古の鉄の巨人を駆る他世界への介入者
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クラス代表決定戦
「千冬、コーヒー入ったぞ」
「ああ有難うキョウスケ」
第3アリーナ管制室
間も無く1組のクラス代表を決める試合が始まろうとしていた。が、肝心の一夏の専用機が何時まで待っても到着しない。山田先生は確認に向かっていて管制室にはキョウスケと千冬しかいない。そのため二人は名前で呼び合ってコーヒーを飲んでいた。そして先程漸く到着し、セシリアとの試合に臨んだ。が
「やはり初期設定ではキツイか。しかもブレード一本のみとは、お前でない限りキツイな千冬」
「そういうお前だって私との初めて戦いだって、初期設定のまま私を追い詰めてじゃないか」
「そうだったな」
そんな風に思い出に身をおいていると一夏の機体に変化が訪れた。一次移行の兆候だった、しかもセシリアのミサイル攻撃が直撃するギリギリのタイミングだった。千冬はそれを目にした時微笑んだ。
「(そうだ、あの時もそうだったなキョウスケ…)」
「 一次移行!?まさか今まで初期設定で戦っていたと言うのですか!?」
一夏は手にしていた近接戦闘用ブレードが変化している事に気付いた。先程のものとは全く違った素人目でも解るほどの業物だった。その剣の名は『雪片弐型』嘗て戦乙女織斑 千冬が世界最強の双璧となった時に振っていた剣の後継剣。そして一夏の左腕の手の甲に少々大型の杭打ち機 (パイルバンカー)、白い機体に馴染むような色ではなく、一際目立つような真紅のカラーリングしていた。名を『リボルビング・ステーク』、キョウスケの愛機である『アルトアイゼン・リーゼ』の前形態、『アルトアイゼン』に装備されていたアルトの代名詞となっている武装だった。
今までキョウスケが自分の事で騒がれないように一夏に自分の事がばれない様にしていた為に一夏はキョウスケの事を余り知らなかった。が、一夏は今日までにキョウスケの事を調べていた為ステークの存在は知っていた。そして、感慨深そうな表情をしながら親愛なる姉とその婚約者である頼りになる兄の武装を見つめた。
「全く俺ときたら、最高の姉さんと兄さんを持ったみたいだな。ったくまいったな」
「何をゴチャゴチャいってますの!?貴方は私には勝てませんわ!己の心に有る恐怖に負けてしまいなさい!」
「それは無理だな」
一夏は剣を強く握った。それと同時にステークが少し稼動して手の甲から退いて剣を振りやすくなった。
「元々お前に勝てる可能性なんて低すぎるからな。誰かに負けるのはしょうがないけどな、キョウスケさんにいわれてるんだよ。『誰かに負けるのはいい、だが自分には負けるな』ってな!!」
一夏は一次移行した事で格段の上昇した機動力と爆発的な加速で一気にセシリアへと向かっていく、セシリアはライフルで一夏を狙い撃ちにしようとするが、一夏は不規則な動きで上へと下へと、右へと左へと動き回る。セシリアは余りにも激しすぎる動きに付いていく事が出来ずに射撃を当てる事が全く出来ない。
「そんな!何故当たらないのですか!!?」
「こんのぉぉおお!!いう事聞きやがれ!!」
実は一夏は自分の意思で不規則な動きをしているわけではなく、余りにも速すぎる速度を制御しきれておらず、スピードに振り回されているだけなのだ。一夏の専用機『白式』は元々は日本のIS企業が設計開発していた代物だが、開発が頓挫して欠陥機として凍結されていたものを束が貰い受け完成させた機体でスペック自体は高水準。が束がそこにキョウスケのアルトの特徴でもあるパイルバンカー、大出力バーニア・スラスターを搭載した事でかなりピーキーなものへとなっている。まだISを全く操縦した事がない一夏にとってはこのピーキーな機体の制御は難しいとしか言えない。
「負けるかよ!キョウスケさんに出来たなら俺にだって!!」
一夏は速度に振り回されながらもその速度を身体に叩き込んで、機体の癖を身体に馴染ませていた。機体に身体が追いつかないならその機体の癖を覚えこみそれに合わせて身体を動かすしかないと思ったのである。そして、一夏の機体捌きにキレが出始めた。
「行けるっ!いくぞオルコット!!覚悟の準備はOKか!!?」
「生意気な!!」
一夏は量産型のISがほぼ常時瞬時加速(イグニッション・ブースト)しているような化け物様なスピードに少しずつではあるが慣れ始めており、セシリアの攻撃を避けながらセシリアの懐に思いっきり向かっていた。先程は見事に引っかかったミサイルでの攻撃もミサイルを一刀両断して、遂にステークの射程内へとセシリアに接近した!
「うぉぉおおお!!貰ったぜ、ステーク!!!」
遂にステークが起動した。一瞬で一夏の手の甲へと移動して回転式薬室が回転して弾がセットされセシリアへと突き刺さり、一夏は一気に弾をバーストさせた。
「きゃぁぁあああああああああああああ!!!!」
白式の『リボルビング・ステーク』は第2世代で最強クラスの威力を誇るパイルバンカーを上回る威力を誇っている。それが全弾バーストされてセシリアのISのシールドエネルギーをごっそりと奪った。セシリアは強い衝撃と恐怖に襲われた。今まで虐げてきた男子にここまで圧倒されるとは思って居なかったのだ。そして一夏の目を見た時、その美しさに心奪われた。
「これでぇえええ!!」
一夏は止めといわんばかりに『雪片弐型』を振り上げて構えた、それと同時に剣がスライドしてそこからレーザー刃が出力されそのままセシリアと振り下ろされたその時!!
『織斑機、シールドエネルギーエンプティ。よってこの試合はセシリア・オルコットの勝利です』
「「…え?」」
後書き
次回、大神 勇太対一夏です!!
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