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激突部活動!! バトルク☆LOVE

作者:ぽかりす
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一章 希望と絶望のセレモニー⑦


「つまり自分部活動の競技とは違う競技の部活動と戦えということだ。そっちの方がおもしろいと学園長が聞かなくてな」



ここの学園生徒はいつも学園長の思いつきに振り回されるためこのぐらいのことは慣れている。
制服のデザインを突然一新したり、校舎の階段がいきなり螺旋階段に変えられていたりと本当に脈絡もないことを思いついたままやる人なのだ。
この学園にいるものの中で最も考え方が幼いと言える。
そんな人が何故学園長なのかということはこの学園最大の謎なのかもしれない。



「その政府の話とはまた別に決まったことがある。どうか静かに聞いてくれたまえ」



この無表情に近い冷静な顔つきを一層冷たくし副学園長は話を改める。
そしてこれから話される内容がここに集う生徒達のこれからを大きく左右する一言となった。



「今回のこの機会に我が校の部活動が直面している問題にも並列して取り組もうと思う」



館内のひそひそとしたどよめきが収まっていない状態にも関わらず副学園長は話し続ける。



「我が校はあまりにも大きい、その全校生徒は一万を軽く超える。それに乗じて部活動の数もかなりのものだ。ここにいる諸君達を見ればどれだけの数があるか想像できるだろう」



副学園長はそう言って館内を見渡すようにその場でゆっくりと一周回る。
たしかにこの大きな会場を埋め尽くすほどの生徒がおり、付き添いで来ている者を考慮したとしても充分に多いように感じる。



「サッカー部は大小合わせて22、バスケット部が20、パソコン部と演劇部は18…このように今の状態は同じ部活動が幾つもひしめき合っている、いわば飽和状態なのだ。そこで我々は今回の競い合いで負けた部活動を思いきって取り潰すことに決めた。その政策名を『Club Reduce Project(クラブリデュースプロジェクト)』略してC.R.Pと呼称する。成績を残せない部活動を続けていてもしかたなかろう?」



館内の至る所から起こるブーイングの嵐。
この如月学園は全寮制のため全生徒は一人で暮らしている。
そんな生徒達にとっては部活動とはただの練習するための場所ではなく、仲間との繋がりや心の休息地となるかけがえのない場所なのだ。
そこを奪われるとなっては誰しもが黙ってはいられないだろう。



「静粛にッ!」



副学園長は周囲を一喝するように声を荒げた。
普段の集会ではこんなに騒がしくなることがなかったものだから彼の怒声を聞くのは初めてだ。



「ここで話していることは全て決定事項だ!反論しても意味はない!…ゴホン!それに部活を失った者に対する配慮はちゃんと用意している」



配慮とはいったいどういうものか、その内容は気になるが今の流れではどうもいい予感はしない。



「AからFの各地区ごとに特別強化クラスというものを設ける。負けた者達は強制的にここに所属してもらう。ここでは日頃の学業の成績をもう一段階も二段階も上達する完璧な学習プロセスを用意しており、これで諸君達も…」



ブーーッ!ブーーッ!!



先ほどを上回る程の大ブーイング。
「ふざけるな!」や「横暴だ!」といった汚い言葉も飛びかっている。
学校が終わってまた勉強、この如月学園はただでさえ勉強のレベルが高いのに、そこから更に数段階レベルが上がるとなると将来は学者や研究者にでもなれというのだろうか。



「静粛に!静粛にッ!全く最近の若者は!!いいか、今からルールを説明するぞ!勉強が嫌だというものはしっかりと聞いておれ!」



まるで怒鳴るかのようにキツい口調で声を張る副学園長、今の彼を見ていると紳士的な見た目とは全く対極の印象を受ける。



「まず互いが競いやすいように幾つかのグループに分けさせてもらう。まず部活動対象者である中等部と高等部の大きく2つに分けさせてもらう。そして更にその中でもグループ分けとし

サッカーや野球などの『球技』

空手や柔道といった『闘技』

陸上や水泳などは『競技』

運動部に属する部活動はこれら三つのどれかに当てられる。そして次に文化部は

美術部や文芸などの『彩技』

パソコン部や科学部といったものは『勉技』
このように分けさせてもらった。詳しい割振りは入り口付近に用意した用紙を見てくれたまえ」



京介達の剣道部はどこに分類されるのか、球技と競技ではないだろうから消去法で考えると空手や柔道などが当てられている闘技であると思われるが、一体そんなやつらとどうやって闘えばいいか検討がつかない。



「そして競い方なのだが、それは対戦する者同士で決めてくれ。互いに共通する内容でも構わないし、お互いが納得すれば全く関係性のないもので競ってもらっても構わない、期限は一週間だ!一週間以内に相手を見つけ競え!」



今までの説明に比べると随分とお粗末な説明だ。
要はグループ分けはしてやったから後はそっちで勝手に決めておけということ。
肝心の判断基準が丸々こちら側に投げられたのだ。
野球やソフトボールなどはスタイルが似ているから競いやすいとは思うが、サッカーとバスケット、茶道と美術、柔道と弓道といった場合はどうやって決めろというのだろうか…



「諸君らは常日頃から切磋琢磨しているのだろう?ならば心配はいらない、要は勝てばいいのだ。何を戸惑う必要がある」



それはそうなのだが、それだけで「はいそうですか」とできたら苦労はしない。



「説明は以上だ!追加事項などが出ればその都度知らせることとする。そして帰りに用紙を取り忘れないように!では解散ッ!」


まだ非難の溢れる会議を強引に閉会し、宝院久ノ助は壇上を後にした。
突然突きつけられた一方的な取り決め。
ここにいる生徒達は今それぞれの胸に一体何を思っているのだろう。
しかし、現段階で何を考えても仕方ない。相手を潰さなければこちらが潰される。
部活動の意地と存亡を賭けた戦いが今まさに始まろうとしているのだった。




 
 

 
後書き
ようやく一章終わりまして二章からはガンガン戦わせていく予定です!更新速度がゆっくりなのにも関わらず見てくださってる方には本当に感謝しております。願わくば感想や意見などをいただけたら幸いです。それでは引き続き『バトルクLOVE』をお楽しみください^^ 
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