魔を考えるに睡眠ガスが部屋に送り込まれているのが分かった。

「へ・・・やを脱出し、ないと・・・」

扉に向かおうとする愛穂だが、身体が鉛のように重くなり直前で意識を失う。

「恭介・・・何とか・・・」

意識は既に失いつつある。
最後の頼みの綱である麻生に助けを求めるが、麻生は既に意識を失っていた。
強く歯を喰いしばり、自分で何とかしようとするが身体が動かない。
抵抗するも虚しく、桔梗の意識も深い闇へと落ちて行く。
全員が意識を失ってから数十秒後。
部屋が開かれ、入ってきたのはガスマスクを着けた土御門だ。
手には一丁の拳銃。
扉の前で倒れている愛穂を無視して、床に倒れている麻生の頭に銃口を向ける。

「こんなあっさり上手く行くとはな。」

彼には似合わない悪魔のような笑みを浮かべ、引き金を引く。
だが。

「ッ!?どういう事だ!?」

どれだけ引き金を引こうと力を入れても、ピクリとも引き金が動かない。
故障でもしたのかと銃に視線を向けた時。

「引き金を『停止』させたんだ。
 巨人の腕力をもってしてもそれは動かせねぇよ。」

声は足元から聞こえた。
袖口からナイフを出し、斬りかかろうとするもそれよりも早く手首を掴まれ視界が一周したかと思うと、床に叩きつけられた。
衝撃で銃とナイフが床を滑っていく。

「何故だ・・・何故、意識を保っている!」

睡眠ガスで眠った筈の麻生は土御門の問いに面倒臭そうに答える。

「お前が土御門でないと分かった時点で、既に俺の身体は薬物などによる影響を無効化出来るように身体を一時的に作り変えておいた。
 だから、寝たふりをしてお前が近づいてくるのを待ってたんだよ。」

「い、いつからだ。
 俺が土御門ではないと、いつ気づいた!?」

「初めからだ。
 お前が車に乗って俺達に近づいてきたあの時からな。
 土御門は学校の時と暗部の時とは口調を変えたりするが、何があっても俺に対する呼び方は変えない。
 不本意だが、あいつは俺の事を『キョウやん』と呼ぶ。
 ぶっちゃけ他にも偽物って言う要素は幾らでもあったが、言うのが面倒だからな。」

麻生は土御門だった人物の顔に手を伸ばす。
顔を掴み強く引っ張ると皮が剥がれ、本当の素顔が見えた。
髪は茶色で顔は土御門とは全然似ていない。
特殊メイクで変装していたのだろう。

「さて、お前の頭の中を覗かせてもらおうか。
 簡単にばれるようにした以上、お前の記憶にはメッセージが託されている筈だからな。」

腹を踏みつけて気絶させた後、目を瞑り記憶を探っていく。
彼の視点からある男の会話が聞こえてきた。
髪は金髪で肩まで伸び、服装はスーツのような黒に中は白いワイシャツを着ている辺りどこかのホストを思わせるような外見の男の会話だ。

「土御門という男に変装して近づいて、このホテルまで誘導し、睡眠ガスで眠らせろ。」

「そんな簡単に行きますか?」

「ああ、上手く行くさ。
 きっとな。」

「はいはい、ちょっと意識を変えさせてもらうわよ。」

視界外から女性の声が聞こえたと思うと男は急に黙りだす。

「さて、こいつの記憶は覗いている筈だ、麻生恭介。
 俺の名前は垣根帝督。
 暗部組織、スクールのリーダーであり今回の襲撃犯の首謀者だ。
 おそらくこの程度の策なら、一瞬で看破するだろうからこうやって親切にメッセージを残している訳だ。」

垣根と名乗る男は麻生が記憶を覗くのを想定して話している。
意識を切り替えたのは男の返事が邪魔になると判断したのだろう。
近くには精神系能力者がいるのは間違いない。

「分かっていると思うが、襲撃のターゲットはお前だ。
 何故、俺がお前を狙うかの理由は自分で考えてくれ。
 ターゲットはお前と言ったが、お前の大事な人間もターゲットに含まれているから頑張って守れよ。
 敵は学園都市の暗部全てだ。
 この戦いを終わらせたかったら、俺を倒す事だな。
 メッセージはこれで終了だ。
 では、健闘を祈る。」

メッセージを聞き終えたと同時に能力を解除する。

「垣根帝督。
 余裕のつもりだろうが、甘かったな。
 自分から倒せばこれが終わると言ってしまったのだからな。」

麻生にとって超能力など敵ではない。
むしろ何を倒せば終わるのかを、明確に分かった時点でほぼ王手しているようなものだ。
能力を使用して部屋に満ちている睡眠ガスを除去する。
愛穂達を起こして場所を移動しようとした瞬間、扉が外側から開かれた。

「キョウやん大丈夫・・・ってにゃあああああ!?」

「って、土御門か。」

床に落ちているナイフを瞬時に拾い、入ってきた相手の首筋に当てて捕えようとするが入ってきたのは土御門だった。
土御門と分かって、ナイフを下げる。

「あ、あぶねぇ。
 寿命が一年くらい縮んだぜい。」

「・・・・・・・・」

「うん?どうかしたか?」

怪訝そうに見つめる麻生の視線に気づいた土御門。

「いや、さっきお前の偽物に出会ってな。」

後ろを指さして、気絶している男を見て何があったのか察する。

「俺は間違いなく本物だぜい。
 何なら質問してくれて構わない。」

「よし、なら白バニーについて語れ。」

「まず白バニーを語るにはひんにゅうを語る必要がある。
 バニーは赤か黒だろうと意見があるが、それは間違いだぜい。
 白と言う純白で穢れのない色にひんにゅうという最強のステータスが合わさると最強に見える。
 それで最初のひんにゅうについてなんだが・・・」

「いや、もういい。
 お前は充分本物だよ。」

こんなくだらない事に強く拳を握り締め熱弁するのだから、本物だろう。

「事情を聴く前に移動したい。
 彼女達を運ぶぞ、車は用意しているだろうな?」

「もちろんだぜい。
 この子を連れてくるとあいつが騒ぐだろうが。」

「そんな事を言っている暇はない。
 打ち止め(ラストオーダー)も会いたがっていたんだ、ちょうどいいだろ。」

「ひゅー、キョウやんやっさしぃー!」

「茶化すな。
 さっさと移動するぞ。
 車の場所はどこだって、面倒だ。
 少し頭を覗くぞ。」

「了解。」

あっさりと頭を覗くのを了承し、麻生は額に指を当てる。
車の規模と場所を把握し、愛穂達に触れて空間移動(テレポート)する。
移動してすぐに部屋に戻るのを繰り返し、一分をかからないうちに移動を完了させた。

「海原、驚いてなかったか?」

「いや、空間移動(テレポート)したのが俺だと知ったら納得した顔をしていたよ。
 この後の喋りは車に乗り込んでからだ。」

「えっ、俺も移動させてはくれないのか?」

「使用時間がもったいない。
 お前には立派な足があるだろ。」

そう言って麻生も能力を使わずに非常階段を目指して走り出す。

「まぁ、しゃあないか。」

小さく呟きながらも土御門も彼の後に続いていき、階段を下りて車に乗り込んだ。
暗部全てが敵であると宣告されたにも拘わらず、暗部『グループ』の車で彼らの隠れ家に向かう。 
 

 
後書き
感想や意見、主人公の技の募集や敵の技の募集など随時募集しています。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧