自由の灯り
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第二十五話
前書き
前回の話は最後に誰が来たのかわかりましたか~?
渇いた銃声が砂漠に響くと、一発の銃弾がサンドワームの頭部に直撃する。
隙を突かれたのもあるが、狙いの良さとあまりにも速い射撃で、サンドワームはかわす事も叶わず銃弾を受け、暴れ苦しみながら地面に潜り込む。
「っち、逃がしたか、だがすぐに現れるだろ」
「あ、あなたは?」
ディアの後方からライフルを肩に乗せ、軽く舌打ちをしながら黒いコートを着た男が歩み寄ってきた。
恐る恐る名前を尋ねてみる。
カノンノの側に居たイリアは驚いた表情を浮かべながら、男を見ていた。
「俺はリカルド・ソルダート、傭兵だ」
「リカルドさん、ですか・・」
「あんた、何でここに・・・」
「アニーミか、ここには依頼でな、来るぞ」
リカルドが再びライフルを構えると、先程地中に逃げたサンドワームが怒号を上げながら姿を現す。
双剣ではあまり攻撃が当たらない為、ディアは双銃を取り出す。
その構えを見たリカルドは僅かに眉を上げる。
「その構え、アニーミから教わったのか?」
「あ、はい」
「構えはいいが市販拳銃ではこいつには効かないだろ、これを使え」
そう言うと、リカルドはコートの中に手を伸ばし、白銀色で光をイメージさせる拳銃と黒色で闇をイメージさせる拳銃を取りだしディアに手渡す。
「この白銀の拳銃がセイント・グリン、<聖なる閃光>と呼ばれている、黒い方はデスペリア・アンブラーといい<絶望の闇>と呼ばれている、精度も威力も市販より遥かに上だ」
セイント・グリンとデスペリア・アンブラーをディアは受け取り、構えると目を大きく開く。
「前のより軽いから狙いが簡単に定まる、それに持っただけでわかる・・・この銃は威力もある・・・」
「準備はいいか?」
リカルドの問いに頷くと、彼は再び銃口をサンドワームに向け発砲する。
それが合図になり、カノンノ、クレス、イリアも各々の武器を構え走り出す。
「早速これを、ツインバレット!」
リカルドから貰った二丁の拳銃を構えながら後方にバックステップし、腰を低く下ろすとサンドワームに向かって銃を連射する。
前回の拳銃では重さのせいで上手く狙いが定まらないのと、威力の低さで硬い鱗や、皮膚、ゴーレムのような魔物にダメージを与えることができなかったが、セイント・グリンとデスペリア・アンブラーは硬い鱗で体を守っているサンドワームの体を軽々と撃ち抜き、そのまま体を貫通する。
「よし、いまだ!虎牙破斬!」
「はぁ!!」
クレスとカノンノはサンドワームが怯んだ直後を狙い、自身の愛用する長剣と大剣で深々と体を斬りつける。
呻き声を上げながらサンドワームはその巨体な体を大きくぐらつかせる。
「だいぶ弱ってるな、アニーミ、決めるぞ」
「ちゃんと仕留めなさいよ!」
イリアは二丁拳銃に氷属性のマナを込めると、そのまま銃口をサンドワームに向けて引き金を引く。
いつもならここで弾丸が出るのだが、弾丸は現れず変わりに氷の銃弾がサンドワームに幾つも直撃し氷の牢に閉じ込めていく。
「抗いし者よ、氷牢の中で永久に眠れ・・アブソリュート・ゼロ!!」
最後の引き金を引き、氷の銃弾が牢に直撃すると粉々に砕けちる。
氷の牢が全て砕けると、中に居たサンドワームはボロボロになっており、何とか逃げ出そうと地中に潜ろうとする。
「トドメだ!奈落へ堕ちろ!!」
リカルドはサンドワームが地中に潜る前に、素早く反応すると、サンドワームの体より高く跳躍し銃口に闇属性のマナを集束させる。
「ファントム・コール!!良い夢を・・・」
集束させたマナをサンドワームに放ち、地面に着地する。
そして、背を向けて右手を上に掲げると闇を纏った大爆発が起き、闇はそのまま天に登っていく。
爆発が収まったときにはサンドワームは形を留められない程、体が粉々に砕け散っていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
サンドワームを撃退し、何故リカルドがカダイフ砂漠に居たのか理由を聞いてみると、リカルドは先程のサンドワームの討伐依頼を受けていたようで、ここに訪れたらしい。
依頼が完了したことで、後は報告をしてから今の契約者であるアンジュの元に向かうと言い残し、彼はカダイフ砂漠を去っていった。
リカルドと別れると、ディアたちは依頼を再開し、オアシスに向かった。
幸いサンドワームのような強力な魔物は現れることはなかったが、道中でケージの中に居た魔物の睡眠薬の効果が切れ始めてしまい、発砲しようとしたイリアを落ち着かせるのが大変だったくらいだけだった。
「ふぅ、着いたね・・」
「やっとオアシスね、さっさと済ませましょ」
「じゃあ、僕が鍵を外すから暫く待っててくれ」
クレスが鍵を取り外している間、イリアは腰を下ろし休息を取り、カノンノも休もうと腰を下ろそうとすると、座りながら辺りをキョロキョロしているディアに気付く。
どうしたんだろと思いながら、ディアの側に歩み寄る。
「ディア、どうしたの?」
「いや、何か誰かに見られてるような・・・」
「誰か・・・?」
カノンノも辺りを見渡すが、それらしい人影は何処にもなかった。
「う~ん、僕の気のせいかも」
「そう、隣に座っていいかな?」
「うん、いいよ」
ディアの承諾をえると、カノンノはディアの隣に腰を下ろす。
鍵を取り外すのはまだ時間がかかるようなので、ディアの記憶について聞いてみることにした。
「ディアはあれからなにか記憶は戻った?」
「ううん、全然戻んないや」
笑いながら答えるディアに驚きながらも、カノンノは不思議そうな顔をする。
記憶がなくて不安になったりしないのだろうか?
もし、自分がディアのような立場だったらきっと不安ばかりだと思う。
そんなカノンノの考えに気付いたのか、ディアはカノンノの頭を撫でながら喋り出す。
「記憶がないのは不便だと思うけど、このままでもいいと思ってるんだ、それにポジティブに考えたら記憶が無いお陰で、カノンノに出会えたしアドリビトムに入れたんだよ、それにこれから先の未来を楽しむべきだと僕は思うんだ」
「そっかぁ、これから先の未来を楽しむか・・・」
未来は誰にも分からない、だからこそ無限の可能性がある、そう考えたらディアは凄いと思えてきた。
記憶がなくてもこんな考え方ができることが本当に凄いと思える。
きっと未来でどんなに辛いことが起きてもディアはそれを乗り越えてしまんだろう。
「そろそろ、クレスは鍵を外せたかな?」
ディアがクレスの方を見てみると、丁度鍵を外し終えたクレスの姿があった。
「それじゃ、依頼も終わったし、帰ろっか?」
「そうだね」
ディアが立ち上がりカノンノに手を伸ばす。
カノンノはディアの手を握り、立ち上がるとそのまま帰ろうとしたその時・・・
ドゴンッという音がケージの上から聞こえ、ケージに視線を移すと、二体のサンドファングがケージの上に乗っていた。
よくみるとケージの側にも二体いる。
「しまった!魔物を早く倒さないと!」
「げぇ!まさかアレを追っ払う気?もうこのままでいいでしょ!」
「駄目だ、それでは依頼を完遂したことにはならない」
「なんつード真面目人間、絶対結婚したくないタイプ・・・」
クレスは鞘から長剣を抜き取り、イリアも嫌そうな顔をしながら拳銃を取り出す。
「ひぃぃぃ!」
「何が起こってるんだぁぁ!!」
突然、ケージの中から二人の男性の悲鳴が聞こえた。
片方の声はディアとカノンノがよく知っているジョアンの声だった。
「この声・・・ジョアンさん?」
「あの中は魔物何かじゃない!人が入ってるんだ!!」
「急いで助けないと!クレスとイリアは上の二体をお願い!僕とカノンノは下の二体を倒す」
ディアに言われた通り、クレスとイリアは二体のサンドファングを引き付け、ケージから離れさせると、ディアとカノンノも残りの二体を引き付け、自身の武器を構える。
続く
後書き
やっと終わった
テスト期間なんで投稿が遅れてしまう
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