八条学園怪異譚
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第四十二話 百物語その三
「ねえ、私が一話かわ三十三話を読んで」
「私が三十四話から六十六話でね」
「それで私が六十七話から九十九話ね」
茉莉也も言って来た。
「三人の受け持ちはね」
「そうですよね、それで最後の百話は」
自分の話を読んでいきながらだ、聖花は言うのだった。
「誰が読むのか」
「そのことね」
愛実も読みながら言う。
「問題は」
「そう、どうしようかしら」
「三人一緒に読むとか?」
茉莉也はここでこう二人に提案した。
「そうする?」
「三人一緒にですか」
「読んでいけばですか」
「そう、そうする?」
茉莉也もまた読みながら言う、話をしているその愛だにも三人共百物語をどんどん読んでいく。そうするのだった。
「最後はね」
「そうですね、それじゃあ」
「三人で」
二人も茉莉也のその提案に頷いた、そしてだった。
三人で読んでいきだ、遂にだった。
その百話まで来た、三人共読むの速かった。
そしてその百話についてだ、茉莉也はまた二人に言った。
「じゃあ今からね」
「はい、最後はですね」
「三人で」
「どうせだから声を出して読まない?」
茉莉也は本を開いたまま二人に提案した。
「そうする?」
「最後は、ですか」
「そうしてしっかりと読むんですか」
「最後が大事だからね」
だからだというのだ。
「終わりよければっていうでしょ」
「はい、確かに」
「その通りですね」
二人も終わりよければ全てよしという言葉にはいいものを感じていた、過程がよくとも結末が悪ければそれで後味が悪いものになるからだ。
だが二人は店の娘だ、それ故にこう茉莉也に言ったのだった。
「トンカツも最後の仕上げが駄目だと」
「メロンパンもですね」
「そういうことなんですね」
「仕上げですね」
「お祓いでもそうだからね」
茉莉也も茉莉也でこう言う。
「最後が肝心だから」
「三人で声を合わせて」
「それで読んで」
「そう、百物語を読み終えてね」
そしてだった、問題はそこからだった。
「何が出て来るか待ちましょう」
「出来れば泉だったらいいですね
「今度こそ」
「そうね、そう思いながらね」
それでだというのだ。
「読みましょう」
「ですね、じゃあ」
「今から」
その最後の百話目をだった、三人は一緒に声を出して読むことにした。そして実際に読んでいき終わるとだった。
本を閉じた、最初に愛実が言った。
「終わったわね」
「そうね」
その愛実に聖花が応える。
「これで百物語はね」
「じゃあ何か起こるかよね」
愛実は真剣な面持ちで言った。
「これからね」
「まさに鬼が出るか蛇が出るかよね」
「そうね、そんな気持ちね」
「泉が出て来るかしら」
聖花は少し切実な感じで目的のことも話に出した。
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