さらばジャマイカ
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第二章
「びっくりしたからな」
「あまりにも違うからだね」
「そうだよ、本当にここはな」
「別世界だね」
「夏だよ」
まさにそれだというのだ。
「冬じゃなくてな」
「常夏の国だっていうんだね」
「だからな、冬の失恋なんてな」
この国で忘れろというのだ。
「ビーチに行ってな」
「泳ごうか」
「その前にホテルに行こうか」
リチャードは最初はチェックインにしようというのだ。
「そうしようか」
「ホテルだね」
「もう予約してるからな」
「どんなホテルなんだい?」
「俺が前に泊まったホテルだよ」
その最初にこの国に来た時にというのだ。
「いいホテルだったからあそこならって思ってな」
「それでなんだ」
「そうさ、じゃあ行こうか」
「うん、じゃあね」
僕は彼の言葉に頷いてそうしてだった。
二人でそのホテルに向かった、そのホテルはというと。
アメリカによくある様なホテルだった、高くしかも近代的だ。中も綺麗で整っている。ジャマイカにいる気は部屋にはあまりしない。
けれどプールがありそこから海が見える、水着の美女が何人もいるしジャマイカ風の明るいバーもある。
ホテルに荷物を置いて水着に着替えてそのプールで泳ぐ、リチャードはその中で一緒に泳ぐ僕にこう話した。
「ここはジャマイカの企業じゃなくてな」
「アメリカの企業だね」
「そうさ、我が国の企業が経営してるんだよ」
「リゾート地は収入が見込めるからだね」
「そうさ、それでだよ」
「我が国の人間はお金になりそうなところには絶対に来ているね」
「ははは、俺達もだろ」
他からぬ僕達もだとだ、リチャードは笑って僕に言って来た。
「それは」
「それもそうか、遊びに来ているからね」
「そうだよ、だからだよ」
それでだというのだ。
「アメリカ人が遊びに来ているのならな」
「アメリカ人が稼ぎに来る」
「それがアメリカだろ」
「確かにね、その順序が逆になる場合もあるけれど」
「だからな」
「このホテルもなんだね」
「そうだよ、じゃあいいな」
「うん、泳いでだね」
「泳ぎ疲れたらフルーツを食おうか」
「ハンバーガーもあるぜ」
アメリカといえばこの料理のこれもだった。
「この店は料理もいけるんだよ」
「へえ、それはいいね」
「しかもトロピカルな感じにしてくれてるんだよ」
そのハンバーガーもだというのだ。
「それがまた美味いからな」
「じゃあそれも食べて」
「外に出てもいいからな」
「海だね」
「ああ、とにかく楽しむんだよ」
今はだ、そうすべきだというのだ。
「いいな、思う存分な」
「そうだね、それじゃあね」
それが今の僕の為になるからだ、リチャードは僕に勧めてくれる。そして実際に。
僕はプールとそこからすぐに行くことが出来るホテルが経営しているビーチで泳いだ。海は澄んだマリンブルーで先は濃いスカイブルーの空と合わさって白くなっている。波と雲は白く二つの青を映え立たせている。
ビーチは太陽の光で黄金色に輝いている様に見える、僕達はその中で水着姿の見事なスタイルの美女達を見ながら泳いだ。
そしてレストランでハンバーガーやスペアリブ、サラダを食べる。ハンバーガーの中にはパイナップルが入っていてサラダの中にもトロピカルなフルーツが多く入っている。それはフィラデルフィアにはない味だった。
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