魔法少女リリカルなのはViVid~英雄の意思を継ぎし子達
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十二話~デバイス
前書き
アインハルト「新たな相棒と共に高みを目指す私」
ヴィヴィオ「ライバル達も研鑽を重ねている中、私達が目指す先は?」
アインハルト「第十二話、デバイス。始まります」
side アインハルト
現在私はルーテシアさんと共にある人物に通信を繋げている。
「ども~。八神はやてです。気軽にお姉様、って呼んでな」
「それ全く気軽じゃないですよね」
「だが?」
「「それが良い」」
正直に言わせて貰うと、ノリが意味不明過ぎてついて行けない。
「で、ルーがわざわざ連絡してきたんはその子のことか?」
「正確にはこの子のデバイスを作ってあげて欲しいから、かな?」
説明がばっさりし過ぎな気もするが、私には他に当てがあるわけではないので何も言わずに待つ。
「ふーん。で、わざわざ私を頼ったのはそのデバイスは真正古代ベルカのもの、ってわけやな」
「そう言うことです」
「おっしゃ!任しとき!うちのアギトが一晩でやってくれるで!」
「一晩でなんかできるかー!!」
今まで画面に出てきていなかった手のひらサイズの妖精?のような少女が叫びながらはやてさんに突っかかっていた。
「やほー、アギトお久~」
「おう。ルールー久しぶり」
「元気そうね。その様子なら一晩で……」
「できないからな!!」
何だろう。このやりとりはまるでショートコントを見ているような感じがする。
「ま、一晩は冗談や。で、どんなデバイスがご所望かな?」
「ええと……純粋な格闘技だけで戦えるようにクリスのような補助型がいいかと思っています」
「なる程なー。そんならクリスのシステムがベースに使えそうやから二週間位で仕上げてまた連絡するよ」
「ありがとうございます」
「ほんならまたなー。ルールーんとこにも今度くつろぎにいかせてもらうよ」
「はいはーい。お待ちしてますよー。それじゃよろしくお願いしますね」
そう言って通信はきれた。
「良かったわね、アインハルト。すんなり引き受けてくれて」
「はい…」
だが、少し完成品が不安だと思ったのは黙っておこう。
side ヴィヴィオ
合宿を終え、ミッドに帰って来た私達。
車を取りに行ったフェイトさんとパパを待つ間にインターミドルの話をする。
「確かランスさんはインターミドルのルールとか詳しいですよね?」
「ああ。毎年見に行くし、上位ランカーの何人かとは顔見知りだぜ」
私の問い掛けに追加情報付きで答えるランスさん。
その言葉にリオは驚いているようだ。
「じゃあ、チャンピオンとも…?」
「チャンピオン?……ああ、ジークのことか。……そりゃあ、な。知らねえ仲じゃぁねえぜ」
リオの問い掛けに答えるランスさんはどこかいつもとは違う様子だった。
その事を少し疑問に思う。
「すごーい!サインとか貰ったりしたんですか?」
「あいつはそう言うのは苦手だ。肩書きと違って謙虚なやつだしな。ところでノーヴェ」
「なんですか?」
「お前はこいつらがどこまで行けると思ってる?」
私達がどこまで行けるか。その事を質問されたノーヴェが少し間をあけてから答える。
「ルール特化の選手もいますし、行けてエリートクラスまででしょうね」
「まあそうだろうな」
「うぅ……」
ズバッと言われると少し落ち込む。
「ただ、こいつらはまだまだ伸びそうですから、どうなるかはわかりませんね」
「え……」
しかし、ノーヴェはまだわからない、と言ってくれた。
それは裏を返せば予想を上回ってみせろ、と言うことだろう。
「そうか。ならばもっと厳しく訓練をつけてやることにしよう」
いきなり聞こえた声に振り返るとパパが戻って来ていた。
それよりも、訓練厳しくするって……。
「そうですね。ヴィヴィオのことはお願いします。リオとコロナはあたしが受け持ちますから」
「アインハルトさんは?」
「アインハルトは下手なアドバイスで覇王流の型を崩すより、格上とのスパーで色々身に付けた方がいいと思うんだが……どうだ?」
「はい。私はそちらの方がやりやすいです」
そう言いはなったアインハルトさんにランスさんが話しかける。
「なら俺が知り合いを当たってやろう」
「本当ですか!?」
「おう。ただ、そいつ等は強いぜ?」
「望む所です」
良いなー。上位ランカーとのスパーか……。
「ほう、不満そうだな、ヴィヴィオ」
「え、そんなことないよ!!」
不満が顔に出ていたのかも。これは……。
「なら久々にしっかりと模擬戦をやるか」
「うええ……」
どうやら私に逃げ場はないようだった。
side アインハルト
あれから二週間、デバイスが完成したという連絡を受けた私はノーヴェさんとその姉、チンクさんと共に八神家に向かった。
「もう少しでつくぞ」
「お、あれは……」
ノーヴェさんが誰かを見つけたようで、視線をそちらに移していた。
私もそちらを向いてみる。
「せやっ!」
「ミウラじゃねーか。あいつもインターミドル出るのかね」
ミウラさん、という名前らしい彼女の動きは独特だが、修練を積んできている者の動きだった。
「そう言えば、あいつもランスさんから教えを受けてたな」
「そうだったのか?」
「うん。あいつの『抜剣』はランスさんのやつに似ているから」
上位ランカーだけではない。まだまだ強い相手は沢山いる……!
side ヴィヴィオ
「どうしたヴィヴィオ。もう終わりか?」
「ふぇぇ……。ちょっと休憩……」
現在私はパパ作の特訓メニューとして模擬戦を行っていた。
だが、一つだけおかしい所がある。
「大体、なんで木刀でデバイスと打ち合えるの……おかしいよ」
「武器の性能のみに頼るようではまだまだだな」
そう。パパの武器がおかしい。確かに殺傷能力もないし、武器としての性能も低い。
でも痛い。当たると痛いのだ。
「うぅ……」
「さて、後二十戦程で次の休憩を挟もうか」
「お、鬼……」
私の受難はまだまだ続く。
side アインハルト
八神家にてデバイスを受け取った私は、そのまま八神家の庭でマスター認証を行う。
受け取ったデバイスは雪原豹をモチーフにしたぬいぐるみ外装である。
この子の名前は、クラウスとオリヴィエが雪原豹の子供につけようとしていた名前をつけることにした。
「この子の名前は、アスティオン。愛称はティオ。セットアップ」
…………………………………………………………………
「で、どうだったんだ?」
「はい。八神家の皆さんも相性抜群だ、と太鼓判を押してくださいました」
現在、私はランスさんにスパー相手の事を聞くために通信を繋いでいる。
「そうか。それよりも、八神家に行ったって言うならミウラには会ったのか?」
「はい。ランスさんの弟子だとお伺いしました」
「あいつは強いぞ?なんせ俺が教えてんだ」
「ええ。是非一度スパーの相手をしてもらいたいですね」
その後、スパーの相手として連絡を取って貰った方の名前を聞いた。
ミカヤ・シェベルさん、ハリー・トライベッカさん、エルス・タスミンさんの三人が了承してくださったそうだ。他にも数人返事待ちの方がいる、と教えて貰った。
ここまでしてもらっているのだから、必ず力をつける!
side ヴィヴィオ
「ふぅ……」
「何悩んでるの?」
庭を見ながら考え事をしていた私にママが話しかけて来た。
「パパはなんで木刀でデバイスと打ち合えるのかな、って。あの木刀強化を一切かけてないのに折れないし」
「なるほどねぇ……」
少し考え込んだママは、レイジングハートに何かを頼むと台所へと戻って行った。
「数年前にパパが教導隊に出向した事があってね。その時ビデオを撮ったの」
「確か優が生まれて間もない時だよね?」
「うん。ママが育児休暇で抜けて人が足りなくなって、家に連絡が来たの。そしたらパパが『私が行く』って」
「で、その時のビデオを今から見るの?」
「そう。確かベルカ式の部隊に教えに行った奴だから参考になると思ってね」
さて、どんな内容何だろうか?
…………………………………………………………………
『例えば、この木の枝。これで相手の鉄パイプによる殴打を受け流すことは出来ると思うか?』
『魔力による強化を行えば可能です』
『確かにそうだ。しかし、相手の鉄パイプも強化されていたらどうだ?』
『折れてしまうと思います』
『そうだな。では、実践して見せよう。本当に折れてしまうのかをな』
『…………えっ!?なんで……』
『今枝が折れなかった理由は強化だけではない。衝撃の受け流しを上手く行ったからだ』
『衝撃を外に逃がす事で武器の性能差を縮められる、と言うことですか?』
『まあ概ねその通りだ。武器の性能で劣るのならば、自らの技術で埋め合わせればいい。今回私が教えるのはそういうことだ。そういう訳で、最初は木の枝を使い、折れぬように打ち込む訓練だ』
『『『はい!』』』
…………………………………………………………………
「なるほどねぇ…それであの子達武器の扱いが上手くなってたのか」
「ママも知らなかったの?」
「あの時期は優秀な生徒しか受け持たなかったから、あんまり振り返りしてなくてね」
しかし、武器の扱いか。パパは受け方の技術の話しかしてなかったけど、攻め方の技術だってあるはずだ。
それを上手く複合させられれば……。
「よし!今から特訓だ!」
「明日も学校でしょ?」
「そうでした……」
何はともあれ、当面の課題が決まった。
これからも一層頑張って行こう!
後書き
ようやく完成しました。
最近話が浮かんで来ても、納得出来ずに書き直す。そんなこんなで完成したのが今回の話なのですが、いかがでしたか?
次回は既に完成しているので、明日投稿します。
それでは。
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