インフィニット・ストラトス 復讐を誓った血継限界の転生者
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更識簪
学校を終わり、俺が自販機でジュースを買って飲もうとすると山田先生がやってきた。
「紅原君、ちょっといいですか?」
「はい何でしょうか?」
「寮の部屋が決まったのでお知らせに来たんです」
そう言って部屋番号の書かれた紙とキーを渡してきた。
「そうですか、わざわざありがとうございます。けど、俺ホテルに荷物があるので一度ホテルに帰って荷物を取ってきてもいいですか?」
「はい、いいですよ。あ、その前に一度寮の部屋に行って、同室の子に挨拶をしてください」
「同室の子って織斑ですか?」
「いえ、ちょっと待ってください…」
ちょっと待って、俺が織斑って言って『いえ』ってことは同室の子は女子ってことじゃん。いいのかな~年頃の男女を同じ部屋にして、教育的にまずいだろ。
「え~と、紅原君の同室の子は4組の更識簪さんですね」
更識簪……確か父さんの親友の更識さんの娘さんだな。ここに入学してたのか。まあ、知らない女子よりかはマシか。
「そうですか、分かりました。じゃあ俺行きますね」
「はい。私もこれから会議なので」
そう言って俺と山田先生はわかれ、俺は自室となる部屋に向かった。
◇
「ここか」
俺は自室の前に立ち、ドアをコンコンっと叩いた。先に部屋にいるかもしれないの一応してみると、
「…はい」
と、小動物を思わせるような声で返事をして、ドアを開けたのは、メガネを掛けた青髪の少女、更識簪が出てきた。
「えっと……たぶん先生から聞いてると思うけど、これから同室になる紅原燐だ。よろしく?」
あ~なんか初対面の相手みたいに挨拶しちゃったけど大丈夫かな。いや、たぶんそんなこと考えてるのが大丈夫じゃないな。分からないけど。
「燐君…だよね。焔ちゃんのお兄ちゃんの…」
「え、ああ、そうだけど」
「ひさしぶり…とにかく、部屋に…入って。廊下だと注目になるから」
「あ、ああ」
俺は更識に言われそのまま部屋に入った。どうやら、先生がちょっと俺のこと伝えていてくれたみたいだな。
「えっと、悪いな更識。俺が同室になって、何かと不便かもしれないけど…」
「大丈夫…私こそ、一緒の部屋になると…何かと不便かもしれないから…気にしないで。あと…」
「あと?」
「更識じゃなくて…簪でいい」
「え、あ、ああ。分かったよ簪。なら俺も燐でいい。それより…熱でもあるのか?顔が赤いぞ」
さっきから、簪の顔は妙に赤い。体調が悪いのかもしれないな。
「だ、大丈夫」
「そうか。なら良いんだが…もうこんな時間か。俺、一度ホテルに戻って自分の荷物を取ってくるから」
「…わ、分かった」
俺は部屋から出て、学園の外にあるモノレールに乗り、駅の近くのホテルに戻った。一応、焔に連絡を入れることにし、ケータイの連絡先から焔の電話番号を押すと、ワンコールで出てきた。
『あ、お兄ちゃん。どうだったIS学園は?』
「そうだな…篠ノ乃束の居場所と白騎士の正体を探るために入ってみたが、つまんない場所だ。入らなければ良かったかもな」
『そっか~女の園、IS学園での1日でそんな感想か~お兄ちゃん彼女作る気ないの?』
「…復讐なんて馬鹿げたことをする奴が、そんな当たり前の幸せ作りをしていいわけないだろ」
『…それに私が入ること忘れてない?』
「これは俺の勝手な考えだ。お前が自分で自分をその枠に入れることはない。それに俺はお前のウェディングドレス姿と未来の義弟を見るって野望もあるんだ。だから、お前には幸せになってもらわないと困る」
『……ありがとう。お兄ちゃん』
「そう言えば俺の寮の同室の相手が簪だった」
『え、簪って、更識簪ちゃん』
「ああ、お前と昔仲が良かった簪だ。俺昔、怖がられてたからあんましゃべったことないんだよな」
火月と焔とはしゃべってたからな。焔はともかく、火月は俺と顔一緒なのに怖がってなかったな。俺、昔なんかしたっけ。
『怖がられてたって、お兄ちゃんそれ本気で言ってるの?』
「ああそうだが」
『はぁ、簪ちゃんも可哀想に…まあ、夜な夜な襲わないように!いいね!?じゃお休み!』
焔はそう言って、電話を切ってしまった。なんだったんだあいつ。まあいっか。俺は荷物を回収して、学園の自室に戻る途中、ある一つの部屋のドアにたくさんの穴があった。なんだこのドア?
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