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八条学園怪異譚

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第三十九話 狸囃子その四

「しっかりしてるつもりよ」
「どんな人が何人もですか」
「強引に来るのは急所攻撃よ」
 男のそこを狙うというのだ、
「何人いてもね、鼻と口の下や喉やみぞおち、それに最高の急所を素早く攻撃していけばね」
「そうすれば、ですね」
「もうそれで」
「そう,、女の子もだけれど男もね」
 特に男はあの急所がある、だからだというのだ。
「撃退出来るのよ」
「それはわかります」
 愛実はこのことははっきりと答えた。
「あそこを思いきりですね」
「蹴り飛ばすのよ、そうすればね」
 それだけでだというのだ、男が相手ならばだ。
「あっという間だから」
「そうなんですね」
「男に襲われてもまずは冷静に」
 慌ててはいけないとだ、愛実に話す。
「それでなのよ」
「急所攻撃なんですね」
「あの場所を」
「襲って来る様な奴には容赦無用だから」
 物騒な話になっているがそんなことに構う茉莉也ではない、さらに言うのだった。
「潰す気でやるのよ」
「えっ、潰すんですか?」
「そこまでするんですか」
「その気でいけってことよ」
 茉莉也は自分の話に驚く二人にここでも冷静に述べる。
「もっとも実際に潰してもいいけれどね」
「あれって相当痛いらしいですね」
 聖花はどん引きの顔で茉莉也に問い返した、そこまで過激だと流石に、というのだ。
「もう死ぬ位だって」
「ええ、実際に潰されて死んだ人もいるらしいわね」
「そこまで痛いんですね」
「だからこそ効果があるのよ」
 軍の特殊部隊も接近戦では相手のそうしたところを狙う、その他には目や関節等相手の急所を狙い殺しにかかるのだ。
 そして茉莉也もだ、そうするというのだ。
「何人かいても一人のを潰せば他の相手は怯むから」
「まあそれはそうですよね」
「目の前で一人がやられたら」
 しかも下手に殺されるより危ない光景だ。
「大抵の人は引きますね」
「自分もやられたらって思って」
「その効果もあるからね」
 だからだというのだ。
「そうした相手には容赦しないでね」
「ううん、まあその時は」
「私達も容赦しないですけれど」
「けれど先輩実際に、ですか?」
「そんなことされたことあるんですか」
「ないわよ、今のところは」
 そうだというのだ、実際は。
「幸いね」
「それに越したことはないですね」
「平和が一番ですから」
「そう、まあ暴漢対策は急所攻撃でね」
「とりあえず、ですね」
「今晩は」
「三人で行きましょう」
 中等部にいる狸達のところにだというのだ。
「中庭で飲んでるから」
「わかりました、じゃあ夜またここに来ますんで」
「宜しく御願いします」
「待ってるからね、飲まないでね」
 そうするとだ、にこりと笑って答えた茉莉也だった。そうして。 
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