転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
0393話
『さぁ、いよいよキズクモで行われているナギ・スプリングフィールド杯の為の予選も決勝戦! この戦いの勝者がオスティアにて開かれる本戦にキズクモの代表として出場する事となります!』
闘技場へと実況の声が響き渡り、観客席からは歓声が上がる。
『では、早速選手の入場! 東の門からは優勝候補と名高いアランとピエトラのコンビを見事倒して決勝進出だ! その素早く力強い体術は武器など無用。シルザリア・ドリュクス選手! そして優雅に空を舞い、その一閃は全てを斬り裂く。ラナクーナ・クニギア選手です!』
東の門から闘技場の中央へと進み出る2人を見ながら、思わずニヤリとした笑みを浮かべる。まさか予選の予選で会ったあの2人と決勝で戦う事になるとは思いもしなかったな。
『そして西の門。こちらは初戦でグリフィンドラゴンの召喚という大技を見せつけて以来、次々とその底知れぬ実力で観客を沸かせてきました。その頭部から生えている5本の角は勝利の証。魔族、あるいは半魔族? そんなのは関係ない。俺は俺だとばかりに本来は2人1組で参加の大会を1人で勝ち抜いてきたその様はまさに大魔王! グラニクスに出現したあのナギ・スプリングフィールド選手のライバルとも目されている男、アクセル・アルマー選手です!』
……大魔王って……いや、もう言われ慣れてるからいいんだけどな。
思わず苦笑しつつも、西の門から闘技場へと進み出る。
「えらい言われようだな」
中央で俺を待ち受けていた虎の獣人シルが苦笑を浮かべ、鳥の獣人であるラナもまた鞘から剣を抜きながら頷いている。
「それでも私達より長い紹介だったという事は、それだけアクセル君が注目を浴びているという事ですよ」
「さて、どうだろうな。……まぁ、大魔王扱いは今まで何度もされているしな」
こちらも苦笑を浮かべてから2人との距離を取る。シルとラナの2人も同様に俺から距離を取った。
そしてタイミングを見計らっていたのだろう実況の声が周囲へと響き渡った。
『お互い力の限り全力を尽くして下さい。では、ナギ・スプリングフィールド杯、キズクモ代表決定戦……始めっ!』
開始の合図がされると同時に、まずは小手調べとばかりにシルが瞬動で突っ込んでくる。
「がぁっ!」
虎の獣人特有のしなやかな動きで、手から生えている鋭い爪を袈裟懸けに振り下ろす。
1歩後退してその攻撃を避け、空振りしたシル目掛けて攻撃を放とうとしたところで……鋭く空気を切り裂く音を聞き、後方へと跳躍する。
次の瞬間に地面へと突き立ったのは10枚近くの羽根。ラナが準決勝で見せていた遠距離攻撃だ。
「けど!」
左右から生えている角の、影を操る力で影槍を10本作りだしてシルへと射出。
「そんな見え見えの攻撃を……何っ!?」
同時にシルの影へと干渉。影精を束ねてその四肢へと巻き付けて動きを封じる。
そして動きの止まったシルへと10本の影槍がその鋭い穂先を向けたまま突き進む。だが……
「かああぁぁぁぁっ!」
大きく開いたシルの口から、気を纏わせた衝撃波のような物が吐き出され影槍全てを砕いていく。いや、影槍を砕いた程度では対して威力が下がらずにそのまま後方にいる俺の方へとその衝撃波が襲い掛かる。
「ちぃっ!」
舌打ちし、瞬動で跳躍。同時に背中の羽で空中へと逃れる。
「上に来ると思ってましたよ!」
その瞬間、上空へと逃れた俺を出迎えたのはラナの剣。俺を真っ二つにせんと頭部目掛けて鋭く振り下ろされた。
「その程度で!」
羽を使い、バレルロール状に回転しながら剣を紙一重で回避しつつ、すれ違い様に額の深紅の角の効果を使ってラナの進行方向に直径2m程度の炎を作り出す。
「やりますね!」
だが、ラナも然る者。俺がやったように虚空瞬動を足場にして急激に方向転換。炎に突っ込むのを免れる。
お互いの第一手が終了し、背中の羽を羽ばたかせて距離2人から距離を取り、フワリと地上へと着地する。
「はははは」
そんな俺を見ながら、何故か笑みを浮かべるシル。それも戦いを楽しむとかそういう意味の獰猛な笑みではなく、無邪気な笑みと表現してもいいような笑みだ。
「どうした?」
「いや、やっぱり世界にはまだまだ強い奴がいるんだと思ってな。俺やラナもそれなりの力を持つと自負していたが、まさか俺達2人を相手に互角以上にやり合える奴がいるとは思いもしなかった」
「まさにその通りですね。いやいや、ここで貴方と戦えて良かった。このままでは慢心していたかもしれませんからね」
「けど、そんなお前だからこそ……見せよう。俺の……」
「そうですね。そんな貴方だからこそ……見せましょう。私の……」
『全力を!』
2人の声が揃った瞬間、シルが四つん這いになり雄叫びのような声で吠える。
ラナもまた、高い声で鳴く。
そんな様子を見ていた俺もまた、油断出来る相手ではないと判断して早速手札を切る事にする。
『アリアンロッド 契約に従い、我に従え炎の覇王、来れ浄化の炎、燃え盛る大剣、ほとばしれよソドムを焼きし火と硫黄。罪ありし者を死の塵に……燃える天空! ……固定、掌握! 術式兵装白炎ノ宴!』
炎系統の魔法でも最高レベルの破壊力を持つ『燃える天空』を使った闇の魔法。魔法球を手に入れてからあやか達を外へと出して、時差を最大にして練習を重ねてようやく形にした、魔法的な意味での俺が使える現在最大の切り札。
『おおっとぉっ!? これは、これは一体何が起きているのか! シルザリア選手は4mを越える巨大な白虎に。ラナクーナ選手は同様の大きさを持つ巨大な猛禽に。そしてアクセル選手は白い炎に包まれたぞっ!? これは凄い。この闘技場で実況を始めて約10年。ここまで人外が揃っている戦いは初めて見るぞ!』
実況の声が聞こえる中、俺は右手を自分の前へと持ってきて握ってみせる。手、それ自体が純白の炎で構成されており、即ち白炎ノ宴が俺の計算通りに発動している事を意味している。本来、闇の魔法というのは攻撃魔法を己の霊体と融合させて取り込む技術だ。例えば俺が最も多く使用する獄炎煉我は『奈落の業火』という黒い炎で攻撃する魔法を取り込む為にその身に黒き炎を纏う。だが、この白炎ノ宴は本来の闇の魔法のプロセスとは多少違う行程を経ているのだ。炎系統の中でも最高位呪文の1つである『燃える天空』をただ霊体に融合させるのではなく、言わば餌、あるいは種火として使う。霊体と融合した『燃える天空』の炎に俺の魔力を限界以上に注ぎ込み、その炎の色が一切の濁りなき純白となるまで変質させる。本来その色がどれ程の温度を持つのかを現す色温度では白というのはそれ程高くないのだが、この白炎はそもそも俺の魔力が炎と化した存在なのでそれ等には当てはまらない。そしてその純白の炎により自らの身体を再構築。炎を纏うのではなく、炎そのもので身体を形成し、言わば炎の化身とでも呼ぶべき姿になる。それこそが現在の俺の姿。即ち術式兵装白炎ノ宴。
「グルオオォォォォッ」
「クケェェェェッッッ」
シルとラナが高く、高く鳴き準備はいいかと目で問いかけてくる。俺はそれにニヤリとした笑みを浮かべて一歩を歩み出す。
「グルオォォッ!」
シルが変化した巨大な白虎が地を蹴り、その四本足で急激に俺へと接近してくる。
その様子を見ながら炎で構成された指をパチンと鳴らす。すると次の瞬間には俺を構成している炎から巨大な何かが飛び出して跳躍したシルを相手に正面からぶつかり……逆にそのシルの巨体を吹き飛ばす。
『GYAAAAA!』
そこにいたのは、俺と同じく純白の炎で作られた獅子。その大きさはシルが変化した白虎と殆ど差が無い。白虎と純白の炎で形成された獅子は空中でぶつかり、地上でぶつかり、牙を剥き、爪を繰り出し、その巨体で相手を弾き飛ばさんとばかりに激しくぶつかり合う。その様子を見ながら、再び指を鳴らす。
「クケエエエエッ!」
『GYAAAAA!』
次に俺の純白の炎から生み出されたのは同じく純白の炎で出来た巨大な鷲が猛禽類としか表現出来ないような姿になって上空から襲い掛かってきたラナを迎え撃つ。
その巨大な翼で空中を自由自在に飛び回り、お互いがお互いにその鉤爪を、クチバシを叩き込もうとする。
「まだまだだ」
再び指をパチンッと鳴らすと、俺を構成している純白の炎からそれぞれ2匹ずつの獅子と鷲が飛び出していく。
1対1でようやく互角だった戦いだったというのに、急に相手の数が3倍になったのだ。シルにしろラナにしろすぐに防戦一方になる。
これが白炎ノ宴の能力の1つである生命ノ宴。俺を構成している純白の炎に生き物の形を与えて炎獣として使役するというものだ。身体が炎で構成されている以上、触れただけでそれは相手へのダメージとなる。現に、シルやラナも炎獣とぶつかりあう度にその身体に炎によるダメージを受けている。そして使役できる炎獣の数は俺の魔力が尽きるまで無制限に生み出す事が可能となっている。
「グルラオオォォォッ!」
「クエエエェェェッ!」
このまま炎獣と戦っても負けるだけだと判断したのだろう。シルとラナは己を鼓舞するかのように高く鳴くと、多少のダメージは覚悟の上とばかりに獅子と鷲を跳ね飛ばして俺へと向かって来る。しかし……
「グルオオッ!」
決死の覚悟で振り下ろされた白虎の爪による一撃も。
「クエェッ!」
クチバシを剣に見立てたかのような急降下による一撃も。
「無駄だ」
俺の身体を構成する白炎を多少掻き乱しただけとなる。
白虎の爪は俺の身体を構成する炎を微かに揺らしたのみで逆にその前脚を燃やされ、猛禽と化したラナは俺の身体を構成する炎を突き抜け、その瞬間に身体を焼かれてそのまま地面へと叩き付けられる。
白炎ノ宴により、純白の炎で構成された俺の身体には物理攻撃は一切効果がない。今の俺にダメージを与えるのなら、魔力を使った攻撃や気を纏った一撃でないとダメージは与えられないだろう。ただしその場合は俺の魔力で構成された魔法障壁を抜かないといけないのだが。
「さて、降参するか?」
右前脚を火傷し、バランスを崩しながらも俺へと鋭い視線を向けているシルへと告げる。
「……」
無言でありながら、その瞳に映っているのは不退転の決意。
「そうか。ならそろそろ終わらせるとしよう」
ゆらり、と炎を揺らめかせながらトドメの一撃を放つべく白炎ノ宴のもう1つの能力を使用する。
即ち。
『紫炎の捕らえ手』
呪文を破棄し、魔法名だけで魔法を発動。円筒状の炎がシルを包み込む。
『紅き焔』『奈落の業火』
同時に、赤い炎と黒い炎が円筒状の炎に捕らえられたシルへとぶつけられ、その身を焼く。
『槍の火蜥蜴30柱』
槍を持った火蜥蜴が召喚され、シルへと攻撃を仕掛ける。
『紅き焔』『奈落の業火』
火蜥蜴の攻撃で膝を突いたシルへとトドメの一撃とばかりに再度紅と黒の炎を浴びせ……
『ダ、ダウン。両者気絶です! キズクモ代表としてナギ・スプリングフィールド杯に出場するのはアクセル・アルマー選手に決まりました!』
実況の声が周囲へと響き、一瞬シンと静まりかえったかと思うと次の瞬間には爆発した。
その騒ぎの中、白虎と巨大な猛禽類からそれぞれ元の姿に戻った2人はスタッフのタンカにより運ばれていく。
白炎ノ宴の2つめの能力である焔ノ宴。それはあらゆる炎系統の魔法を呪文詠唱抜きで連続発動可能というものだ。ただし、当然魔法の発動に必要な魔力は通常通りに消費されるので通常の魔力を持つ者にとっては余り意味が無いだろう。だがSPが500近くあり、尚且つSPブーストのスキルを持っている俺にとってはこれ以上の能力はないと言ってもいい能力だ。
運ばれていく2人を見ながら、白炎ノ宴を解除しようとして……
「ぐうぅっ!」
ドクンッ、と俺の中で再び何かが脈動する。その脈動は以前感じた時よりも強く、そして深い。これは……一体何だ? やっぱり前々から感じていたように闇の魔法の副作用か何かか? そうも思うのだが、その脈動はいつも通りにすぐに消えていく。
……闇の魔法を使っている時に感じるソレ。一度エヴァに意見を聞いてみたい所だが……なにしろ、現実世界と連絡が付かない以上はどうにもならない。騙し騙し使っていくしかない、か。
「アクセル選手、おめでとうございます」
そんな風に考えていると、いつの間にか近くに1人の女がやってきていた。
マイクを持っているのを見ると、恒例のインタビューなのだろう。
「いや、それにしても稀に見る名勝負と言うか、アクセル選手の圧倒的な強さがさらに際だったような……と言うか、あの変身はアクセル選手の魔法ですか? 技術ですか? それとも種族特有の能力か何かですか?」
「さすがに自分の手札をバラす気はないな」
「うーん、しょうがないですね。では、まずはキズクモの街の拳闘士ファンに一言どうぞ」
渡されたマイクを手に、観客席を見回す。
「まず個人参加、しかもソロで出場した俺を応援してくれた者達に礼を言わせて貰う。今も見て貰ったように、俺の力はそれなり以上のものであると自負している。決してこのキズクモの代表として恥ずかしくない戦いをしてくると約束しよう」
わああああああああああ! という歓声を聞きながら、それが静まってからインタビュアーへと視線を向ける。
「この放送は全国放送と考えていいのか?」
「はい。ナギ・スプリングフィールド杯の本戦に参加する選手のインタビューですので間違い無く」
「分かった。……ナギ・スプリングフィールド、聞いてるか? 俺は約束通りにオスティアにてお前を待つ。そこで会えるのを楽しみにしているぞ」
「おっと、これはアクセル選手とライバルと噂のナギ・スプリングフィールド選手に宣戦布告ですか?」
「まぁ、そうだな。キズクモの皆も俺がオスティアで戦う姿を楽しみにしていてくれ」
こうして、俺は無事ナギ・スプリングフィールド杯の出場権を手に入れたのだった。
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:715
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
異形化
撃墜数:392
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