僕のお母さんは冥界の女王さまです。
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拝啓お母さん。今日はピクニックです
前書き
カンピオーネなのにバトルが全然ない。
これいかに
何処ですかーーー
どちらにいらっしゃいますかーーー
コレー様
今日はひかりさんと約束したピクニック。
行き先は礼の如く以前の海浜公園。日差しが少し強く感じるが海から吹く潮風が心地よく。耳に入ってくる音のには老若男女の楽しそうな声。家族連れがたくさん来ている事がわかった。その声に僕も楽しくなって自然と頬が緩むものです。
「晴れて良かったですね」
僕が座る車椅子を押してくれているひかりさんが楽しそうに笑う。
「もし雨が降ろうものならかの神を呼び出してるところてしたね」
「それ冗談ですよね?」
「あはは♪ ナタは至って真面目だよ♪」
「冗談ですよね!?」
「ナタ、エリス! お前らも手伝えよ!!」
わいわい騒ぎつつも準備は進んで行く。
そして準備も終わりさぁみんなで遊ぼうとした時、
「あれ? これって歌?」
耳に入ってきた神秘的な歌声。いつしか周りにいる人々の声が聞こえなくなり、響いているのは歌声だけ。
「ひかり! この歌を聞いてはいけません!!」
ナタが大声をあげてひかりの耳を塞ぐ。
「ナタ、この声は何?」
「この声の主はニュンペー、セイレーンです!」
「聞き覚えがあると思ったらあの根暗か!」
「だとしとら周りの人達が危ないね。ルカちゃん、私が話しをつけてくるからちょっとだけ待っててくれるかな?」
そう言った後にエリスの気配は遠く離れていった。
「さてさて、セイレーンったらルカちゃんの匂いに釣られてきたのかしら?」
歌声の聞こえる場所に向けて缶ジュースを飲みながら歩く私。周囲では人間たちが以前映画で見た歩く死体の様に歌声の聞こえる方向にゆっくりと歩いている。
「まったく楽曲の神に引けを取らない声なんだからもっと楽しい歌を歌えばいいのに」
ちなみに私の好きな曲はアニソンである。プリキ〇ア最高。
「だからさぁ。その陰気な歌止めてくんない?」
故に目の前で申し訳程度の布きれを身にまとっている少女がこんな歌を歌っているのが個人的にはいささか気にくわなかったりする。子供は大人しくアニメでも見てろそして私も見る。
「―――――」
声をかけたにも関わらず無視して歌う彼女。どうやら今の私を人間だと思って無視しているようだ。というか認識すらしてないと見た。しかしそれでは話にならないので
「えいや」
「はぅっ!?」
飲み終えた空き缶を頭めがけて投げつけた。
神なら痛くもかゆくもないだろうがニュンペー程度なら多少のダメージも通る。実際に彼女は気の抜けた声を上げたのち涙目になりながら後頭部をさすっている。
「な、何をするんですか!?」
「そりゃこっちのセリフだよ。せっかくのピクニックだってのそんな湿っぽい歌聞かせちゃって、歌うならアニソン歌いなさいよアニソン」
「あ、あにそん?なにわけわからないこと言ってるんですか!?というか人間のくせに生意気ですよ!!」
「あ?そんなのしらないしていうかアンタこそ生意気」
「わ、私をコレ―さまの侍女で名のあるニュンペーと知って言ってますか!?」
「知ってるわよ。陰気すぎてパール様からお説教くらったなんて有名じゃない。コレ―様がお嫁に行ったぐらいで何泣いてんのよ」
「・・・・お前死ね」
さすが不和を司る私。簡単に怒らせることに成功した。|幸薄少女(セイレーン)は私に向けて呪詛のように歌を紡ぐ。それは聴く者を死に誘う呪われた歌。かつてたくさんの船乗りを海へと沈めた死の歌。ただの人間ならこんな至近距離で聞けば意識を奪われ海へと身をなげただろう。
「というかアンタこそ私が誰だかわかってんの?」
そうただの人間なら
「・・・へ?」
「ニュンペー如きが誰に向かってそんな口を聞いているか分かっているのかな~?」
さてさて、久しぶりに女神様モードになった私は少しだけ呪を破って右手に顕現させた血塗れの錆びついた槍をチラつかせる。
それを見た彼女は次第に顔が青ざめていく。正直楽しかったりするのはここだけの話。
「え、え、も、もしかしt・・エリスさ・・ま?」
「ハイ正解」
さて、それではその耳障りな歌を止めてもらおうか?
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