lineage もうひとつの物語
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旅立
故郷
グルーディオに向かう一行は順調に進んでいた。
モンスターといえば主に大型の蜘蛛とスケルトンで一行にとって苦にならない。
アーニャとエレナも強く随分楽をさせてもらっているアレンだった。
一行が出発して三日目
「イヴァンさんちょとだけ馬車を止めてくれないかしら」
と馬車から降り標を埋め込んでいる。
エレナもそれに続き作業している。
ここは?とアレンが尋ねると
「ここはメインランドケイブと呼ばれるところだな。ほら、そこの岩に囲まれている中心を観てきてみな」
イヴァンに言われて近寄るとなるほどダンジョンの入り口がある。
アレンもアーニャ達に習い標を埋め込む。
ここで休憩することになり手軽な岩に腰かける面々。
エレナは教えてくれた
「このダンジョンは地下深くまであって賢者様がおられるところよ。それに話せる島の洞窟に繋がっているとも聞いたわ」
「伝説の剣士も眠っているんだよね?」
伝説の剣士。
デスナイトのことか。
「そうね。でも誰も見たことはないし書物にあるだけだからあくまでも伝説の範疇に過ぎないわね」
アーニャの問に答えるエレナ。
伝説上のモンスターは多く存在する。
特に4竜と呼ばれるものの強さは凄まじく象牙の塔に残された伝説の中でも最強の部類である。
ドラゴンバレーケイブには地竜アンタラス
ウェルダン地方にある火山には火竜ヴァラカス
ハイネケイブの海底には水竜パプリオン
そしてアデンの上空には風竜リンドビオル
この4竜は各地にお伽噺や伝承として残りその脅威を物語っている。
イヴァンはそろそろいこうかと告げ馬車に戻っていく。
同じく戻ろうとするアレンにエレナは囁く。
「いつかはデスナイトと戦ってみたい?」
見返すアレンに対し
「顔に書いてあるわよ」
と言い残し荷台に乗り込んだ。
それから乱戦中いきなり出現したオーガにアーニャが誤って魔法を放ってしまい襲いかかられるがアレン一人で対処し事なきを得た場面もあった。
オーガは基本的に好戦的ではなく何もしなければ襲われることはない。
しかしいざ戦闘になるとその力はすさまじくその手に持つ大型の斧から繰り出される一撃は岩をも簡単に砕く。
そんなオーガを一人で対処し倒してしまったアレンの成長は驚くほどに早くナターシャが見れば見違えるだろう。
アーニャとエレナはアレンを見直し接し方も変わったようだ。
特にアーニャが持ち前の明るさで積極的に話しかけアレンも楽しそうに答えていた。
イヴァンとエレナは 青春だ と二人を温かく見守っていた。
無事グルーディオに到着した一行はイヴァンの店で残りの報酬を受け取った。
これからどうする?とイヴァンに尋ねられアレンは
「折角故郷に戻ってきたのでしばらくのんびりしてみます。といってももう自宅はありませんけどね」
と遠い目で伝えアーニャ達を見る。
アーニャ達も
「私達も動き詰めかけでしたのでしばらく宿でもとって休養しますね」
と伝えた。
「アレン君はまさかとは思うが戦争の生き残りか?」
イヴァンは恐る恐る尋ねるがアレンはあっさりと
「そうです。北地区で暮らしてましたが捲き込まれましてシルバーナイトタウンに移住したのです」
「そうだったのか!何か困ったことがあれば訪ねておいで。出来る限りのことはしよう」
アレンは礼を述べアーニャ、エレナと別れ宿へ向かった。
「どうするのアーニャ。あの人いっちゃうわよ?」
エレナが茶化すように言い
「追いかける理由がないもん」
とアーニャは沈みこむ。
それを聞いていたイヴァンは
「アレン君が気になるのならついていけばいいだろう?彼なら断りはしないさ」
と励ましアーニャの背中を押していた。
アーニャとエレナはアレンと一緒に行動していた。
アレンの背中目前まで追いかけたアーニャだったが立ち止まってしまいなかなか声をかけられなかった。
エレナが代わって声をかけ一緒に行動するようになったのだ。
一行は旧北地区に来ていた。
かつてアレンの住んでいた地である。
そこは廃墟のまま放置されアンデッドが闊歩し強力なモンスターであるバグベアーまでいる地となっていた。
ラウヘルに逆らったという理由で城が落とされ、その見せしめで滅ぼされた地でありラウヘルを恐れた人々は手をつけることなく放置しているのだ。
アレン達は敵を倒しながら焼かれて朽ち果てた我が家の前に到着した。
それを目の前したアレンは呆然としアーニャとエレナはかける言葉も見つからなかった。
「ここで父さんと母さんが殺されたんだ」
と膝まづき涙を浮かべながら祈りを捧げる。
「戻ったよ、父さん、母さん。すぐ離れるけど俺は元気だから。」
アーニャはそんなアレンの背中を優しくさする。
もらい泣きをしているようで目元が濡れていた。
エレナはアインハザードに祈りを捧げている。
しばらくして ありがとう とアレンは立ち上がり恥ずかしそうに頭をかき
「みっともないとこ見せてごめん。戻ろうか」
と二人に笑顔で伝え歩きだした。
その後ろをアーニャは嬉しそうに着いていき、エレナはゆっくりと振り返りご冥福を と呟いて二人を追いかけた。
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