ヘタリア大帝国
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TURN86 宇宙台風その六
「それでは」
「海軍としても異論はありません」
続いて東郷も応じる、彼は海軍の敬礼だ。
「では共催としましょう」
「料理にお酒に」
日本はさらに言う。
「用意して下さい」
「了解です」
「では」
こうして海軍と陸軍の共催のパーティーが開かれた、他の枢軸国の面々も招かれたそれはかなり盛大なものだった、だが。
クリオネは陸軍が出しているオードブルを見て目を点にさせて言った。
「・・・・・・何なの、これ」
「お握りにお惣菜ですね」
サフランがそのクリオネに冷静に答える。
「日本のお料理ですね、どれも」
「ジャガイモの煮っころがしに蒟蒻を煮たのに野菜の佃煮に豚汁だね」
アグニも話す。
「そういうのだよね」
「それはわかるわよ。けれどね」
「けれど。どうしたんですか?」
「だからパーティーに出すものなの?」
クリオネが唖然となっているのはこのことだった。
「海軍さんを見なさいよ、海軍さんを」
「うん、凄いね」
アグニは海軍側が作ったテーブルを見た、そちらはというと。
寿司にテリーヌ、点心にだった。
和漢洋の様々な馳走があった、それはさながら宮廷料理だった。
それに対して陸軍はそれだ、クリオネは唖然としながら言うのだった。
「美味しいかも知れないけれど」
「味はよくないです」
サフランは実際に筑前煮の鶏肉と蓮根、牛蒡を食べてから答えた。
「素人さんが作ったものですね」
「素人さんって」
「日本陸軍では給養員はいません」
専門に料理をする人間はいないというのだ。
「兵士の人達が持ち回りで作っています」
「それでなのね」
「はい、素人さんがです」
作って出しているというのだ。
「そうなっています」
「今時凄いわね」
クリオネも話を聞いて呆れることだった。
「というか専属のコックがいないのね」
「何でも軍人は美食を要求してはならず」
「メニューも粗食で」
「はい、質実剛健であるべきとの考えでして」
「あの長官さんらしい考えだけれど」
それでもだと言うのだ。
「それでもね」
「パーティーに出すにはですか」
「これはないでしょ」
クリオネは牛肉の大和煮を食べてみた、その味もだった。
「確かにまずいわね」
「どう見ても専門職の方の料理ではないですね」
「焼き魚も焼き過ぎだよね」
アグニが食べているそれは黒焦げである、鰯らしい。
「陸軍さんってこんなの食べてるんだね、いつも」
「というか凄いわね」
クリオネは呆然となったままだ。
「私達今まで日本軍というと海軍さんにばかりお世話になっていたけれど」
「陸軍さんはこうだったのですね」
「お酒は日本酒だけね」
一升瓶がいくつもどんと置かれている。
「海軍さんがワインにカクテルになのに」
「まさに天国と地獄ですね」
「壮絶なものね」
「このカレーは何たい?」
三人の祖国インドも来た、クリオネは今はインド国籍になっているので彼女にとっても祖国になるのだ。尚クリオネは今はインドの財務大臣になっている。
その三人にだ、インドは陸軍のカレーを食べて言うのだった。
「適当に切った野菜に肉がルーに入っているだけたい」
「人参に玉葱にジャガイモに」
サフランもそのカレーを食べてみてコメントする。
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