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世界忍者戦ジライヤ×スマイルプリキュア!

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第十三話 道々寄り道回り道

ある弓道部の一日

「・・・・・・・・・・・・」

精神統一をしたれいかが弓を構えると弦を引き・・・

「!!」

的に向かって真っすぐに弓を射った。

矢は真っ直ぐな軌道を描き中心に刺さった。

「ふぅ・・・」

れいかが一呼吸置くと背後から拍手が聞こえ振り返るとある人物の姿があった。

「ワイルドさん?」

闘破の友、世界忍者雷忍・ワイルドだった。

「ブラボー・・・れいか」

「え?ワイルドさんどうしてここに?」

「なぁ~に・・・仕事の途中でたまたま通りかかってな」

れいかの質問に笑顔で答えるワイルド。

「お仕事ですか?・・・どうして?」

「なあに・・・ちょっとな。じゃあな」

そう呟くとれいかに挨拶しワイルドは愛用のギターを持って弓道部を後にした。





第十三話 道々寄り道回り道






翌朝

「はぁはぁ」

兄と共に早朝のランニングをしているれいか。いつもと違うランニングコースの公園を走っていると特設されたステージに何やら人だかりが出来ていた。

「あら?」

ふとれいかが足を止めるとそこにはステージ衣装を身に纏ったワイルドの姿があった。

「あれは・・・ワイルドさん?」

れいかが人だかりに向かってみるとステージ衣装を身に纏ったワイルドの姿が・・・

そして目にも留まらぬ早撃ちで久寿玉を撃ちぬくと歓迎の文字が現れた。

『いかがでしたでしょうか!?雷忍・ワイルドの早撃ちショー!!』

司会進行の声と共にワイルドが一例をするとステージの裏に降りた。

「ふぅ・・・またつまらない事にお前を使ってしまった」

愛銃のマグナムを見つめるワイルド。

するとステージ裏にれいかが居る事に気が付いた。

「ワイルドさん?・・・何やってるんですか?」

物珍しそうな目でワイルドを見つめるれいか。するとワイルドは口を開いた。

「ああ・・・旅費を稼ぐために俺はここで芸人をしているんだ」

「まぁ・・・それは大変ですね・・・」

「君は?」

「私はランニングを今日はコースを変えてみたのですが・・・」

新しい発見をしたれいかと少し照れくさいワイルド。

すると

「!?」

何かの気配を感じ取ったワイルド。

「れいか!何か来るぞ!」

「え?」

ワイルドの言葉に驚愕するれいか。

そして

「ほぉ・・・私の気配に気づくとは流石世界忍者・・・」

トランプと共に現れるジョーカー。すると手に何やら黒いオーラのような物を蓄えていた。

「貴様・・・確かジョーカー!」

「雷忍ワイルドさんですか?・・・ちょうどいいジライヤの前にあなたから始末させてもらいましょう!古の妖術を使って」

黒いオーラをワイルドに向かって放つジョーカー。

すると

「ワイルドさん!」

「!?」

れいかがワイルドを突き飛ばし黒いオーラを浴びてしまった。

倒れるれいかを見たワイルドは・・・

「貴様!よくもれいかを!!」

ジョーカーに向かってマグナム銃を抜きジョーカーに向かって放つワイルド。

「まぁいいでしょう・・・プリキュアの頭脳であるキュアビューティを無力化できただけでも良しとしましょう・・・」

「逃げるのか!?」

ワイルドがジョーカーを追いかけようとするが、れいかの方が心配になり駆け寄るワイルド。

「ワイルドさん?・・・何処に居るんですか?」

「れいか?」

目の前に居るのにれいかが自分の方を見ていない事に不審がるワイルド。

れいかは瞼を閉じたままワイルドを探している。

れいかの様子がおかしい事にワイルドが武神館に連れて行くと哲山がれいかの顔に手をやり状態を確かめた。

「・・・れいかは暗黒妖術にかかってしまったようだ・・・」

「妖術に?」

哲山の言葉に驚愕するワイルド。

「うむ・・・ジョーカーの使った妖術とは相手の視界を奪い暗闇に陥れるものだ」

「そんなものを・・・いつの間に・・・」

すると哲山は続けた。

「この妖術を解くには光龍山の洞窟にのみ生えている薬草を使った秘術しかない・・・だが薬草は光を浴びてしまうと効力を失ってしまい・・・実際にはその洞窟でのみしか秘術を使うことが出来ない・・・とてもじゃないが今のれいかを光龍山に連れて行く訳には・・・せめて闘・・・いやジライヤがここに居れば・・・」

光龍山とは古くから伝わる険しい山脈でありとてもじゃないが、目の見えないれいかを連れていけない。更に今闘破はあかねと共に修行に出ている為不在である。

するとワイルドが決意を伝えた。

「俺がれいかを連れて行く」

「ワイルド?」

「れいかをこんな風にしてしまったのは俺の責任だ・・・俺がれいかに光を蘇らせてみせる!!」

ワイルドの決意に哲山が頷くと早速光龍山へ向かい岩だらけの山道を登り始めるワイルドとれいか。

「足元に気をつけろ」

「はい」

れいかの手を取りながら慎重に登山をするワイルド。目が見えない事もあってれいかの足元もおぼつかない。

すると

「!?」

れいかが石を踏み外してしまいバランスを崩すがワイルドが抱き留めた。その事に安心するれいか。

「大丈夫か?」

「ええ・・・目の見えない登山は思った以上に大変ですね・・・」

傾斜としては大したことの無い山道であっても先を見ることが出来ない不安がれいかにあった。するとワイルドは己の身体とれいかの身体を縄で結んだ。

「これは?」

「こうしておけば離れない・・・この縄の先には必ず俺が居る♪」

れいかを安心させるために陽気に振る舞い残されている触覚で自分が近くに居る事を認識させるワイルド。

その事に安心したのかれいかも先に進む意志が強くなった。

しばらく進むがおぼつかない足では長い距離を歩くことが出来ずに夜になってしまいれいかの状態を考えるとキャンプをすることにした。

山の天気は変わりやすく冷える為体温を維持するためにたき火をし、コーヒーを煎れるワイルドはれいかに手渡した。

嗅覚でコーヒーの匂いを確かめカップに口をつけるれいかは呟いた。

「険しい道ですね」

「そうだな・・・この山はかなり険しい」

「いえ・・・そうじゃありません・・・今の私が険しい道を歩いてるような気がして」

再びコーヒーに口を付けるれいか。するとワイルドは考えた。

「道か・・・そういえば・・・俺は回り道をしているな」

「回り道を?」

「ああ・・・俺はもともと妖魔一族がジライヤにかけた賞金を手にするためにこの国に来た・・・」

「まぁ・・・」

「だが妖魔一族に騙され祖国に帰る資金も無くあそこで芸人として働いていた」

「・・・それは苦労されましたね」

「だが・・・俺は回り道をしたおかげでジライヤと言う最高の友を得ることが出来た。回り道も悪くないさ」

陽気にふるまうワイルドがギターを取り出すと演奏を始めた。それを聴覚で聞くれいか。

「明日は早い・・・俺が見張りをしているから君はもう寝な」

「はい」

ワイルドの奏でるギターの音に安心するれいかは寝袋に入りそのまま就寝するのだった。




翌朝




鳥の囀りの中山道を登るワイルドとれいかは苦労の末、哲山に教えられた洞窟まで辿り着いた。

「さぁ!もう少しだれいか!」

「はい!」

ワイルドがれいかの手を取り洞窟に入ろうとすると何かの気配に気づきれいかを突き飛ばした。

「危ない!」

「ワイルドさん!?」

突如、突き飛ばされたことに困惑するれいか。

すると

「おやおや?気付きましたか!?」

ワイルドの正面からヌッとあらわれるジョーカーの姿が・・・

「!!」

臨戦態勢に入りワイルドが構えた。

「貴様!邪魔はさせん!!」

「ワイルドさん・・・ナンバー1賞金稼ぎのあなたがそんな小娘一人助ける気ですか?縁もゆかりもないんですよ?」

「さぁな!だがジライヤの仲間だって言ってんだからそれでいいじゃねえか!!」

ジョーカーに向かってマグナムを放つワイルド。するとジョーカーはヒラリと回避し仮面に手をかけた。

「友の友は友ですか?ふふふ世界忍者とは揃いも揃って随分お人よしのようですね!!」

ジョーカーは手を合わせると剣を召喚しワイルドに向かって斬りかかった。

「!!」

ワイルドのマグナム銃がジョーカーに向かって放たれるがジョーカーは回避しながら突き進みワイルドの懐を取ると剣を薙いだ。

「!?」

ワイルドのマグナム銃が宙を舞いれいかの手元に落ちた。

だが拾う間もなくジョーカーの剣が繰り出されるとワイルドが背中の忍刀を抜刀しジョーカーの一閃を受け止めた。

「ふふふ!!」

ワイルドをおちょくる様にジョーカーがワイルドから離れるとれいかに向かい一閃を放った。

「!?」

「く!!」

何かの気配を察するれいかだが何処から何が来るか分からず避けられない。しかしワイルドが素早く回り込みれいかへの一閃を防ぎジョーカーを押し出しれいかから離した。

互角に斬り合いが披露されワイルドが崖下に転落してしまった。

「く!!」

ワイルドは空中で体勢を立て直すと岩の出っ張りに舞い降りすぐさま跳躍してジョーカーの元へ舞い戻った。

世界忍者の身のこなしに手こずるジョーカーだがれいかを守りながら戦っているワイルドに対して優勢だと思っていた。

「ワイルドさん」

目が見えずに戦う事の出来ないれいか・・・だがワイルドは自分の為に命を懸けて戦ってくれているれいかは逃げずにスマイルパクトを取り出した。

「プリキュア!スマイルチャージ!!」

瞼を閉じたままプリキュアに覚醒するれいか。

「深々と降り積もる清き心・・・キュアビューティ!!」

「れいか!?」

れいか・・・ビューティが変身したことに驚くワイルド。

するとビューティは手探りでワイルドのマグナム銃を拾い上げ気配のする方へ構えた。

「くぅ!」

「れいか!無茶するな「はあ!!」くう!!」

一瞬の油断でジョーカーに抑え込まれてしまったワイルド。

「さぁ!撃てますか?キュアビューティ!?目の見えない状態でワイルドさんを避けて私だけを撃てますか?」

グリップを握るビューティの手に力が入る。

すると

「私は・・・ワイルドさんと一緒に回り道をして気付いたことがあります・・・たとえ・・・目が見えなくても」

精神を統一するビューティ。

「面白い!さあ撃ちなさい!!」

「れいか!!」

ビューティの耳がジョーカーとワイルドの声を聞き取り声のする方へ向かいマグナムを構えた。

「・・・」

そして嗅覚に神経を全て使いワイルドとジョーカーを判別しジョーカーに向かって構えた。

「な!私がわかるのですか!?」

「いいえ・・・たとえ目が見えなくても私には聴覚と嗅覚があります!!」

「く!!」

ジョーカーがワイルドから離れビューティに向かって斬りかかると引き金を引くビューティだが・・・

カチン!!

「!?」

弾が入ってなかった。

「弾切れですか・・・こけおどしを!!」

ジョーカーの一閃がビューティに振り下ろされる瞬間。

「!!」

ワイルドが割って入りジョーカーの一撃を防いだ。

「れいか!撃て!君ならできる!!」

ワイルドの言葉にビューティは閃いた。

「弾が無いなら・・・作るまでです!!」

ビューティのスマイルパクトが輝くとワイルドのマグナムの銃身に氷の弾丸が形成された。

「プリキュア・・・ビューティブリザード・・・マグナム!!」

「うわああああああああああ!!」

マグナム銃から放たれた氷の弾丸がジョーカーを飲み込み遥か崖下まで吹き飛ばした。

「やった・・・のでしょうか?」

「わからない・・・だが奴があれで死ぬような奴じゃない・・・」

そう言いながらワイルドはれいかと共に洞窟に入るのだった。

一方崖下では・・・

「く・・・う油断しました・・・あれを急がねばならないようですね・・・」

五つの何かを掲げジョーカーは何かの策を練りながら撤退するのであった。

洞窟の中で薬草を見つけるワイルドとれいかは哲山に教わった秘術を施すとれいかがゆっくりと瞼を開けた。

「・・・見えます・・・見えます!!」

光が見えることに感動するれいか。それを見てワイルドも笑顔になる。

そして七色ヶ丘に戻るとワイルドはれいかに謝罪をした。

「すまなかったれいか・・・俺のせいで」

「いえ・・・目が見えなくなったおかげで新しい可能性に気が付きました」

ワイルドの言葉にれいかは笑顔で答えるとワイルドも笑顔になりギターを掲げながら去っていくのだった。
 
 

 
後書き
イラストヒーローコンテストに応募したやよい。その作品に目を付けたジョーカーがアカオーニを使いやよいを捕えた!

急げジバン!アカオーニの体内に閉じ込められたやよいを救ってくれ!!

世界忍者戦ジライヤ×スマイルプリキュア!

本当のヒーロー!

皆見てね!
 
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