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俺がDIO?

作者:DIE
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喪失編
   七話

 
前書き
更新が遅れそう~ 

 
20日。
魚人が居た島から出て、実に20日が経っていた。
その間、俺とロビンはグランドラインと呼ばれる場所に向かうための航路を取っていた。

「お前の話ならもう少しだな」

「ええ。でも、その前に近くにあるローグタウンに寄るわ。食べ物や色々と入り用な物もある事だしね」

ロビン一人だけとはいえ、20日となれば船にはあまり食料は残っていない。それに加え、食料は日持ちするような物も少なく、少なからず腐っている物もあった。
特に急いでいる訳でもない。

俺は甲板で作業をしているアーロンに近付いた。

「アーロン、町に着いたら船の番を頼んだ。何かあれば戦闘は許可するが、できる限りは穏便に済ませろ」

「了解した。DIO様」

アーロンは頭を垂れ、返事を返すと船の作業に戻った。

肉の芽を埋め込まれた者は数年で脳を食われて、死ぬ。
魚人は定かではないが、他に有能な者が居れば、適度に眷属にして行った方がいいだろう。アーロンの後釜に据えるためもあるが、やはり質が良い部下が居れば、戦闘も楽になる。俺よりも強い敵が居ないとも断言できないなら尚更、そうする。

「長くても、1日だ。それまでには出港する」

「分かってるわ。あなたも私も賞金首、いつ海軍に見つかるか分からないものね」

そう言うとロビンが面白い話であるかのように笑った。

そう、何故か俺は賞金首にされていた。
思い当たる理由はあの魚人達の眷属化を行った時くらいだろう。
恐らく誰かに見られていて、海軍に密告されたのか、それとも海軍の人間に見られたかは定かではないが、厄介この上ない。



ローグタウンと呼ばれる町に着き、船を人気のない岩場に止める。
前に奪った財宝を纏めて、ロビンに渡した。

「換金は任せた。俺は少し町を見回ってくる」

「一緒に行かなくて良いのかしら?私がこの財宝を持ったまま逃げるかもしれないわよ」

「そうなれば俺の検討違いだった、それだけの事だ。それに俺は基本物を食べなくても生きていける、船員も同じく。特に金を失っても然したる問題はない」

俺の答えにロビンが一瞬沈黙して呟いた。

「.....信用しているって事にしとくわ。それじゃあ、行くわね」

ロビンが財宝を肩に担ぐように持ち、町に歩いていった。
一見重そうに見えるが、質が良い物が多く、重さはそれほどでもない。
その証拠にロビンは片手で財宝の入った袋を支えている。

「日が高い.....」

まだ時刻は昼になったばかり。
戦闘になれば、戦える者は俺を加え、3人だ。故に戦闘は夜を好む。
単に魚人ゾンビを戦わせる為だけなく、夜目が効く俺にとって、光を頼る生物と戦う際、有利になる、という事もある。
それに.....

「もし本当の危機が迫ったなら【世界】の能力を使えばいい」

今、能力の限界は7秒まで上がっている。5秒、の筈だったが、どうやらロビンの血を吸ったからか、2秒伸びていた。

どうやら、悪魔の実の能力者の血を吸うと僅かだが、世界が成長するようだ。だが、あくまでも効果は一度のみらしい。現にそれから何度かロビンの血を吸ったが、能力に変化は起こらなかった。

「悪魔の実.....悪と付くだけあって、DIOと相性がいいのかもしれない.....科学的原理は分からないが、悪魔の実の能力者の血を吸う度に世界が成長する、これは恐らく当たっているだろう」

力を手に入れる方法はこの世界に多く、存在している。
ジョジョの世界では、波紋。この世界では、覇気と呼ばれるモノに六式があるようだ。
だが、やり方も、鍛練方法もまだ分からない。

「気長に考えればいい。不老の俺に時間は無いと同義なのだから」

運良く覇気か六式を使える人間に会えれば、眷属にすればいい。無理なら色々な手を使って、教えてもらうだけだ。



ローグタウン。
ロビンの話では、ここは海賊時代が幕を開けた場所であり、海賊王が処刑された場所でもあるらしい。
今、その処刑台前に俺は居た。

「当時はこの広場に大勢の人間が押し掛け、海賊王の死を見た。そして、一つの歴史が始まった」

海賊の王が処刑され、そして大海賊時代が始まる.....皮肉だ。いや、本望、と言うべきか?

自分の死と引き換えに時代を作った。
何人もの人間や魚人、様々な種族がワンピースと呼ばれる夢のような代物に思いを馳せ、生きる。
ある者は途中で挫折し、ある者は途中で死する。
それでも、あるかすら分からない夢を手に入れようと海へと出る。

「端から見れば滑稽にしか思えない」

死間際の戯れ言を信じ、ただ進み、戦う。
それで幾人の生物が死んだ。
それでも、未だに海賊は多く存在している。



どれくらいそうしていたのだろうか。
気づけば辺りが赤く照らされており、空には赤い太陽が上がっていた。
夕陽に照らされ、建物や人の影が大きく広がっている。

「あの.....」

背後から声をかけられ、ふと我に帰った。
振り向くと眼鏡を掛けたショートカットの女が居た。腰には刀を下げていて、申し訳なさそうな表情で俺を見ていた。

「何だ?」

「いえ。なんと言いますか貴方が数十分も処刑台の前で立っていたので、それで.....」

なるほど。不審者と思われているようだ。

「ただ時間を潰していただけだ。何もしていない」

「い、いえ!何も疑って、とかではなくっ」

露骨に慌て出す女。
面倒だ、もう船に戻るとしよう。

「別に気にしてない。それにもう行く」

「えっ!ちょっ、ちょっと待ってきゃあ!?」

顔だけで振り返ると女がうつ伏せで倒れていた。
さっきの声からして、転んだのだろう。
だが、不思議な事に辺りには何も足を引っ掻けるような物は無い。

しばらく眺めていると女が自分の顔に手を当て、小さく叫んだ。

「め、眼鏡がないっ。どこどこ.....!」

女が地面に手探りで眼鏡を探し始めた。

反射的に下を向くと足元に女のであろう眼鏡が足元に転がっていた。
女の方を見ると未だに検討違いな方向に眼鏡を探している。
拾う義理は無いが、このまま立ち去ると後々面倒になりそうではある。

「眼鏡だ、女」

「えっ、ありがとうございます!.....良かった、割れてない」

結局眼鏡を拾い、渡した。
女はレンズを空に翳して傷がないのを確認するとこちらに向き直った。

「眼鏡ありがとうございました。私はたしぎって言います」

「そうか。では」

たしぎの礼を簡単には受け取り、俺は背を向け船への道を歩いた。

「ちょっ、ちょっと待ってください!あの、名前は!」

「必要ない。もう会うことはないだろう」

歩きながら、返すとたしぎが俺の目の前に立ち塞がった。
たしぎは少し眉を吊り上げ、睨んでくる。

「でも、こちらが名乗ったのだからそちらも名乗るのが礼儀でしょう?あなたには常識が無いんですか!」

女が俺を指差して、説教をするが如く叫んだ。
今更ながら眼鏡を渡した事を後悔した。
夕陽が気付くともう沈みかけ、空には既に月が輝いていた。

流石にこれ以上は、看過できない。

「最後の忠告だ。邪魔をするな」

「いいえ!あなたには常識を教えてからですっ。それと名前を名乗ってください!」

女は引くどころか俺の肩まで掴む始末。

忠告はした。
これ以上情けを掛けるような程善人ではないし、どちらかと言えば俺は悪人だ。
常に理不尽な暴力を振るう立場にある。

「ぐぅっ!?」

間髪入れずに女の胴体目掛けて蹴りを放つ。
殺す程ではないが、不意を突かれたのもあり、恐らくアバラの五、六本は折れた筈だ。
当然後悔はない。

元より感情が希薄だという事もあったが何より一方的ではあるがこれは女が選択した運命だ。

「許せとは言わない。恨まれようが、構わない。元より罪悪感などないのだから」

俺はそう呟くと未だに土煙を漂わせている広場に背を向けた。

「ま、待ちなさい.....ゲホッ」

その声に振り向くと女が片手で腹を抑え、刀を杖のようにして立っていた。
至る所から出血しているが、量は少ない。
だが、あの怪我では自分の体を支えるのが限界だろう。

「無理はしない方がいい。死にたくないならそのまま誰か来るのを待った方が賢明だ」

それだけ言うと再び船に向かって、歩く。
だが、その足はすぐに止まる。

ブスッ!

何かが体を貫くと同時に口の端から一筋の血が流れた。
顔を下に向けると刀で胸を貫通されている。
ここでようやく自分の愚かさを悟った。

「た、しぎ....確かにアバラを折って瀕死にした筈だ.......」

「ゴホッ.....甘かった、ですね.....敵に簡単に背を向けるなど」

顔を後ろに向けるまでもなく、刺した本人は分かっていた。
たしぎと名乗った少女だ。
そう理解した時、胸から刀が抜かれ、俺の体が重力に従って、地面に転がった。

「思い出し、ました.....少し前に、賞金首のアーロンを倒ゴボゴホッ!....倒した男が、賞金首リストに加わりましたゴホッ!」

仰向けのままたしぎが俺に独白するかのように話始めた。

「あなた、の似顔絵が書かれて、いました」

「......」

この女、海軍の人間だったようだ。
つくづく運がない。
だが、俺は死んでいない、生きてるからこそまだ挽回のチャンスはある。

「.....話は分かった」

「そんな!?心臓を突き刺したのに、死んでない!?」

たしぎが慌てて刀を構え直すが、遅い。
再生の完了した俺は立ち上がり、首を絞めるようにたしぎを持ち上げた。

「甘かったのはお前の方だったようだな、たしぎ」

「ぐ、ぐぐぐっ......」

何とか振りほどこうともがくが、そこは吸血鬼の力、人間の腕力では不可能に近い。
文字通りの詰み。

「チェックメイトだ」

苦痛に歪むたしぎの顔から目を逸らさず、俺はたしぎの細首に吸血を行うため、指を食い込ませた。

























 
 

 
後書き
少し長くなった。

設定
悪魔の実の能力者の血を吸うことで世界は成長する事にした。
ジョナサンのスタンドも出すかは未定だが、六式や覇気は使えるようにする予定。

今の所
時止め7秒
無限ナイフ 
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