八条学園怪異譚
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第四十三話 白蛇その二
「それはそうだけれど蛇はあまり食わないんだよ」
「爬虫類は哺乳類より食べる量が少なくていいからね」
聖花は蛇があまり食べない理由を知っていて猫又に答えた。
「だからよね」
「そうだよ、哺乳類はさ」
彼等自身だ、猫又も含めて。
「体温をコントロールする為のエネルギーが必要だからな」
「それでよね」
「食べないといけないんだよ」
哺乳類よりずっとだというのだ。
「けれどうわばみの旦那は爬虫類だからあまり食べなくていいんだよ」
「その代わり冬は冬眠するのね」
愛実がここでこう言った。
「そうよね」
「あっ、それはないからな」
冬眠はしないというのだ。
「そういうのは」
「そうなの」
「妖怪だからさ」
だからないというのだ、冬眠は。、
「冬眠はしないよ」
「そうなのね、爬虫類でも」
「それはないのね」
「うわばみさんは一年中いるよ」
冬眠せずにだというのだ。
「それでいつも遊んで飲んでるよ」
「本当に試験もなくて」
「夜は墓場で、なのね」
「あの人墓場にはあまり行かないけれどね」
そこはあのアニメの主題歌通りではないというのだ。
「まあけれど遊人よ、それも年季の入ったね」
「何百年よね」
「それ位遊んでるのよね」
「そうだよ、それこそ室町の頃からだから」
その時から生きているというのだ。
「お酒が濁酒しかなかった頃から飲んでるのよ」
「濁酒ねえ、あれもね」
「また独特の味よね」
濁酒と聞いてだ、二人はその味を思い出しながら言った。
「というかあれってマッコリよね」
「マッコリが濁酒よね」
「そうよね、考えてみれば」
「お米から作るから」
「まあそうだろうな、あれは」
猫又も濁酒についてはそうだろうと述べる。
「そのままな」
「そうよね、どう見ても」
「あれは濁酒よね」
二人も猫又が頷いたのを見て応える。
「味もそのままじゃないの?」
「甘いし」
「清酒が出来たのは結構新しいんだよ」
江戸時代である、江戸時代は二百年以上の平和の中で実に様々なものを生み出したがそれは酒にも及んでいたのだ。
「あれはおいらも好きだよ」
「あんたも清酒好きなのね」
「濁酒だけじゃなくて」
「ああ、いける口でさ」
二本の尻尾を猫の様にぱたぱたとさせながら語る。
「あれはいいよな」
「まあね、最近濁酒もよく飲むけれど」
「清酒もいいわよね」
パン屋の娘もこう言うまでだった。
そしてだ、二人は猫又に今晩の考えを話した。
「それで今晩そのうわばみさんのところに行くけれど」
「お土産にお酒持って行こうって思ってるんだけれど」
「じゃあ何でもいいよ」
酒ならとだ、猫又はこう二人に答えた。
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