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好き勝手に生きる!

作者:月下美人
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第三十三話「協会娘がオカ研部にinしました」

 
前書き
後日談のようなものです。というか、後日談です。そのため今回はちょっと短めです。
さて、皆様お待たせしました! 今回で話がひと段落したので、次話からはレイのターンです! 

 


 あの過激な夜を明け、翌日。


 今日も無事に朝を迎えた俺たちはいつものように部室に集まっていた。


 この場にいるのは部長、朱乃さん、木場、小猫ちゃん、アーシアのいつものメンバー。この中に、あのやかましいチビッ子がいないのはやっぱり違和感を覚えるな。


 ――ったく、一体いつになったら帰って来るんだよアイツは……。


 部長や朱乃さんなんか事件が一段落したためか、また落ち着きのない様子が表に出てきているし。っていうか、朱乃さんはともかく、部長も最近レイに対する態度が変わって来ていますよね? 一体、部長の中でどんなビックバンがあったっていうんだ!


 そして、小猫ちゃんの食欲が明らかに減退している! いつもは羊羹、団子、煎餅とこの小さい身体のどこにこんな量が入るんだってくらい一杯食べるのに、今は羊羹だけしか手を付けていない!


 くぅ~! こんな美女美少女に想われているアイツが憎いぜ……。今ならこの憎しみでコカビエルを瞬殺できると思う。神器は持ち主の想いに応えるっていうし。


 それはそうと、今日は珍しい客がいるんだった。


 前回、共同戦線を張った協会娘ことゼノヴィアだ。


 デュランダルの担い手である彼女は腰を下ろしアーシアに向けて深く頭を下げた。


 日本風の謝罪、土下座だった。


「すまなかった。主がいないのなら、救いも愛もなかったのも頷けるからね。それに以前、キミを魔女と呼び、ひどく暴力的な発言をしてしまった。本当にすまなかった。キミの気が済むというのなら殴ってくれて構わない」


 ちょっと意外だった。宗教に関係することは頑なだと思っていたけど、自分の非を認め謝る柔軟性は持っていたんだな。


 表情があまり変わらないからどこまで本気かわからないけど


「……そんな、私は気にしていません! ですから頭を上げてください! 主がいないと聞いてショックを受けましたけど、今の生活に満足しています。悪魔ですけど、大切なお友達も、大切な家族も――大切なヒトもできました。私はこの出会いと、今の環境だけで本当に幸せなんです」


 聖女の名に相応しい慈愛の籠った微笑み。うぅ……アーシアちゃんの言葉にお兄さん感動したよ!


 驚いた顔で頭を上げるゼノヴィア。驚愕で見開いた目を緩ませた。


「アーシア・アルジェント……。キミのようなヒトをなぜ魔女と呼んだのだろうな……」


 一つ頷いたゼノヴィアは立ち上がった。


「――では、改めて挨拶をさせてもらう」


 バサッ!


 ゼノヴィアの背中から黒い翼が生えた。


「リアス・グレモリーから『騎士』の駒を賜ったゼノヴィア・アグニールだ。神がいないんでね、やぶれかぶれで転生させてもらった。この学園にも編入することになっている。クラスはそこの赤龍帝と同じクラスだそうだ。新人だがよろしく頼む」


 そう、なんとゼノヴィアが悪魔として転生したんだ! 消費した駒は一つだけで大丈夫だったらしい。あくまで価値があるのはデュランダルであって、彼女自身はあまりすごくないのかな?


 ちなみに聖剣は協会に返したらしい。もともと協会が所有しているものだからな。


 この場にいないイリナは砕けた聖剣とハルパーの遺体を持って教会に帰還したようだ。神の不在をしらないのはあの場にいなかったイリナだけだからな。世の中知らなくてもいいことってあると思うんだ。


 まあ、なんにせよ、デュランダル使いが仲間になったんだ。ちょっといざこざがあったけど、これからよろしく頼むぜ!


「デュランダル使いが眷属になったのは頼もしいわ。これで裕斗とともに騎士の二翼が出来たわね」


 優雅に微笑む部長。ゼノヴィアが木場の前に進むと手を差し出した。


「我が聖剣デュランダルの名に懸けて、聖魔剣使いであるキミと再び手合わせがしたいものだね」


「いいよ。今度は負けない」


 木場も笑顔で握手に応じる。熱いなにかを感じるぜ。


 それを確認したゼノヴィアは部室を後にしようとするが、その背にアーシアが声をかけた。


「あの、ゼノヴィアさん。今度の日曜日に皆さんで遊びに行くんです。ゼノヴィアさんもどうですか?」


 松田、元浜、桐生、小猫ちゃん、木場、アーシア、俺の七人で遊ぶ予定を少し前に立てた。半日ぶっ通しで遊ぶ予定だ。


 振り返ったゼノヴィアは少しだけ驚いたように目を見開いていたが、ふっと苦笑する。


「……いや、今回は遠慮しておこう。ただ――」


「ただ?」


 可愛らしく首を傾げるアーシアに優しい眼差しを向ける。なんだ、そんな目もできるのか。


「今度、私に学校を案内してくれないか?」


「は、はい!」


 アーシアも笑顔で応えた。友達になれるといいな、アーシア。悪い子じゃないってことはここ数日でよくわかったし。


 今度こそ部室を後にするゼノヴィア。部長が手を叩いた。


「さあ、あなたたち。全員そろったのだから部活動再開するわよ!」


『はい!』


 全員が元気よく返事をすると、久々に部室内が喧騒に包まれた。


 これで、後はレイが揃えば元通りだ。


 早く帰ってこいよ!

 
 

 
後書き
ゼノヴィアの姓が分からなかったので、勝手に作っちゃいました。
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