転生者が歩む新たな人生
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第40話 修学旅行-2日目-その2
さて、運良くフェイトとの交渉が終わり、その後は何もなく宿屋に帰れた。
その後教員用の時間に露天風呂に入り自分の部屋に戻ろうとしたら、ネギと神楽坂と桜咲と3-Aのハパラッチこと朝倉がロビーで話していた。
やっかいごとの予感しかしないので、何とか絡まれないようにスルーして通り過ぎようとしたのだが、何故か神楽坂に声をかけられた。
「ちょっと、暁。聞いてよ、ネギったらねぇ」
「いや、聞きたくないから他の魔法先生に話してくれ。必要ならその先生から聞くから。じゃぁ」
「ま、待ちなさいよ!」
ちっ、上手く他の先生に押しつけようとしたのに空気を読めない神楽坂のせいで話しを聞かされることになる。
まっ、ぶっちゃけ簡単に言うとネギが車に轢かれそうになったネコを助けるために魔法を使い、杖で空を移動したのを朝倉に見られたらしい。
一応、朝倉はカモに説得され、ネギに協力することにするらしい。
うーん、ツッコミどころがありすぎて話しにならんが、一つだけ確認しなきゃならんな。
「話しても無駄だから話す気もないけど、朝倉はカモに説得されて魔法に関わると言うことで良いんだな?」
「そーそー」
軽い返事だな、朝倉。まぁそれならそれでいいか。
「それならこれからはネギの管理下だな。お前が決めたことだ、精々たくましく生きろ」
例え、カモ経由とはいえ、朝倉がネギの管理下に入ることを承知しているなら何も言えん。魔術師から魔法使いの関係者への過干渉になるからな。
「たくましく生きろって何それ。まるで危険があるみたいじゃない」
「いや、言葉通りだが? 詳しくはネギなりカモなりに聞け」
「「えっ?」」
朝倉と側で聞いてた神楽坂からも驚きの声が上がるがどうしようもないので無視して部屋に戻る。
どう言うつもりで魔法が飛び交う「裏」に関わる気になったかは知らんが、十中八九まともな説明は受けてないんだろうなぁ。何とかしてやりたいと思わないでもないが、確実に学園長の思い通りに進んでいるんだ、どうやっても横やりが入るんだろうなぁ。
まぁ、とりあえず、瀬流彦先生と模蕪先生に状況は話しておこう。こうなった以上それ以後は魔法使い達の問題だ。そのモラルも含めて。
☆ ★ ☆
で、瀬流彦先生達が学園長と話している時にオレ達を遠巻きに監視している関西呪術協会の術者から呼び出しを受けた。
一応表向きには今日見学した施設での麻帆良の学生達の振る舞いについて、公的機関からの呼び出しというカタチだ。
本来、こういった件については新田先生が担当すべきだが、さすがに裏に関わることなので模蕪先生とオレが出るように学園長から指示が出た。
宿での行為については、新田先生と瀬流彦先生と源先生に任せることになってしまうが、事情が事情なので仕方がない。模蕪先生と連れだって呼び出しを受けた。
関西呪術協会の監視員らが借りているのか、歩いて15分ほど離れた旅館の一室で模蕪先生共々監視員で一番偉い責任者らしき人と話す。
なお、その人は崇宰恭司と名乗ったが、オレの記憶に間違いなければ、崇宰家と言うと関西では近衛に次ぐぐらいの名門なので、かなりの大物が出て来たことになる。
で、話しの内容はネギのことだった。
朝倉に魔法がばれた時のことみたいだが、内容が酷い、酷すぎる。
ネコを助けようとする行為は確かに正しい。
が、そのやり方とその後の治め方がてんでダメだ。
ネコを助けようとして道路に突っ込み、その後一緒に車に轢かれそうになったから魔法で車を吹き飛ばす。
吹き飛ばした車は縦に1回転して運良くタイヤから落ちたらしい。
「運転手さんも大丈夫ですかー?」とか声をかけただけでフォローもしなかった上に、認識阻害もかけずに使い魔と話し、杖に乗って逃げて行った。
これが、麻帆良学園修学旅行一行を監視していた関西呪術協会の術者からの説明だ。
当たり前だがアクション映画のスタントばりの動きを強制された車は、そのまま使われていたら確実に事故を起こすぐらい車体のフレームが歪んでいたそうだ。
運転手は外的な怪我は無かったが、こんな事態を放置するわけにはいかず、眠くなったので路肩に寄せて一眠りしたら、「車が吹き飛んで1回転する夢を見た」と関西の術者が車のフレーム共々魔法で記憶を処置してくれたらしい。
ネギぃ………。
模蕪先生共々、余りにネギの杜撰な対応に、顔から火が出そうなくらい恥ずかしいわ。
オレは余りの恥ずかしさに一謝りしただけだが、模蕪先生にいたっては学園長と連絡を取りつつ、ひたすらペコペコ頭を下げている。
学園長も電話越しだが謝罪の言葉を告げた。
そのおかげか、なんとか未熟な魔法使い見習いが引き起こした杜撰な事故として手を打ってもらい、宿に戻ろうとしたら、周りがいきなり慌ただしくなり、崇宰さんは部下らしき人に呼ばれ席を離れる。
「遠坂くーん。これって絶対マズイよねー」
胃の辺りをしきりに抑えながら模蕪先生が声をかけてくる。
「あ? やっぱり模蕪先生もそう思います?」
そんなことを話していると千雨から念話が入る。
「(おい、暁。テメーどこにいやがる。旅館が大変なことになってるぞ)」
「(おや? どうしましたー?)」
「(おや? じゃねぇよ。朝倉のバカが暴走してアホなことをやりだしたんだよ)」
なんか「ネギ先生とラブラブキッス大作戦」とか言って、イベントを開始したらしい。ちなみに参加者は「第1班鳴滝姉妹」「第2班長瀬&古」「第3班雪広&村上」「第4班明石&佐々木」「第5班宮崎&綾瀬」の10人とのこと。
「(千雨と木乃香は参加しなかったの?)」
「(するか、バカ)」
「(せぇへんよー)」
まぁ、そうだわな。
とか話している内に崇宰さんが戻って来た。
………、なんか背中が煤けてるな。
「君らはあれかね? 我々と戦争をしたいんだね。そういうことなんだろう?」
いきなり何を言い出すんだ………。
模蕪先生も何を言われたかわからず、きょとんとしている。
で、なにやら人が入って来て、崇宰さんに耳打ちして出て行く。
「あれだ、君らに話しても無駄だろう。関東魔法協会理事の近衛近衛門を出したまえ」
そう言って模蕪先生に学園長へ電話をかけるように促す。
その真剣な態度に押されたのか模蕪先生は学園長に電話をかけ、直ぐに崇宰さんと代わる。
何の説明もなかったが崇宰さんと学園長との電話越しの会話を聞く限り、関西に何の届け出も無く関西の地で今回の宿を網羅する儀式魔法用の広域魔法陣を作り、戦力増強となる「魔法使いの従者(ミニステル・マギ)」を多数契約するという暴挙に出た者がオレ達の宿にいるらしい………。
((ネギだな))
模蕪先生と目が合い、完璧な意思疎通ができた。
うーん、大げさとも取れるが、実際わざわざこちらの戦力を通知するぐらい気を使って表の行事の一環として修学旅行で関西に来ているのに、確かにこれはないわー。
大甘に見ても挑発行為としてしか言えんな。
ははははは。
学園長詰んだな。
ご愁傷様。
術者を引き渡せとか要求しているけど、端から見たら崇宰さんのが正しいわ。
しかも、ここで宮崎のアーティファクトがバレたら宮崎の人生も詰むんじゃないか? ネギに強力な従者を願っている学園長の人選が当たったと言えるが、読心のアーティファクトとかやばすぎだろう。
関西の言い分が余りに正しすぎてどうしようもないなぁ、とか思っていたら、崇宰さんへ部下の人が耳打ちをした。
すると、電話での会話を中断し、崇宰さんは一度部屋を出て行く。
模蕪先生がおっかなびっくり学園長と会話をしているが、どうやら学園長は詠春殿に話しを持って行ったらしい。
あの会話をしながら詠春殿に話しを持って行くとか、なんともまぁ器用なことで。
そのおかげか、苦虫を噛み潰したような雰囲気で入って来た崇宰さんは一言二言学園長と言葉を交わし---あれは会話じゃないな、うん---、唐突に電話を切った。
後はもうとっとと追っ払われるという感じで、オレと模蕪先生は宿に戻った。
なお、宿では新田先生により捕まった連中がロビーで全員正座で罰を受けていた。
後書き
とまぁこんな感じでパクテイオー祭りは終了しました。
暁が宿にいたら多分邪魔したんでしょうが、いなかったので原作通りにほぼ進みました。
ほぼというのは参加者の千雨が夏美に変わったので。
なお、この件は暁が考えていた以上にマズかったと言うことになります。まぁ知識として知っていても受け取り方次第で対応が変わってしまうことはよくありますよね。
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