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万華鏡

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第四十話 二学期のはじまりその一

               第四十話  二学期のはじまり 
 二学期がはじまり始業式を迎えた、その直後にだった。 
 琴乃は自分の席に彩夏を迎えることになった、彩夏は彼女ににこにことしてこんなことを言ってきたのだった。
「ねえ、朗報よ」
「朗報って?」
「駅前のハンバーガーショップあるじゃない」
 食べ物の話だった、その朗報とは。
「あそこ今日食べ放題らしいわよ」
「ハンバーガーで、なの」
「一人九八〇円でね」
「へえ、それで食べ放題なの」
「どう?いいでしょ」
 琴乃ににこにことして話す。
「一緒に行かない?皆でね」
「そうね、午後の部活に出て」
 当然その間には昼食がある、弁当は既に持ってきている。
「その後でね」
「ハンバーガー食べ放題ね」
「いいわね、ハンバーガー好きなのよ」
「嫌いな人はあまりいないわよね」
「ええ、それじゃあ五人でね」
 これで話は決まった、琴乃は携帯のメールで他の三人にも連絡したが返事はすぐに返って来た。その返事はというと。
「皆ね」
「行くっていうのね」
「ええ、そうよ」
 それで話が決まったというのだ。
「じゃあ五人でね」
「行こうね。フリードリンクらしいし」
「飲み物もなの」
「それで九八〇円は安いでしょ」
「ええ、本当に」
「これがカレーだとね」
 カレー食べ放題、これはどうかというと。
「案外あまり多く食べられないけれどね」
「カレーはそうよね」
「御飯はお腹が膨れるから」
 だからカレー食べ放題からモトを取ろうと思うとかなりハードだ、同じ御飯でも寿司はそうでもないがカレーはまた違うのだ。
「あれは止めた方がいいのよね」
「そうなのよね」
「けれどハンバーガーはいけるから」
「ええ、一個一〇〇円だから」
 琴乃はとある世界的なハンバーガーのチェーン店の値段から考えた。ただしこの値段は社長の迷走で高くなってしまった。
「それだと十個は食べないと」
「モト取れないけれどね」
「一人十個ね」
 琴乃はその数について腕を組んで考えた、彼女は自分の席に座り彩夏はその彼女の前に机に両手をついて立っている。
 その彩夏にだ、琴乃は言う。
「結構ハードかしら」
「ううん、言われてみれば」
「だから九八〇円なのかしら」
「よく考えたらハンバーガーって」
「ええ、結構コスト安いわよね」
「パンとレタス、ピクルスに」
「玉葱を細かく刻んだのを入れて」
 四角であることが多い、この時の玉葱の形は。
「それとハンバーガー」
「基本はこうよね」
「言われてみればね」
「バリエーションはあるけれど」
 チーズバーガーなりダブルバーガーなりあってもだ、そのコストはだった。
「今だとね」
「かなり安いわよね」
 それでだった。
「九八〇円でもモトを取るには」
「一人十個ね」
「これは修羅場ね」
「そうよね」
 こう二人で話す。 
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