魔法少女リリカルなのは~その者の行く末は…………~
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Chapter-3 Third Story~Originally , meeting of those who that you meet does not come ture~
number-23 The enraged and for myself is my
前書き
激昂と自分が自分であるために
この場合は、クロノ・ハラオウン。三桜燐夜。
さて、アースラの艦長室――――機械質な部屋となぜか日本風にアレンジされた風景が非常にミスマッチ――――で燐夜とリンディの一対一の対話があっという間に終わり、今は何をしているかというと……
「うわぁ、燐夜君が9歳の頃なんてもう見れないと思ってたのに……また見れた」
「私たちとそんなに身長変わらないんだね。いつも見上げてたから、なんだか新鮮」
何も言ってこないのをいいことに燐夜(9歳バージョン)をいじっていたなのはとフェイト。
頬をつついてみたり、同じくらいにある頭を撫でてみたり、同じぐらいの身長を比べてみたり。挙句の果てには抱き着いてきて、抱き心地を実感していたり。
一言で言ってしまえば、なのはとフェイトのおもちゃにされていた。
では、何故燐夜は何も文句を言うことなく二人の好き勝手にさせているのか。それは簡単である。
「ZZZzzz……」
寝ていたからである。
燐夜は2年後の未来に飛ばされた時、公園で軽く5~6時間ぐらい寝ていたのだ。いつもの燐夜の睡眠時間は3時間。なぜなら、いつもユニゾンデバイスであるエクレイアの力を借りて地球とはまた違う管理外世界に飛んで自らを鍛えていたのだ。
その世界は、ドラゴンが普通に跋扈し、世界環境もばらばらで晴れてたと思いきや、いきなり雷が降ってくるなど、もうむちゃくちゃなのだ。
そんなところで日夜戦っているからか、明るい時間帯しかも昼のこの時間帯が一番きついのだ。今は冬休みの最中でさほど学校には関係ないと思われるかもしれないが、これが平日の学校のある日でも平然を教師の目の前で居眠りを始めるのだ。勿論、教師も目をつける。だが、毎回のテストで学年一位を取ることもあってあまり強くいえないのだ。
こんな生活を燐夜は自身が使う技の奥義、九星九紫の習得までやめるつもりはないのだ。前にも言ったが、まだ燐夜は一から四と六の技しか使えない。まだまだ精進が必要なのだ。
だが、眠い。人間の三大欲求の一つにも分類される睡眠欲には勝てないのだ。だからいつも眠気に勝てずに授業中でも居眠りを始めてしまう。燐夜にとってみれば、昼寝だというが。
そんな勉強もろくにしないのに成績がいいという典型的な嫌われるタイプでもあったのだ。
典型的な嫌われるタイプである燐夜は、ソファーにもたれかかるようにして寝ており、その隣には幸せそうななのはとフェイトの姿があった。
なのはとフェイトは燐夜を嫌うようなことはしない。逆に、どうすれば燐夜に褒めてもらえるのかとしか考えていない。
なぜなら、努力をしなそうな燐夜の努力を偶然見ていたなのはとフェイトなのだから。
◯
ソファーにもたれかかって寝ている燐夜の左右に、ここぞとばかりに近づいて抱き着き、頬を摺り寄せて甘えているなのはとフェイトを尻目に離れたところから一組の親子――――今は、その関係が上司と部下である――――が、見ていた。
母親であり、今乗っている次元航空船の艦長でもあるリンディ・ハラオウンと、その息子であり、管理局執務官でもあるクロノ・ハラオウン。
2人が話す内容はやはり三桜燐夜という人物のことだった。
「艦長、本当に大丈夫なのですか?」
「何のことかしら?」
クロノは、過去からやってきた燐夜のことを認めてはいなかった。勿論、今は闇の書の管理プログラムであるナハトヴァールを抱えてどこかに消えた燐夜のことは認めている。何せ、毎回転生するたびに甚大な被害を与えている闇の書の被害を最低限に抑え込めたのだから。
しかし、その功績を残す前の燐夜となるとどこか胡散臭さが残る。リンディが手も足も出なかったというが、それは手加減していたからではないのか、という疑問だって残っている。
そう、クロノが思考の海の沈んでいると不意にリンディがある話を切り出した。
「ねえ、クロノ。DSAAって知っている?」
「はっ……? DSAAですか? 確か……出場可能年齢が10歳から19歳までという公式魔法戦競技会ですか?」
「そう、当たり!」
DSAA……正式名称、Dimension Sports Activities Association
次元世界最強を決める最も大きな競技会。世間一般的には、インターミドルチャンピオンカップと呼ばれるもの。
その競技会の事をいきなり切り出したリンディ。ますますクロノには、疑問が募る。
「実はね燐夜君、10歳の時に初出場したの。それで、いきなり世界大会優勝。そして、今年も出ていて見事二連覇したわ」
「だから何だって言うんですか! それはこの時間の燐夜のことであって、過去からやってきた燐夜のことではない。だから、その評価は今は関係ない。僕が聞いているのは、あの燐夜は信頼に値するかということですっ!!」
クロノは予想していた答えとは違い、全く意味のない競技会のことなんかを話されて納得がいかずに思わず大声を出してしまい、向こうで幸せそうにしてしたなのはとフェイトを驚かしてしまう結果となってしまう。
リンディは、クロノの怒声など意にも返さず、驚かしてしまった二人に一言謝ると再びクロノに、今度は母親としての優しさが無くなり、完全な上下関係で接し始めた。
「クロノ執務官、最後まで人の話を聞きなさいって士官学校でなくとも、誰かから教わらなかったかしら? 少なくとも私は、母親としてしっかりと教えたはずだけども」
クロノはリンディの表情に押され声が出ないでいた。
確かにリンディは、父親が一連の闇の書事件の中で死んでしまい、その後クロノを女手一つで育て上げた。そして、その事実は変わりようのないことでクロノはそんな母親に感謝しているし、同じ管理局で働く一人の人として尊敬もしている。
そのためか、それとも執務官になるという夢を叶えるために無理を言ってしまっていたことを後ろめたく思っているのかは分からないが、クロノはリンディに強く言うことなんて出来やしないのだ。
だから、今ここでも何か言い返したいが喉の奥で引っかかって声にすることはできないのだ。
「……まあ、いいわ。今のは不問にするわ」
リンディから放たれていた何ともいえない威圧感が一瞬にして消え去り、言葉を普通に紡げるようになった。クロノは自身の母親に対する思いを再認識させられる羽目になった。まだクロノにはリンディの足元にもを呼ばないと。
「話を戻すわ……燐夜君は、9歳の時に当時のDSAA世界大会覇者とやり合っているのよ。ちなみにそれは彼が残した最後の公式試合。――――結果は、燐夜君の圧勝。相手の次元世界最強であるはずの少年は、文字通り手も足も出なかったそうよ。……ねえ、クロノ。その相手の少年は戦った後、今はどうしていると思う?」
クロノはリンディの問いかけに答えなかった。いや、答えられなかった。リンディから放たれる哀愁。まるで何かを慈しみ、憐れに思い、同情こそしないものの悲しんでいるといった雰囲気が放たれていた。
リンディはクロノに促した。されども、クロノは気圧されて指一本すら動かすことが出来なかった。それでも自分に叱咤して苦しみながらも首を横に振る。
リンディはクロノが答えを出さなかったことになのか、一つ溜め息を落とすとクロノに向かって口を開いた。
「彼はね、もうこの世にいないのよ。燐夜君に負けた後、自殺したわ。まだ19歳だったのに……そこまで燐夜君は圧倒的だったのよ。今まで自分が積み上げてきたものをものの数分で全て打ち砕かれる……私たちには到底理解できるものではないのでしょうね」
そう切ったリンディは、クロノの肩を何回か叩いてそのまま横を通り抜けて行った。
クロノはリンディの方に振り向くことはなく、俯いて強く手を握り、唇を噛み締めていた。あまりにも強く噛んでいたため、唇が切れて血が垂れてくる。
俯いていたせいか床に血が垂れるまで気づかなかったクロノは、手の甲で口元を拭ってからいまだに向こうのソファーで寝ている燐夜を見る。
寝ている燐夜の両隣にはなのはとフェイトがここぞとばかりにまだくっ付いていた。それどころか、二人とも彼の肩を枕にして同じように寝ていた。
真ん中で寝ている燐夜を睨みつけたクロノは、切れた唇を隠そうともせずに管制室に向かっていった。
そんなクロノの後姿を見ているものが一人。燐夜であった。
あれだけ大声で話されて、何かと殺気立っていては寝ていても気づいてしまう。
クロノの背中を見送った燐夜は、遅まきながら両隣にいる少女に気付く。腕をがっちりと掴まれて肩まで動かせない状況にいた。大して気にすることもなかった燐夜は、まだ眠いのか再び目を瞑り、眠りについた。
◯
クロノは、現実主義者なのだ。自分の目で見たものしか信じようとしない。悪く言ってしまえば、ただの頑固なだけであるが。やはり常識にとらわれ過ぎている面があり、その常識をいい意味で打ち砕いていければ燐夜とも仲が良くなっていくはずだ。
逆に、ずっと自分の中の常識にとらわれ過ぎていたら一生燐夜とは合いまみえることはないだろう。現に、この時間帯の燐夜の実力は認めてはいるが、その力の振るいよう、管理局にいたのに正義のために使っていなければ、ただの宝の持ち腐れだとしか思っていない。
燐夜はただ自分が信ずるモノに背かうことなく、守りたいと思ったものを守っているだけにすぎないのだ。
例えば、燐夜が燐夜であるためのこととか。これには、自分の誇りなどが含まれている。
人物でいうと、高町なのはが一番に挙げられる。これは、幼いころから一緒にいたこと――――幼馴染であることと、なのはの隣にいるのを悪くないと思っている自分がいたためである。そのせいで、なのはは燐夜に大きく依存してしまうことになってしまったが。
次にフェイト・テスタロッサである。
彼女とは会って間もないが、今一緒に寝ていてフェイトの心の中において、燐夜の存在が大きいものであるのがすぐに分かった。
9歳の燐夜にとっては赤の他人でしかないのだが、フェイトには守ってあげたいという保護欲が掻き立てられる。そう言う存在であるのだ。
おそらく、この時間軸――――11歳の燐夜も同じようなものを感じていたはずである。
後一人いるのだが、まだ9歳の燐夜は会ったことがない。
それでも、話としてだけだが、聞いているのだ。どんな奴なのだろうか。期待と不安を胸に今この時間帯にいれば会えるという淡い期待を抱いて、燐夜は眠気に勝てずに再び微睡みに意識を託した。
後書き
ふぅ、ようやく投稿できた……!
うまくシリアスと感じられるようになっていればいいけど……どうだろうか?
クロノ君はいいね。この子を使うとシリアスにしやすいよ。えっ……俺だけ?
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