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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第6章:女の決意・男の勘違い
  第5話:パラダイスはトラップでいっぱい

(ロザリーヒル)

ビアンカが異なる時代へ召還されてから数ヶ月が経過した。
女同士で気が合うらしく、今日もビアンカとロザリーは紅茶を飲みながら語り合っている。
女から見た男の事を……そして気付けばリュカの自慢を……

常に人目を避け暮らしてきたロザリーには、世界を冒険し色々な事を体験してきたビアンカの話しは、珍しい事ばかりで楽しくて仕方ない。
自分の半分も生きていないのに、濃密な人生を送る彼女の憧れを感じている。

そして行き着くは旦那の話題。
デスピサロに顔は似ているとの事で、ロザリーもリュカに興味津々。
ビアンカも最初は話したがらないのだが、話し出せば止まらない惚気……

巨大な欠点(浮気性)もあるが、それを覆い尽くす程の美点を持ち合わせた旦那の自慢話は止まらなくなる。
するとロザリーは、とある疑問を口にする……

「ではビアンカさんは、こんな所に閉じ込められてるのは不安でしょう?」
それは案に、自分と一緒に閉じ込められてしまったビアンカへ心配する気持ちと、何処かへ行きたいと願っているだろう思いへの不安を口に出しただけなのだが……

「そうね……私が側に居ないと、(リュカ)は絶対に浮気してるだろうから、心配ではあるわね!」
だが返ってきた答えはロザリーの予想とは少し違う答えだった。
自分の境遇への心配ではなく、彼(旦那)の側に居られず、浮気を防げない事への心配であった。

また孤独にならずに済むと解り安堵すると同時に、彼(旦那)が浮気をすると解っていながら、嫌いにならず愛し続けるビアンカに疑問とおかしさを感じるロザリー。
こんな事を思われているとは知らず、話題の人物は一体何をしているのだろうか?

……そう、リュカは今、



(ガーデンブルグ)
シンSIDE

「うわぁ~い☆ 本当に女の子ばかりの国だー!」
何て国だ……
噂には聞いていたが、本当に女性が大半を占める国だなんて……

トップも女王なら、側近等も女官……
兵士も女性で、門番も少女……
男女比のバランスが非常に悪い国ガーデンブルグ。

当然、女性上位な環境がこの国の実情。
別に男性上位が至上ではないけど、こうも女性が幅をきかせて存在すると、男としては居心地が悪い。
だからだろう……自立出来る年齢になった男子は、自ら国を捨て余所へ働きに行ってしまうらしい。悪循環だ!

なのに何であの男は、この居心地の悪い国で生き生きしているのだろうか?
数時間前まで機嫌が悪かったクセに……
嫁さんの事を心配するナイスガイに見えだしたのに……

(マリー)さんに対し厳しめな口調で嫁さんの居場所を問うていた。
マリーさんが見た目と違い多様な情報を抱えてる事は理解するが、そんな事まで知ってる訳ないのに、『本当の事を言え!』と脅し紛いで聞く姿は尊敬に値しない。
娘に八つ当たりするくらい嫁さんに惚れてるのなら、浮気をしなければ良いのに……

なのに、それなのに……
この国に入った途端、機嫌を直しナンパしまくる浮気男(リュカさん)……
何時か痛い目に遭えば良いのだ! 子供とか出来ちゃって、酷い目に遭えば良いのだ!

奴の騒動に巻き込まれたくない俺は、皆から離れ一人裏路地へ入って行く。
この国に辿り着いたのが夕方だったので、天空の盾の情報を求め女王様に謁見するのは明日にする事となってる……
その間は自由行動なので、騒がしい連中と一緒に居るのを避ける俺。

他の連中には決まった彼女が居るし……だからと言ってリュカさんの様に、この国の状況をフル活用しナンパに勤しむ気にもなれない俺は、人目を避けて孤独を味わおうと裏路地に入る。
シンシアが居てくれたら、俺も皆さんの輪に入っていけたのだろうか?

「あの……そこの寂しそうなお方。どうなさいましたか?」
相当寂しそうな顔をしてたのだろう……
民家から出てきた男性に、突然話しかけられ驚く。

「あ……いえ……その……」
見た感じ清潔感ある優しそうな男性……この国では男性自体少ない為、突然の事に驚いてます。
その為、殆ど何も言えず何だか失礼な俺だ。

「旅の方ですか? この国は女性が多いから驚かれたでしょう……」
「あ、はい……何だか圧倒されちゃって……」
一人で裏路地を歩いてた本当の理由は違うけど、人柄が良さそうなので違うと言えなかった。

「私もこの国に永く住んでおりますが、未だにこの雰囲気の慣れません。美しい女性の友人が多いのは嬉しいのですけど、男同士の友情にも憧れてしまいます。あはは……変ですかね?」
変じゃない。全然変じゃない!

「そんなことありません。俺も心許せる男友達がほしいですから……」
「あははは、お世辞でもそう言って頂けると嬉しいです」
何を言う!? あの騒がしい連中と一緒に冒険をするよりも、この男性の様な落ち着く人と友達になる方が、何百倍も楽しそうだ!

「嘘ではありません! 俺は貴方の様な友達が欲しいと思ってます」
「わぁ、嬉しいなぁ……初めて会った人にそんな事を言われるなんて。どうですか、これから私の家でお茶を飲みませんか? アナタの冒険話でも聞かせて頂きたいですね」
このまま町中をブラついても、あの不愉快な連中と鉢合わせるだけだろう……この人の申し出を断る理由があろうか!?

「よろしいんですか? 俺としては是非とも仲良くなって頂きたいですけど……」
「はい。どうぞ入って下さい……今すぐお茶を準備しますから」
俺は言われるがまま彼の家に入り、お茶をご馳走になろうと思う。


室内に入って最初に感じたのは、とても清潔感のあるお宅だと言う事だ。
彼自身も身形を正しており、爽やかな為人をしているが、住んでいる部屋にもそれが反映されている。
随所に女性らしい小物などがあるのも、取っ付きやすさを醸し出している。

「あ、何てこった……私とした事が、お客様を迎え入れたのに、お茶を切らしてるではないか!?」
突如大声を出し、お茶がないことをアピールしてくる男性。
別に水でも構わないのに……俺は色々な話をして友情を深めたいだけなのだから。

「あの、お茶など無くて「直ぐに買ってきますので、アナタは待っていて下さい! あぁそうだ、そこのタンスに凄く美味しいケーキがありますから、先に食べてて良いですよ。私はお茶を買ったら直ぐに帰ってきますから」
そこまで言い切ると男性は慌てて家を出て行った。

とても丁寧な性格の男性なんだなぁ……
初めて会った俺に、そこまで気を遣ってくれるなんて。
お言葉に甘えてケーキをご馳走になろう。
とは言え、俺一人だけ食べるなんて申し訳ないし、あの人の分まで用意して帰りを待とう。

確か……タンスの中って言ったよなぁ……
でもケーキをタンスにしまうって変な人だなぁ……
まぁもっと変な連中は世の中(特に俺のパーティー)に大勢居るのだし、そのくらいは何でも無いけどね!

あれ、変だな……
此処にケーキがあるって言ったのに、それらしい物は何も無い。
つーか、アクセサリー類や小物が入ってるだけで、食べ物を入れておく様な場所ではないぞ。
此処じゃなかったのかな?

(ガチャッ)
目的の物が見つからず困っていると、玄関が開く音が聞こえ誰かが室内に入ってきた。
てっきり先程の男性だと思ったのだが……

「きゃぁー! 貴方は誰ですか!? どうして私の家に居るんですか!!?」
と、大騒ぎをするシスターが入ってきた!
何だ何だ? この女性は先程の男性のご家族かな?

「あ、あの……俺は「は、まさか!?」
入ってきたシスターに事情を説明しようとしたのだが、何やら大慌てで俺を押しのけ、ケーキが入ってるはずであったタンスを調べ出す。
言っておくが俺が食べたんじゃ無いぞ……元から其処には無かったからな!

「ど、ど、ど、どろぼーーー!!! 誰か来てください、私の大切な『ブロンズの十字架』を盗まれてしまいました!」
ブロンズの十字架!? 何だそれは……ケーキの事じゃないの!?

「え、あの……何を言ってるんですか!? 俺はただ……「何処に泥棒が居る!?」
「この男性です!」
兎も角言い訳をしようとしたのだが、突如入ってきた女兵士に捕まり、訳の解らぬうちに牢屋へと入れられてしまった……

何だ……一体何が起こっているのだ!?
全然理解出来ない……何で俺がこんな目に遭っているんだ!?

シンSIDE END



 
 

 
後書き
「何て日だ!? 今日は何て日だ!!」って言わせたくなった。 
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