魔法少女リリカルなのはViVid~英雄の意思を継ぎし子達
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十四話~闇の欠片
前書き
士郎「過去の海鳴に現れたのはかつての敵達」
ヴィヴィオ「その強さの前に私たちは……」
士郎「そして私は彼女と出会う」
ヴィヴィオ「十四話、闇の欠片。始まります」
side 高町なのは
ユーノ君が出会ったって言う三人組。
私服の男の人に制服姿の女の子二人。闇の欠片がまた出てきているから危ないって伝えるために私とはやてちゃんは飛んでいた。
「見つからへんな~。もういなくなっちゃったんやない?」
「アースラでは転移反応は観測してないって。だからまだ海鳴にいるはず……!?」
話しながら飛んでいると急に大きな魔力を感じた。
「この魔力……なんやろ?反応は……2つ?」
「闇の欠片、かな?とにかく行こう!」
「私はあっちに行くからなのはちゃんは向こうをお願いな」
「オッケーだよ!」
はやてちゃんと別れて現場に向かう。
そこで私は出会った。とても不思議な人に……。
side 士郎
「どうした英雄王!その程度か!」
「おのれおのれおのれ!!」
あれから交戦を開始した私だったが、相対する英雄王に違和感を覚えた。
何故ならば王の財宝が弱すぎるのだ。
射出される武具がただ膨大な魔力を詰めただけの出来損ないなのだ。
破壊力がなさすぎる。まるで宝具が宝具として機能していないかのような……そんな感じがする。
(何かがおかしい……)
そんなことを考えていた私はある人物の登場で隙を作ってしまった。
「あ!見つけた!あのー!」
それは……なのはだった。私の知らない、幼い頃の。
「我から目を離すとは、粋がるなよ贋作者がぁ!!」
「しまった!?」
気づいた頃には複数の剣が目の前に迫っていた。
避ける事は出来るが、後ろにはなのはがいる。防ぐしかないが、宝具を相手にやれるのか!?
[scarlet shield.]
そんな思考はシールドを展開してくれたワーカーのおかげで中断されるが、宝具相手では……そう思っていたのだが、その予想は覆された。
なんと、ギリギリではあったが防げてしまったのだ。
宝具の威力は私の魔法では防ぐことはできないはずなのだが、どうなっているのだろう。
「あの!大丈夫ですか?手伝いますよ!」
そんな思考もなのはが語りかけてきたことでどこかへ行ってしまった。
「大丈夫だ。君は下がっていてくれ」
「でも!」
「ここからは本気で行くからな。君を巻き込みたくないのだ」
彼女に傷はつけさせない。何としても。
魔法であの剣群を防げるのならば、いくらでもやりようはある。
「I am the bone of my sword.」
いつもの呪文で己を奮い立たせ、投影するのは緋の猟犬。
魔力を込めている間はワーカーが張ってくれたシールドで剣群を受け止める。
「…………喰らいつけ、赤原猟犬!」
猟犬を放った後に迫る剣群はいつもの夫婦剣で叩き落とす。後ろにいるなのはには傷をつけさせはしない。そして、猟犬は英雄王を貫く。貫かれた英雄王はあっけなく消滅した。
「……は?」
あまりにも簡単に消滅したので拍子抜けしてしまう。そんな茫然状態の私になのはが話しかけてきた。
「お兄さん、すごいですね!あんなに簡単に闇の欠片を倒すなんて。あ、私なのはって言います。高町なのはです」
なのはは今、とても気になることを言っていた。
「闇の、欠片?」
「あれは闇の欠片って言って過去の記録みたいなものなんです」
過去の、記録?あれは、私の……。そこまで考えたところで、結論に至る。まずい、と。
「ッ!?ヴィヴィオ!!」
「あ!ま、待ってくださ~い!」
なのはのことも気になるが、今はヴィヴィオとアインハルトのことだ。私の予想が正しければ恐らくは他のサーヴァント達も現れる。それだけは阻止せねば。宝具頼りの英雄王はともかく、他の英霊の強さは半端ではないのだ。故に最高速度を維持して飛翔を続ける。間に合わせるのだ。何としても。
side なのは
闇の欠片を圧倒したお兄さんは急にどこかに行ってしまった。かなり焦っていたので仲間が襲われているのかも。そんなことを考えていたらはやてちゃんから念話を受けた。
(なのはちゃん、こっちに応援に来れんか?)
(平気だけど……。何かあったの?)
(ちょっと不味いことになりそうなんや。せやから早めにお願いな!!)
(了解!)
不味いこと?強い敵でもでたのかな?とにかく急ごう!
side ヴィヴィオ
私と戦う女の人は見えない得物とその剣の腕前で私を圧倒する。そんな状況が変わったのはプラズマランサーを放ちながら現れた見覚えのある金髪。そう、フェイトさんだった。但し、小さかったが。色々と。
「時空管理局嘱託魔導師、フェイト・テスタロッサです。助太刀します」
「あ、ありがとうございます!」
「何人になろうが、我が聖剣で断ち切る!!」
女の人がそう言うと風が起きて彼女の周囲に集まる。
「風よ。荒れ狂え!」
こちらに襲いくる暴風。受け止めるために防御魔法を展開しようとした時、目の前にいきなりあらわれた赤い背中。
「熾天覆う七つの円環!!」
暴風は私のところまでは届かない。赤い背中の人物…パパの出した盾によって防がれたからだ。
「間に合ったか……」
「パパ!!」
「済まない、待たせたなヴィヴィオ」
私の無事を知り、安堵するパパはフェイトさんへと話しかける。
「君はクロノ執務官と知り合いかね?」
「はい。そうですけど……。あなたは?」
「今それを説明している時間はない。ここを抑えた後で彼に合わせてほしい。そこで色々話をする。連絡を取っていてくれ」
「ですが……」
そこで話が中断された。なぜならばあの女の人がパパに襲い掛かったからだ。
「何故あなたがここにいるのですか、アーチャー」
「それはこちらのセリフだよ、セイバー」
パパのことを知っているかのように問いかける女の人。
それだけではなく、パパもこの女の人を知っている様だ。
「ヴィヴィオ、フェイト。ここは引け」
「だけど!!」
「セイバーは英霊だ。分かるなヴィヴィオ」
英霊。宝具の事を知った時に一緒に教えてもらったその存在。
宝具の担い手。世界と契約した一騎当千の英雄たちのこと。
「わかった。行きましょう、フェイトさん」
「えっ、あの……」
私は渋るフェイトさんを抱えてその場を離れた。
…………………………………………………………………
「と、止まって下さい!!」
大分距離が離れたところでフェイトさんを放す。
離したらすぐに私に詰め寄るフェイトさん。
「どうして離れたんですか?こちらには数の利があったというのに………」
「相手が規格外なんです。私達じゃ足手まといになります」
「そんなことは!」
抗議の声をあげるフェイトさんに対して私は静かに言う。
「あるんですよ。私達がいたらパパが本気を出せない。それに、フェイトさんには……」
そこまで言ったところでフェイトさんに通信が入る。
「はやて?」
『フェイトちゃん!こっちに応援に来てくれへん?』
聞こえて来たのは焦っているような様子のはやてさんの声。
「どうしたの?」
『なんか攻撃の効かへん闇の欠片が出てきたんよ。なのはちゃんとユーノ君、それにアインハルトって言う子も一緒や』
アインハルトさんも一緒なの!?英霊を相手にしてるなんて……。
「わかった。すぐ行くよ」
『ありがとうな!』
そう言うとフェイトさんは通信を切る。
「多分相手は貴女の言う英霊?と言う人だと思います。ですが私は友達を助けに行きます。例え勝てない相手だとしても」
「……解りました。もう何を言っても無駄ですよね。私も手伝います」
「ありがとう。えっと……」
「ヴィヴィオです。衛宮ヴィヴィオ」
「ありがとう、ヴィヴィオ。行きましょう」
「はい!」
そうして私達は新たな敵の元へと向かう。
side アインハルト
やられる、と思った時、私が見たのは魔力弾を避ける女性の姿だった。
その隙をついて鎖付きの杭の拘束を破る。
半ば無理やり拘束から逃れたため、ダメージは大きかったが、動けない程ではない。
「大丈夫ですか~?」
どこか呑気な声で此方に問いかけて来るのはティオの作成者の一人、八神はやて司令。
「助かりました。ありがとうございます」
「ええんよ。それより、あの人、何であなたに襲いかかってるんや?」
「私にも理由は解りません」
此方が会話を続けていると、バイザーの女性が初めて口を開いた。
「獲物が増えましたか……まあ関係ありませんね。貴女達では私には勝てない」
「そんなこと、やってみなければ分かりません」
「威勢が良いですね。ですが……」
その瞬間、またあの杭が飛んで来た。
今度はかなりの速さで。
「くぅ……」
咄嗟に防御魔法で防ぐも、一撃がかなり重い。
「今のを防ぎますか。それならば……ッ」
再び攻撃体制に入った女性がいきなり後ろに飛ぶ。
すると先程まで女性が居た場所にチェーンバインドと砲撃が飛んで来た。
「はやてちゃん!援護に来たよ!」
「はやて、お待たせ!!」
現れたのはヴィヴィオさんのお母様とユーノ司書長だった。だが、やはり小さい。
「4対1、ですか。少し分が悪いですね。ですが……関係ありません。この子の前では、ね」
そう言った女性の前に現れたのは、ペガサスだった。
「ペガサス!?次元世界でも滅多に見ないのに……」
「ふふふ。私の宝具『騎英の手綱』の力ですよ。」
ユーノ司書長の驚きに対して女性は自身の宝具?というものの力だと答えた。
「おっと。しゃべりすぎてしまいましたね。まああなた達はここで私に倒されるのだから別に構いませんが」
彼女のあまりにもこちらを見下した発言に対して私は強く言い返す。
「やってみなければわかりません」
「……無駄な足掻きを。散りなさい」
突っ込んで来るペガサスを迎え撃とうとした私だが、呆気なく吹き飛ばされる。
それに、私だけではなく皆吹き飛ばされていた。
「なんて、威力……」
「強い…」
はやてさんが援軍要請をしているようだが、はたして援軍がつくまで耐えられるのだろうか。
「ふふ、どうですか?かなわないでしょう?」
その通りだ。実力差がありすぎる。
「それでも、諦めないよ!!」
しかし、ヴィヴィオさんのお母様は諦めない。圧倒的な力の前でも。勝てる可能性がほとんどなくても。
「……それでこそ、私のママだよ」
微かに聞こえた声。間違いない。この声は……。
「ここからは私が相手だよ、ライダー!」
「ほう、私の事を知っているのですか」
私のライバル。ヴィヴィオさんのものだった。
side 士郎
「中々やりますね、アーチャー」
「ふむ。君に誉められるのは悪い気がしない」
「ですが……そろそろ決めさせてもらう!!」
セイバーが魔力放出による加速をしながら斬りかかって来る。
その威力はまともに正面から受けたくはないと思わせる程だ。
(このままでは埒があかん。危険な賭けだが…)
英雄王の剣の事から立てていた一つの仮説を確かめる事にした。
彼らの使う武具に神秘が込められていないという可能性。
もしそうならば……。
とにかく、距離をとる。そうしなければ投影などさせてもらえない。
「投影開始!」
投影したのは、ローランの持つ剣、絶世の名剣。
斬りかかってくるセイバーの剣をデュランダルで斬り上げる様に受け止める。
「そんな、莫迦な…」
鍔迫り合いすら起きず、セイバーの剣が両断された。
「私の勝ちだ」
茫然自失のセイバーをデュランダルで斬り伏せる。
セイバーはそのまま粒子となって霧散した。
「一体何なのだ…」
セイバーと英雄王のことから、この謎のサーヴァント達が本人の能力のみが反映されたものであり、宝具が機能していない…いや、神秘の込められていないなまくらであるということが確定した。
だからと言って、ヴィヴィオ達には荷が重い。
「何にせよ、行くしかないな」
ひとまずヴィヴィオ達と合流しよう。まずはそれからだ。
side ヴィヴィオ
「大口を叩いた割にはその程度ですか」
「くっ……」
ライダーの猛攻を前に防戦一方になる。後ろの皆は疲弊していて、時折援護はしてくれるものの前衛は私一人だ。
「底は知れました。終わりにしましょう」
魔力が収束している……今までの比ではないほどに。
決めに来る気だ!
私は身構えるが、ライダーの行動はバイザーを外す、ただそれだけだった。
「え……」
「終わりです。貴女はそこの子達よりは骨があった。でも、それだけです」
体が、動かせない。迫ってくるライダーがやけにはっきりと見えた。
守れなかった……。
………衝撃が、こない。いや、なぜかはわかってはいる。
ライダーと私の間に割り込んだ人物がいたからだ。
「……間に合った、かな?ヴィヴィオ」
「え?」
目の前に現れたのは、黒い服装に銃剣をもち、体に赤い刺青をした少年だった。
「さて、行こうかリリィ」
『うん。トーマ。士郎さんから借りた聖骸布もあるし、防御面は気にしないでね。私もサポートするし』
「じゃあ、行くぞ!!」
何だかまたまたよくわからないことになって来ちゃった……。
後書き
大変お待たせしました。ようやくの更新です。
今回はトーマ&リリィ登場回です。
お気づきとは思いますが、リアクト中のリリィの台詞は『』で統一します。
次回は7月中には完成させたいと思います。
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