BALDR SKY
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04母さんとお出かけ
母さんに連れられてリミットオフエリアである旧大戦時の構造体へとやって来た。どうやら、ここが目的地のようだ。俺はバンシィ・ノルンに移行して移動して来た。シュミクラムが動き回れるような大きな巨大な通路が続いている。
「さて、シャル。そっちは大丈夫か?」
「問題無いよ、母さん」
目の前にはシナンジュを改造して作られた紅の暴君に乗った母さんが居る。ちなみに、改造といっても外観は紋章が変わって、武装が少し変化している程度だが。
「では、今回の任務を送る」
受信された内容は以下の通り。
目標:反統合軍旧構造体
目的:コアの情報及び情報奪取
担当:オフィサー
母さんのPMCでは4つに役割がわけられているようだ。前線で戦うメインのストライカー、防御(囮)メインのフォースガード、殲滅メインのエグゼキューター、支援のオフィサーだ。
「今回の場合、2人だから2つの役割を兼任するのだが、今回は私が3つを担当する。予測戦力比は1対297と比較的簡単な内容だ。だから、敵は私に任せてシャルは最下層にあるコアを目指せ」
「わかった」
1対297を比較的簡単といっている時点で母さんの実力がわかる。
「ジャミングはこっちだけでいいの?」
「ああ、構わん。こっちは直ぐに特定されるジャミングを行う。では、行くぞ」
「了解」
進みだすと、直ぐに警備システムが起動してウイルスとドローンが出現しだした。敵は遠距離支援型の重量級大型ウィルスフィーア・グスタフと機体中央にある砲身が特徴的なシュミクラム、ケルビムのドローン(無人機)だ。
「ボロボロの構造体だが、警備システムは生きている。それに伴い、できるだけビーム・マグナムは使うな。火力がデカ過ぎて構造体が崩壊する」
「了解」
母さんに従って、ビームサーベルを引き抜きながら弾丸の軌道を予測して回避。接近して切り裂く。容赦の無い砲撃戦。絨毯爆撃を受けているような物だ。ただ、奴らの攻撃はそこまで強力ではなく、構造体を破壊する事はない。
「さっさと突破するぞ」
「倒しきらなくていいの?」
ゲームなら全滅させてから進むんだけどさ。
「時間の無駄だ。弾薬も無料ではない」
「確かに」
ゲームとは違うんだし、そっちの方が良いか。弾薬もデータだから、AIに使用料金が取られるんだよね。
「それに、倒してしまった後から侵入してくる奴らが楽なだけじゃないか。人が乗っているシュミクラムだけを殲滅する」
「そりゃ、そうだね」
最低限の敵だけ破壊して、シールドを構えながら奥へと突撃する。奥にあった隔壁は既に穴が開けられていた。
「ちっ、先客がいるか。シャル、探れるか?」
「任せて」
構造体をハッキングして、シュミクラムの反応を探知する。ジャミングがかけられていればその発生源の場所を突き止めればいいのだから容易い。ジャミングの解除も樹形図の設計者にジャミングデータを入れれば簡単に解除できる。
「反応は19体」
「先行組はそいつらか。これからどんどん増えるからな。今はそいつらを殲滅する」
「了解。それじゃあ、ちょっと待ってね」
「どうした?」
お母さんを置いて、ちょっと集中して掌握してします。
「母さん、隔壁の制御を奪ったから最大速度でいこう」
「了解」
俺と母さんは最大速度で敵を無視しなが突き進んで、背後から先行している部隊に追いついた。そこは広いホームで隔壁を破壊しようとしているようだ。そこに、母さんが容赦無くビームライフルを放ち、3体を纏めて破壊する。
「敵襲!」
俺も母さんとは突撃して、クローでシュミクラムを5枚降ろしにして、瞬時に回転しながらブーストで移動してビームサーベルやクローで敵を切り裂いて殺す。これで相手は脳死なのだが、そこに悩む事なんてない。精神力のチートが聞いているんだろう。
「やっ、やめ……うぎゃあああああああぁぁあぁぁぁぁっっ!!!」
俺が7体倒す頃には母さんは11体殺し、1体を尋問していた。というか、こいつらは見た事あるシュミクラムだな。
「シャル、ここはノインツェーンの遺産が眠っているらしいぞ。確保してこい」
「母さんは?」
「私はお客様の歓迎だ」
「了解」
確認してみると、本当に凄い数のシュミクラムがこの構造体に移動してきている。
「どうせなら、ドローンも使おうか」
「雑魚には使えし、壁にはなるか」
「それじゃあ、自爆装置もつけたし、やばかったら自爆させてね」
「了解」
シナンジュを10体ほど配置して指揮権を母さんに渡した。その後、俺は構造体の奥へと進んでいく。無数のウイルスやドローンを撃破していくのは問題にすらならなかった。何故なら、こっちのドローンの方が優秀だからだ。隔壁は全部開けられるし、コアに着くのは容易かった。
「さ~て、コアを掌握して、情報を引き出してやろうかな……」
コアの掌握を終わらせて、データを引き抜く。それを樹形図の設計者に投入するとエラーが発生した。原因をよく調べると、それは判明した。
「副構造体か」
この構造体に寄生するように作られた隠しエリアが存在する。そこへのアクセスポイントもここにある。
「母さん、ちょっと行ってくる」
『良いだろう。気をつけてな』
「了解」
副構造体へと移動すると、目の前にあったのは……巨大なローラーが特徴的なシュミクラムであるアイアンローラー。そして、通路は狭い。つまり、迫ってくるそれから逃げる手段は無い。この副構造体は頑丈に作られているようなので、樹形図の設計者で予測した場所にビーム・マグナムとリボルビング・ランチャーの徹甲榴弾 (MGaAP) を連射で叩き込んでやる。すると、完全に破壊できた。ビーム・マグナムとリボルビング・ランチャーはぶっちゃけフォースクラッシュ技1発分の威力があるし、それを6連射と4連射もすれば大概の敵は倒せる。お金は痛いけど。
「お金稼がないと……」
アイアンクローラーを倒して先に進むと、そこには電子体サイズの通路があった。仕方無いので敵性体がいないかをしっかりと調べた後、電子体に移行して、罠などをないかツールで解析しながら進んでいく。そして、その奥には生体ポットがあった。
「裸の女の子……っていうか、エセルドレーダ?」
紫色の髪の毛をした少女の電子体があった。配置されたコンソールからもデータを引き抜いて解析すると、ノイ先生と同じような存在みたいだ。ただ、ノイ先生と違ってこちらは戦闘面が強化されている。そして、未起動なだけあってマスター登録がされていない。失敗作でもあるようだから当然だ。失敗部分……精神的な部分を樹形図の設計者で修正して、残りの不具合が出そうな場所も簡単に修正する。元から完成間際で廃棄されたもう一つの理由が肉体形成の遅さだったようで、数年も経っている今は既に形成されているようだ。
「えい」
もちろん、俺をマスターに登録して、起こす。すると、ポットが開いて液体が流れ落ちて消える。その後、エセルドレーダが目覚めた。
「マスター、おはようございます」
こうして、俺はチートで貰う物を全て貰えた。
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