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八条学園怪異譚

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第四十四話 学園の魔女その一

                 第四十四話  学園の魔女
「聖花ちゃん、いいニュースと悪いニュースがあるけれどどっちを先に聞きたいの?」
「じゃあいいニュースから」
 聖花は一限目の後の休み時間に外に出てすぐにクラスに戻って来て自分の席の前に来た愛実にこう返した。
「聞かせて」
「ええ、今日のお昼普通科の食堂でイカ墨のスパゲティ出るそうよ」
「あれが出るの?」
「そう、特別メニューでね」
 愛実は目をきらきらとさせて聖花に答える。
「そうらしいのよ」
「ええ、そうなの」
「凄いわよね」
「そういえば愛実ちゃんってスパゲティ好きだけれど」
「イカ墨が一番好きなのよ」
「そうよね、イカ墨ね」
 聖花もそれを聞いて言う。
「いいわね」
「じゃあ今日のお昼は普通科の食堂でね」
「ええ、二人で行こう」
「そうしようね」
 まずは昼食の話だった、二人はイカ墨のスパゲティについては目をきらきらとさせて話が出来た、そして。 
 いいニュースの後はだ、愛実は悪いニュースの話をしたのだった。
「大学の魔女の人のことだけれど」
「何か聞いたの?」
「結構あれな人みたいなのよ」
 聖花に曇った顔で話す。
「どうやらね」
「その話何処で聞いたの?」
「さっき学校の連絡観に職員室前に行ったけれど」
 それで外に出たというのだ。
「その時に職員室前に女の子がいてお話してたのよ」
「その先輩のことをなの」
「そう、大学のね」
 それで聞いたというのだ。
「魔術部に凄い変わった人がいるって、美人だけれど」
「美人でも、なのね」
「残念な人みたいなのよ」
 美人だからそれでいいかというとそうとは限らないのが世の中だ、世の中には残念な美人という言葉が実際にあるのだ。
「物凄くね」
「そうなのね、やっぱり」
「そう、やっぱりなのよ」
 こう言う愛実だった。
「まあ何ていうかね」
「どういう感じで残念なの?」
「何でもその人美術部にも入ってるらしいのよ」
 大学の美術部だというのだ、八条大学は美術学部もありそちらでも有名だ。
「元々美術学部の人でね」
「何か予想出来てきたわね」
 聖花は愛実の話を聞いて本能的に悟って述べた。
「画伯なのね」
「そうなの、絵が凄くて」
「ううん、それで残念なのね」
「どうも性格もね」 
 凄いというのだ。
「とにかく一言では言い表せない人らしいのよ」
「青木先輩より凄い人かも知れないのね」
「そうみたいよ、どうやら」
「想像つかないわね」
 聖花も話を聞いていてこう述べた。
「本当にどんな人か」
「私もね、とりあえず今日美術学部に行ってみる?」
「そうね、それじゃあね」
「覚悟を決めてね」
 そしてだとだ、愛実もあらかじめ気を引き締めていこうと言う、そしてその日の部活の後だった。
 二人で大学の美術学部に向かった、まだ二学期がはじまって間もないので授業は本格的にはじまっていない、部活もミーティングだけだった。 
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