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八条学園怪異譚

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第四十一話 百物語と茶室その十三

「八岐大蛇にしてもね」
「あれは蛇ですよね」
「それも物凄く大きな」
「あれから龍になっていったって説もあるのよ」
「あの妖怪からもですか」
「龍にですか」
「本によってはドラゴンの一種にくくられてるわ」
 つまり龍の一種だというのだ。
「だから八岐大蛇もね」
「龍ですか」
「そうも考えられるんですね」
 二人は茉莉也の話に目を瞬かせて頷いていた、聖花にしても龍や蛇のそうした話は知らなかったのである。
「何かそうしたことって」
「色々なものが含まれてるんですね」
「龍神様の神社は比較的新しい神社が多いのかも知れないわ」
 龍は蛇から出たからだ。
「それで古い神社は蛇ね」
「じゃあ先輩のご親戚の方の神社は古いんですね」
「そうなんですね」
「結構以上に古いわよ」
 実際にそうだというのだ。
「何でも奈良時代からあるらしいわよ」
「本当に古いんですね」
「その時からって」
「あまり大きくはないけれど春日大社と同じ頃に建てられたのよ」
 その頃にだというのだ。
「それだけ古い神社なのよ」
「それで蛇なんですか」
「蛇神様ですか」
「そうなのよ。それでこの学園でもね」
 ここで茉莉也は話題を変えた、今度の話題はというと。
「蛇の怪談あるから」
「うわばみさん絡みですか?」
「そっちですか?」
 二人はそう察しをつけて問うた、既にうわばみとは馴染みだからだ。
「そんな気がしますけれど」
「そうなんですか?やっぱり」
「そうなの。小学校の裏にね」
 そこにだというのだ。
「何千年も生きている蛇がいるっていうけれど」
「それがうわばみさんなんですね」
「そういうことですね」
「そうなの、まあ普段は普通の大きさになってるから」
 二人が知っているアナコンダやボアの様な大きさではないというのだ。
「普通の白蛇よ」
「ああ、つまり神様の使いですね」
「そう思われてるんですね」
「そうなの、まあ私はその小学校に行く前からうわばみさんとお友達だったけれどね」
 だからその正体を知っていたというのだ、数千年生きていると言われている白蛇がうわばみだとだ。
「それでもね」
「それでもですか」
「うわばみさんは」
「そうなの、後ね」
「後?」
「後っていいますと」
「あそこも泉の候補地だから」
 そのうわばみがいる小学校の裏もだというのだ。
「あそこもね」
「じゃあ若し百物語が駄目なら」
「次はですね」
「そう、行くといいわ」
 二人に泉の候補地も教えたのだった。
「是非ね」
「出来れば百物語で終わって欲しいですけれど」
「見つかって欲しいですけれど」
 だがそうならない場合はと、二人は茉莉也に話した。
「その場合はですね」
「今度はうわばみさんのところですね」
「行くといいわ、お酒持ってね」
 これは必須だった、うわばみと会うには。 
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