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ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
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調査開始

 
前書き
短めです。 

 
 まだ、和人はGGOに入ってきてはいない。和人曰く、菊岡がGGOの用意をするから待ってくれらしい。まあ、実際にはわからないがゲーム内での死が現実になっていると言われているのだからそれ相応のことを用意しているのだろうが、自分のところにはあれ以来、一回も連絡がない。こっちは全く準備してないとか言われたらあの顔に一撃拳を叩きこんでやろうと思いながらバイトを終わらせて帰る準備をしているとスマホに着信があった。

「もしもし」
「やあ、ゲツガ君。数日ぶりだね!元気かい?」
「お前の声を聞いて少し気分が悪くなってきた気がしたんだが、それは置いといて、カズのGGOの奴を用意してるらしいな。俺の分はあるのか?」
「ん?ああ、もちろんある、と思うよ」
「おい、何だその曖昧な答えは。まさか実際は用意されてないとか言うパターンじゃないだろうな?それでもしも俺に何かあったらどう責任とってくれんだ」
「君なら何とかなるんじゃないか?」
「ふざけんなよ。とりあえず俺のも用意してくれ。本当に何度もシステム的なものが解除された状態になりたくないんだよ」
「冗談に決まってるじゃないか、君のもあるよ。こちら側が依頼してるんだからい保障はするよ」

 電話越しで少し苦笑してる笑みが想像できる。だが、その苦笑にはどのような感情が含まれているかはわからない。本当に心配している感情ももちろんあるのだが他にも何か別の感情も浮かんでいることはわかっている。

「もちろん、君の奴もちゃんと用意しているよ。だからそこのところは安心してくれていいよ」
「嘘じゃないだろうな?」
「もちろんだよ。そろそろこちらも仕事に戻るから場所の指定は追って連絡するでいいかい?」
「了解」
「じゃあ、いい結果になることを期待しているよ」

 そういう話を数日前にした。そしてその後日にメールが送られてきたので和人のバイクの後ろに乗って指定された病院に向かっている。しかし、このバイクは乗っているとわかるのだが相当臭うし、乗り心地も悪い。GGOで使っている自分のバギーのほうが完全にいい。だが現実にないものをねだっても意味はなくただそれを我慢して病院に向かう。

「カズ、まだつかないのか?これ座り心地が悪いんだが」
「もうすぐだから我慢しろ」

 座り心地の悪いシートの上を揺れながら待つこと数分、ようやく景色が病院内のものに変わり。ようやく降りれると思うと少し気分も良くなってくる。そして病院の敷地内の駐車場に止めてからようやくこのおんぼろのシートから開放される。

「しかし、まさか指定されたのがリハビリしてた場所だもんな。最初聞いたときは驚いたぜ」
「そうか?俺はこっちじゃなくてリハビリは別の施設で麻痺したところをゆっくりと治しながらやったからなー、特に分からん」
「そういえば、お前は別のところだったな。ココに来るのは初めてだし、案内してやろうか?」
「別に敷地内に入って案内板見れば大抵わかるって。じゃあとりあえず行こうぜ」

 そして、和人の後を着いていき病院の三階まで上がると患者のプレートが入っていない病室の前に着いた。

「ここだな」

 和人がそう呟くとノックしてドアを引きあけると、

「おっす!桐ケ谷君、お久しぶり!それと初めまして如月君!」

 二人を出迎えたのはナースであった。どうやら和人は久しぶりと言われているので何回かあってるだろうが自分は初めてなので軽く会釈をする。それを見たナースは手を大げさに振った。

「そんなかしこまらなくてもいいよ。私は安岐っていうの。よろしくね、如月君」
「よろしくお願いします」
「あ……どうも、ご無沙汰しています」

 そう聞いてうんうんという感じで頷くと和人のほうに近づいて二の腕や脇腹をぎゅうぎゅうと触る。それに驚いた和人は声を上げた。

「わ……わぁ!?」
「おー、結構肉ついたねえ。でもまだまだ足りないよ。ちゃんと食べてる?」
「た、食べてます食べてます。というよりなんで安岐さんがここに……」

 そう聞くと安岐さんは答えながら今度はこちらに向かってくると和人のように腕や腹をぎゅうぎゅうと触ってくる。

「あの眼鏡のお役人から話を聞いてるよ。なんでも、お役所のためにネットワークの調査なんだって?まだ帰ってきて一年も経ってないのに大変だね。……君、すごいね……如月君、君って確か特別治療室から出てきたから他の人よりもリハビリとか遅かったはずなのに桐ケ谷君よりも肉がついてるじゃない。しかも、筋肉も」
「ちょっとスポーツをやってるんで。なかなか全盛期には戻ってないんですよね」
「へぇ、そう聞くと気になるね。っと、それは置いといて、今回のモニターチェックは私がやるようになってるから二人ともよろしくね」
「あ……こ、こちらこそ……」
「よろしくおねがいします」

 二人は挨拶をして差し出された安岐ナースの手を握って挨拶を済ませる。

「で、あの眼鏡の役人は来ていないんですか?」
「うん、外せない会議があるとか言ってた。伝言、預かってるよ」

そう言って安岐ナースは茶色い封筒を渡してきた。それを和人が受け取ると中身を確認する。そしてこちらに回す前にその手の中にある封筒に入っていた紙を握りつぶしてポケットに突っ込んでしまった。

 どうせ、あの役人のことだろうから変なことでも書いてあったんだろうと思いながら自分はダウンを脱いでから病室の端にあるハンガーにかけた。

「じゃあ、ネットワークの準備は終わってるから二人とも服を脱いでベットに寝転がってね」
「「へ?」」

 一瞬そういわれて思考が停止するがすぐにベットの脇にある電極を見て納得すると服を脱ぐ。

「おい、優。何でお前は普通に脱ぐんだよ。少しはおかしいと思っただろ」
「何でってそうじゃなきゃ電極が貼れないからだろ。あれを見たら少しはわかるだろ」
「……なるほどな。でも少しは女性の前でそんなためらいなく脱ぐのはやめて置けよ」
「別に看護師だから私は気にしないわよ?桐ケ谷君も早く脱いで」

 特に気にしないと言った安岐ナースはそう言って、和人をせかすと自分はすぐに二つあるベットの奥のほうに寝転がって自分の持ってきたアミュスフィアをセットする。そして被って寝転がると安岐ナースが電極をぺたぺたと貼っていく。

「よし、準備完了。二人の体はしっかり見ているから安心して行ってらっしゃい」
「よ……よろしくお願いします」
「お願いします」

 そしてアミュスフィアを起動させてスタンバイが完了したのを確認できたので意識を仮想世界へと向かわせるために二人はコマンドを唱えた。

「リンクスタート」

 そして仮想世界へと潜って行った。 
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