ロザリオとバンパイア〜Another story〜
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第23話 陽海学園へようこそ
あの路地裏での天邪鬼との一戦(……って程戦ってない気もするけれど。 苦笑)から数週間後の事……
ジャック side
ジャックはこの数週間、いろんな都市を巡って見たが、やはりどこに行っても妖達は影で人間を襲っていた。
流石に、 人間達の命まで取ろうとした者は極まれだったが、それは 人間が大掛かりで動いてきたらと言う事を考えての事だった。
人間を殺すのはどうって事無いが、今後 動きづらくなるからと言う理由なんだろう。
(因みに、妖の1匹を締め上げて聞き出した!!)
ジャックは、道路を歩きながら考える……。
『やれやれ…… こんなんで ほんとに共存なんてできんのかな?こうも多いと……な。最近自信なくなったかも……。』
確かに襲う妖が悪いのは当然だとも思っていた。
だが……偏にそうもいえないんだ。
……人間のほうに全く非がないと言えば嘘になるからだ。
他者を踏み台にし自らを肥やす為に悪事を働いている者。
……街中で通りすがりの老人が肩にぶつかった。たったそれだけで好き勝手に暴力を振るったりしている者もいた。
そして、見てみぬふりをする他の人間。
そして、そう言う人間たちを見て育つ馬鹿もいる。
どうすれば、金を得られるか。
妖の世界でも金は当然必須だからだ。
『はぁ……。前途多難… だなこりゃ。……でも 長い時間をかけて≪見る≫って自分で決めた事だしし、それに何よりアカーシャに宣言してるからな… 泣き言言うのもかっこ悪いか。』
ジャックは道路を歩きながら そんなふうに考えていた。
……前言撤回するのは格好良いモノじゃない。
ましてや、彼女の前でそういった以上は……。
ジャックくんは変な所でプライドがあるみたいでした♪
……暫く歩いていると……≪トンネル≫が見えてきた。
『トンネル……か。』
さして珍しいものでもない。
ここは山道。
トンネルの一つや二つ、あってもおかしくないからだ。
だが……、何かを感じていた。
この先は≪この山の向こう側じゃない≫と、感じたんだ。
『……普通じゃない… な。』
このトンネル内の空間が歪んでいるような感じがする。
捻じ曲がったその空間、トンネルの先は光がまったく無く漆黒の闇のようだった。
今は、昼間だというのにだ。
それに…トンネル内の電球がすべて消えていた。
『…………。』
ジャックは 立ち止まり、トンネル内を凝視をしていると1台のバスが直ぐ横にに止まった。
「……ヒヒヒッ。」
そのバスのドアが開いた運転席には、意味深な笑いをする運転手が乗っていた。
(……ああ、 この人?か。確か… ああ思い出した学園の謎の運転手だ 御子神の古い友人の)
ジャックは頭で考えていると、
「……そこの兄さんどうだい?乗っていかないかい?」
そう、乗車を進められた。
『……ん? 乗っていいのか? 俺は全くの無一文なんだが?』
ジャックは軽く手を上げながらそう言う。
「……ヒヒヒっ。 いいさ、いいさ……。 問題ないさぁ。……それは理事長にツケとくよ。それに君は陽海学院に興味があるのだろう?」
葉巻を吹かしながら…運転手はそう言う。
『…ん?そんな事言ったか?俺は。』
とりあえず、知らん振りをする……。
そもそも、彼の事は知っていても実際は会ったのは今日が初めてなのだ。
後は……その場のノリ!と言うのもあるだろう。 苦笑
「……隠さなくてもいいじゃないか、ワシは待っていたよぉ……。ジャック殿を……。」
その見えない帽子の中に隠れた素顔が笑っているのがよく解る。
(……やっぱりバレてるかだよな、気づかないふりしても意味無いな、もう。)
ジャックはそう判断すると両の手を上げる。
『……ははは やっぱバレてたか、それで …陽海学園、理事長は。 ……御子神は元気にしているかい?』
ジャックは、 気づかないふりを止め 運転手に聞いていた。
ここに来た一番の理由がそれだからだ。
「ああ……、 元気すぎて困るくらいに……ね。 まぁ あの学園を切り盛りする為には そうでなけりゃ勤まらんがね。」
意味深な笑みを浮かべ話していた。
『そうか… 元気ならいいんだ。そろそろ あっておこうと思ってたとこだよ。無料で乗せてくれるんなら 好都合だ。≪陽海学園≫までよろしく頼むよ。』
元々彼は無一文。
多少の金銭は必要……とは解っているんだが。
たいして今までそっちの方向へは行動してこなかった。
(……日雇いのバイトくらいしたほうがいいかなぁ?)
と、ジャックは割と真剣に考えていた。
「ああ 任せてくれ。」
ジャックがバスに乗り込んだと同時に。
バスのドアが閉まり 静かに走り出した。
【車内】
そしてバスはトンネル内に入る。
バスの室内の光のみ。外は暗黒で包まれた。
……そして暫くして、
『そういえば 御子神は俺が帰ってきてるの知っていたのか?』
運転手に聞いていた。
「……なぜそう思うのかな?」
また、意味真に“ヒヒヒっ……”と笑いながら 話した。
(結構癖になるなこの感じ。)
ジャックは、その受け答えに苦笑しながら答えた。
『……いや あの異次元に繋がってるトンネルが不自然なタイミングで現れたんだ。その上学園行きのバスまで狙ったかのようなタイミングで来た。なら……そう思うのが自然だと思うが?』
そう、彼が言うように普通はそう思うだろう。
偶然が重なる……と言う事はあるだろうけれど、こんな特殊な偶然が重なるのは考えにくい事だ。
そして、いやにタイミングも良い事も拍車をかけていた。
「……君は鋭いね〜。 そう、察しの通り。 私は理事長に言われて君を探していたのさ。この辺りにいるってことはわかってたからね。」
この言葉は嘘偽りは無いのはすぐにジャックは理解した。
だが、わからない事はある。
(……?何故ここだと分かったんだろ?)
そう、この場所にいると言う事が何故解ったのか?その事だ。
「学園の不良たちの間で うわさになってるよ。君は。 人間を襲おうとしたら いつの間にか背後にたって叩きのめされるって話、 赤みが掛かった茶髪に長身・真紅の瞳をした妖だってね。君じゃあないのかな?」
疑問を浮かべている事に察しがついたのか、答えてくれた。
(そういえば 何かと最近そういう場面(シーン)に遭遇するからうわさになったのか… 多分しらばっくれても意味無いな)
ジャックはそう考えながら、苦笑いをする。
『……あらら、噂になるほど活発に行った覚えないんだけどな。まあ、 ばれてるなら否定はしないよ。 ……でも、全部が俺かどうかわかんないけど、最近そういうことしてんのは、俺だからな』
ジャックは 隠しても意味ないし、何より悪いことじゃないから普通に答えた。
「ヒヒヒ 人間に手を気軽に出す奴は 血の気が多い若い妖しかその土地でグループを作って組織的に襲ってる奴らが多いからね。だから 噂が広がったんだと思うよ〜。」
(なるほど、ワルのネットワークって結構凄いって事か)
ジャックはその説明を受けて 大体理解していた。
そして更に数分がたち……。
「さあ着いたぞ。ここが陽海学園だ」
その声と同時に、トンネル内から抜けた。
その外に広がる空間は、この世のものとは思えない……。
“ひゅうううドロドロドロ〜”
……って効果音を付けたくなるような雰囲気だった。 苦笑
空の色は、赤紫っぽくて 雷がゴロゴロしてて 怪しい雰囲気……
『……流石は妖怪ならぬ陽海学園、名からして ぴったりな印象だな。』
ジャックは“ははは…”っと苦笑いしていた。
そして、このバス停のジャックオーランタンも雰囲気にぴったりだった。
ハロウィンをするなら こういう場所が雰囲気があってぴったりだろう。
「だろう?いいとこだよ〜ここは。それじゃあ ワシはこの辺でな。」
運転手は、手を軽く上げていた。
『ああ 送ってくれてありがとう。』
ジャックは手を上げて返すと、バスは再びトンネル内へと戻っていった。
『さて……、学園を回るついでに 御子神の事も探してみるか。退屈はしなさそうだ……。』
ジャックはそう言うと一歩踏み出す。
いずれはここに通ってみたい……と思っている学園。
ワクワクする……と言った気持ちを止められないご様子だった。
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