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八条学園怪異譚

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第四十二話 百物語その四

「これで」
「そうね、出たらね」
「これで泉の捜索は終わりだけれど」
「遂にね」
 二人で意を決した顔で話をしていた、そしてだった。
 茉莉也も入れて三人でこれから起こることに対して心で身構えた、その三人の周りでまずはだった。
 茶室の壁にあった掛け軸、見事な水墨画のそれが動きだした。
 そして次に壺が、他にも様々なものが動きだす。
 それを見てだ、茉莉也は言った。
「ポルイターガイストね」
「ですね、これは」
「そうですね」
 二人も周囲の騒乱を見て応える。
「百物語で起こるのはですか」
「これだったんですね」
「そうみたいね、この学園ではね」
 百物語を終えた後の怪異、それはこれだったのだ。
 それでだ、茉莉也は冷静に二人に話した。
「とりあえず今回も泉じゃなかったみたいよ」
「そうですね、今回も」
「違いましたね」
 二人も落ち着いた調子で茉莉也に返す、三人で周囲の喧騒を見ながらそのうえで至って落ち着いている。
「それよりもポルターガイストですけれど」
「結構多い話ですよね」
「そうよ、まあ怪談の定番の一つよね」
 茉莉也は自分の周りを飛ぶ茶器を横目に見ながら述べた。
「これもね」
「ですよね、これも」
「そうでしたね」
「結構多いわよ、その原因はね」
「何ですか、その原因は」
「幽霊さんの仕業ですか?」
「その場合もあるわ」
 幽霊の行動であることもない訳ではないというのだ。
「けれどその他にもね」
「その他にもっていいますと」
「どんなのが」
「つくも神とかね」
 ものが長く存在することによって魂を持った存在だ、それで動き回ったりするのだ。
「後はその場の気の状況とかでね」
「それで、なんですか」
「起こるんですね」
「そうよ、今はね」
 今のそのポルターガイスト現象はというのだ。
「百物語を終えてね」
「それで特定の気が出来て、ですか」
「こうなってるんですね」
「そうみたいね、中には原因不明もあるから」
 ポルターガイスト現象のそれがだというのだ。
「今回はこれみたいね」
「ううん、原因不明ですか」
「そういう場合もあるんですか」
 二人は茉莉也の説明を聞いて首を傾げさせながら述べた。
「何ていいますか」
「幽霊さんや妖怪さんについては多いですよね」
「はっきり言うとね」
 この前置きをしてからだ、茉莉也は二人にあらためて説明した。
「世の中理屈だけじゃ全然何の説明も出来ないのよ」
「先輩が仰ると余計に納得できますね」
「理屈だけじゃないっていうのは」
 二人は茉莉也の普段の性格や行動、発言から言った。
「もう滅茶苦茶ですから」
「理不尽の極みで」
「言ってくれるわね、確かに私は理屈は気にしないけれどね」
 二人に正座したままで平然と返す。 
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