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久遠の神話

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第五十一話 上からの返事その九

「そしてこの力で」
「私を倒しますか」
「貴方はこのまま押し潰されます」
 スペンサーのその力である重力によってだというのだ。
「次第に重くなり」
「そうなりますね。ですが」
「貴方としてはですね」
「そのつもりはありません」
 彼としてはだというのだ。
「ここで倒されるつもりはありません」
「では」
「私の力も見せましょう」
 高代はスペンサーの重力の中で述べた。
「是非共」
「では見せてもらいましょう」
 スペンサーも高代のその言葉を受けた、そして。
 彼の力を見ることにした、その力はというと。
 高代は右手に持つ己の剣を前に出した、そこから眩い光を放った。
 その光をスペンサーに向かって放つ、それでだった。
 スペンサー自身を撃とうとする。だが。
 彼はその剣を前に突き出した。彼もそうしたのだ。 
 そしてそこから重力を出した、それで高代の光に対した。
 ここで高代を上から襲っていた重力が消えた、スペンサーはそれを見て言う。
「重力の方向を変えさせましたか」
「貴方の重力は確かに強いです」
 ひいては彼の力はだというのだ。
「しかしその強さを見ると」
 するとだというのだ。
「私の力でも対抗できます」
「それでなのですね」
「私の力を貴方に向ければ貴方はその力を私の光に集中せざるを得ません」
「貴方をそのまま押し潰すには時間が少しかかります」
 少しだ、だがその少しの間になのだ。
「そこで私が貴方の攻撃を受けては話になりません」
「だからです」
「貴方は私の力に向かうよりも」
「貴方に向けたのです」
 力を使うスペンサー自身にだというのだ。
「そうしました」
「考えられましたね」
「剣士の戦いで大事なのは」
「力と技に」
「そして頭です」
 それもだというのだ。
「戦いには頭脳が必要です」
「そうです。愚かな者は戦いに勝てません」
 例えどれだけの力と技を持っていてもである。
「それはなれません」
「その通りです。ですから私もまた」
「考えられたのですね」
「敵の矢を撃っても仕方がありません」
 高代は言った。
「その矢を放つ者を倒せばいいのです」
「では」
「この力で」
 こうしてだった。彼等はそのまま力をぶつけ合った。光と重力は一進一退でせめぎ合っていた。そしてその中でだった。
 次第にスペンサーの力が勝ってきた。彼はそれを見て言った。
「少しずつですが」
「貴方の方がですね」
「勝ってきています」
 その通りだった。少しずつだがそうなってきていた。
 スペンサーはそれを見て力をさらに入れた。だが高代は。
 ここで一旦力を出すことを止めた。そして。
 身体を左に捻った。するとだった。
 スペンサーの重力は高代の光を完全に押し切りそのまま突っ切った、だがその重力は高代にかわされていた。
 そしてそのうえでだった。
 高代は捻った身体の態勢を元に戻し剣を次々に前に繰り出す。そのうえで無数の光の矢をスペンサーに向けて放ったのだ。 
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