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転生とらぶる

作者:青竹
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魔法先生ネギま!
  0394話

「アクセルさん、優勝おめでとうございます」

 例によって闘技場から選手控え室へと戻ると、そこにはリュボースの姿があった。ただ、いつもと違うのはその無表情さの中に柔らかな笑みを浮かべている事だろうか。……まぁ、それなりに付き合いのある奴でないと判別は出来ないだろうが。
 そんなリュボースの言葉に、俺もまた笑みを浮かべて答える。

「ま、最低限の契約はこれで果たしただろう?」
「いえ、ここで満足されては困りますね。1ヶ月後にオスティアで開かれる本戦でグラニクスの代表拳闘士に勝って、ナギ・スプリングフィールド杯をキズクモの代表拳闘士としてが優勝してくれないと」

 数秒前に浮かべていた微かな笑顔を一瞬で消し、鋭い視線で俺を見据えるリュボース。その様に苦笑を浮かべつつも小さく頷く。

「俺も別にわざわざ負けようとは思ってないさ。どうせなら優勝したいとも思ってるしな。賞金とかも魅力と言えば魅力だし」
「お願いします。それで、これからの予定なのですがどうしますか? 普通なら所属する拳闘士団がその辺を調整するなりスケジュールを立てるなりしてくれるのですが、アクセルさんはフリーの立場となっていますから自分でやらないといけませんが……」
「……そうだな、その辺はまだ詳しく考えていなかったな」

 何しろ、俺達はこの魔法世界に来てからまだ殆ど日数が経っていないのだ。それだけに魔法世界の常識には疎い所もある。
 それは俺だけじゃなくてあやか達も同様だろう。
 そんな風に考えていると、唐突にリュボースが口を開く。

「良ければ、私がアクセルさんのマネージメントを担当しましょうか? オスティアまでの移動手段の調達やそれに伴う各種手続き、オスティアに着いてからも拠点となる宿の選択やその交渉。ナギ・スプリングフィールド杯の本戦に出場する為に必要な書類手続きや交渉等。普通なら先程も言ったように拳闘士団の専門の折衝役がこなす仕事ですが……まぁ、オスティア祭が始まるまでは1ヶ月程ありますので専門のマネージャーを雇うという方法もありますが」
「あー……取りあえず判断は少し待ってくれ。俺としてはリュボースに頼みたい所ではあるんだが、他の面子が何て言うか分からないからな。数日中には連絡する」
「そうですか。では、私については闘技場の受付でその旨を話せば連絡が取れるようにしておきます」
「そうして貰えると助かる」

 俺としてはリュボースに任せるというのは全く問題が無いどころか大歓迎なのだが、それをあやか達がどう思うかは実際に聞いてみた方がいいだろう。性格的に合わないという事は無いはずだが……
 そんな風に思った時だった。突然選手控え室のドアが開かれたのは。

「おう、アクセル。いるか?」
「シル、ノックくらいしてから入りなさい」

 入って来たのはつい先程決勝で戦ったばかりのシルとラナ。まだ戦闘が終わって1時間も経っていないというのに、もう動けるというのは凄いな。さすがに身体中に包帯を巻いてあからさまに重傷っぽい雰囲気を放っているが。

「もう動けるのか?」
「はっはっは。俺にしろラナにしろ伊達に獣人じゃないって訳だ。その辺の軟弱な奴等と一緒にして貰っちゃ困るな」
「シルの言う事は多少大袈裟ですが、確かに私やシルは高い回復力を持っているのですよ。それに、この闘技場の治癒術士はなかなかに凄腕でしてね。もちろんすぐに戦闘を……なんて真似は出来ませんが、こうして出歩くくらいなら問題無い訳です」
「ま、そういう訳だ。……ん? そっちの姉ちゃんは確か以前アクセルにインタビューをしていた娘だよな? なんだ、アクセルも手が早いな。優勝祝いに君の一晩を貰い受けるってか?」

 それを聞いてリュボースが微かに眉を顰めたのを見たのだろう。ラナが持っていた剣を鞘に収めたままシルの頭へと叩き付ける。

「痛っ!」
「シル、余り下品な言動は慎むように。彼女に失礼ですよ」
「いえ、お気になさらず。ちなみに私は別にアクセルさんの恋人でもナンパされてた訳でもありません。個人出場でナギ・スプリングフィールド杯の本戦に出るアクセルさんのマネージャーとして雇って貰えないかどうか交渉に来ただけですので」
「……あぁ、なるほど。確かに私達やアクセル君のように個人出場だとその辺が色々と面倒なのは確かですからね」
「あぁ? 面倒臭そうな話をしてるなぁ……にしても、アクセル。お前、強い強いと思ってたけど、なんだよアレは。これでも腕には自信があったってのに、殆ど手も足も出ないで一方的にやられちまったじゃないか。こちとら切り札まで使ったってのによ」

 切り札、と言われて思いつくのはそれぞれ巨大な白虎と猛禽類に変身した事だろう。

「いや、こっちも驚いた。いきなりあんな巨大な虎やら猛禽類やらに変身するんだからな」
「ふふっ、本当は余り人前で見せないようにと部族長からは言われてるんですけどね。アクセル君との戦いで熱くなりすぎてしまったようです」
「部族長?」

 ラナのその言葉を聞き返すと、シルがニヤリと笑って口を開く。

「俺とラナはいわゆる少数部族の亜人の出なんだよ。で、その部族の中でも先祖の血を色濃く引いてる者が使えるのがさっきのアレな訳だ」
「もっとも、それもアクセル君には敵わなかった訳ですがね」
「はっ、別にそれが悪いって訳じゃねぇさ。今回負けたのは単に俺達が弱かったからでしかないからな」
「それは確かにそうですね。私達も少々驕っていたようです。今回の件をいい教訓としてこれから先に活かすとしましょう」
「ま、そういう訳だ。……で、アクセル」

 軽い感じで話をしていたと思ったら、突然真面目な顔になるシル。それは横にいる相棒のラナも同様だった。

「何だ?」
「俺達に勝った以上、生半可な相手に負けるなんて事は絶対に許さないぞ」
「そうですね、どうせなら私達もあのアクセル選手に負けたのならしょうがないと言って欲しいですし」
「ふん、俺がそうそう簡単に負けると思ってるのか?」
「……くくっ、まぁ、確かにな。特に今日見せたのなんか並大抵の奴じゃどうにも出来ないだろうさ。ま、俺が言いたいのはそれだけだ」
「お忙しい所、失礼しました。これからも良い闘争を」

 シルがニヤリと笑い、ラナが優雅に一礼をすると部屋から出て行こうとする。

「お前達はこれからどうするんだ?」

 その背へと声を掛けると、シルがチラリと振り向き口を開く。

「俺とラナの目的は名を売る事だ。今回のこのトーナメントでは優勝こそ出来なかったが、それなりに名前は売れた。まだまだ修行が足りないというのは今日で分かったから、もっと力を付けながら名前を売るさ。……そうだな、次は迷宮攻略とか面白いかもしれないな」
「そうか、じゃあもう会う事もないかもしれないが……」
「さて、どうかな? お前が強者として道を歩き続けているのなら、いつか必ず俺達とその道が交わる時が来る筈だ。……それがどれ程遠くても、な」

 そう言い残し、ラナと共に今度こそ部屋から出て行くのだった。

「強者としての道、か」
「アクセルさん?」

 思わず呟いたその言葉に、一瞬考え込むがすぐに首を振る。

「いや。何でも無い。で、マネージャーに関しては他の皆にも話しておくから近いうちに返事をさせてもらう」
「ええ、お願いします。では、私もこの辺で失礼しますね。アクセルさんも、お仲間が待っているのでしょうから今日は早く帰った方がいいですよ?」
「ああ、そうしよう」

 小さく頭を下げて部屋を出て行くリュボースを見送り、俺もまた既に愛用と言ってもいい全身を隠すローブを身に纏う。
 そのままなるべく気配を消して闘技場から出ると……うわ、やっぱりいたか。
 そこに見えるのは、人、人、人。まるで闘技場にいた観客の殆どが集まったんじゃないかと思われる程の人がそこには存在していた。
 こんな中、選手用の出入り口から外へと出ようものならすぐに俺がアクセルだと特定されて揉みくちゃにされるだけだろう。となると、以前も使った手だが……

「アクセル様はまだかしら」
「弟子入りする為にはまず本格的に戦ってみないといけないだろうな。俺の実力でいけるか?」
「サインを、サインを是非」
「グラニクスのナギのライバルと目される男。……となると、彼ならあのナギの素性を知っている筈だ」
「ナギ様の敵は私が呪い殺す。その為にはあの悪魔の髪の毛なり爪なりを何とかして……」

 ……取りあえず出し惜しみとかは無しでゲートを使って移動した方がいいな。特に最後の奴が怖すぎる。
 周囲の人目がない場所、近くの柱の影へと移動して、この異形化状態でのみ使える影のゲートを展開する。そのまま闘技場から少し離れた場所の路地裏へと出て、ローブで身を包んだまま宿屋へと向かうのだった。
 だが……

「マジか」

 まるで宿を包囲するかのように大量の客が集まっているのを見て、思わず呟く。
 しかも自分達が宿に入るのではなく、中に入る人をじっくりと観察しているのだ。そんな状況で当然宿の中に入るような勇気を持つ者は殆どいない為、もしこのまま宿に入ろうとすれば絶対に目立つ。どこからどう漏れたのかは分からないが、あそこが俺の泊まっている宿だというのが知られたんだろう。

「……しょうがない、か」

 溜息を吐きながら、再び影のゲートへと沈み込む。
 本来なら闘技場から直接宿の部屋へとゲートで移動出来ればいいんだが、俺の能力……と言うか、熟練度ではまだその距離のゲートを繋げることは出来ないのだ。影や闇の扱いが本職のエヴァならかなり長距離でもゲートで繋げる事が出来るらしいのだが。

「あ、お帰りなさいアクセル君。やっぱり影のゲートを使って戻ってきたわね」
「あー、円の勝ちかぁ。大穴であの人の波を掻き分けてくるというのに賭けてたんだけどなぁ」

 部屋に戻った途端、円と美砂の声が聞こえて来る。と言うか、良く見たら俺の部屋に全員が集まっていた。

「ほら、美砂。賭けの商品を渡して貰いましょうか」
「うー……はい」

 美砂が円にテーブルの上に置かれていた自分の分のケーキのうちの1つを差し出すのを見て、思わず笑みを浮かべる。そしてそれを見た美砂は、当然我慢出来る訳が無く……

「ちょっと、アクセル君。私が賭けに負けたのがそんない面白いのかな?」

 ニコリ……というよりは、ニタリとでも表現出来そうな笑みを浮かべつつ俺へと迫ってくる美砂。その様子に、慌ててそれを否定する。

「いやいや、そんな事はないさ。ただ、やっぱりお前達と一緒にいると安心するなぁ……と思っただけで」
「ちょっ、真顔で急にそんな事を言わないでよ。恥ずかしいでしょ!」

 頬を薄らと染めながら美砂が顔を背ける。

「まぁ、何はともあれ……優勝おめでとう、アクセル君」

 千鶴がテーブルの上に置かれていたケーキの載った皿を俺へと差し出してくる。

「はい、優勝おめでとう。今は色々とあって派手にお祝いが出来ないけど、せめてこれくらはと思って女将さんに無理を言って用意してもらったの」
「……アクセル君、あの、最後に使った技とか色々と聞きたい事、言いたい事はありますが、それは取りあえず置いておくとして今は優勝したのを喜びたいと思います」

 あやかも、どこか納得のいかない表情を浮かべながらも祝ってくれる。
 ……まぁ、エヴァから直接氷の魔法を教えて貰っているという事もあり、俺の従者の中で一番魔法に詳しいのはあやかだ。それだけに白炎ノ宴の異質さを理解しているのだろう。

「アクセルさん、優勝おめでとうございます。これをどうぞ」

 茶々丸がそう言い、俺の前へと紅茶を置く。

「ああ、悪い。……さて、色々とあったが何とかナギ・スプリングフィールド杯の予選を突破してキズクモの代表になる事が出来た。後はオスティアでネギ達と合流するだけだな。……安心しろ、あやか。お前の親友はしぶといからきっとこの魔法世界に順応してるさ」
「ちょっ、アクセル君!? 別に私はアスナさんの事なんか……」
「あやかあやか。誰もアスナだなんて単語は出していないんだけど」

 あやかに美砂の突っ込みが入り、そしていつものようにじゃれ合いが始まる。
 こうして、キズクモでの大会最終日の1日は過ぎていくのだった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:715
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    異形化

撃墜数:392 
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