ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
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一部:超絶美少女幼年期
四十八話:奴隷ライフでもキレイキレイ
「やった!できた!」
これで、これで勝つる!!
「何がだ?」
「キレイキレイ!」
「……何、言ってんだ」
「だから、キレイキレイ」
「……すまん。俺は、もう無理かもしれない」
ん?
よくわからんが、なにかで追い詰めてしまったの?
「なんか、ごめん。お詫びと言っちゃなんだけど、ヘンリーにもしてあげるよ。そーれ、キレイキレイー」
ぽわわわわーん。
みたいな光の演出が、ヘンリーを包みます。
「……なんだ、今の」
「だから、キレイキレイ」
「説明してくれ。ちゃんと。頼むから」
やればわかるかと、思ったんだけどなあ。
名前もわかりやすいし。
「あー。真面目に、説明するとですね。キアリーを応用して、体とか衣服とかその他諸々の、汚れやなんかをキレイにする。そういう、魔法です。奴隷生活や旅の途中では、まともにお風呂とか入れないので。病気の予防にも、精神衛生上も、清潔を保つことは大切なので」
「……それも、チートか?」
「はい」
「……最初から、そうやって説明してくれよ。出来るんならよ」
「わかるかと思って」
「わかんねえから」
そうか。
これが、男女の考え方の違いというヤツかね?
「絶対に違う」
「え?なにが?なにを否定したの?今」
無暗に思考を読むのは、やめて欲しいんですけど。
「まあ、ダメって言うなら、気を付けるよ。今後は」
「そうしてくれ」
嫌がらせでわざとすることは、あるかもしれないけど。
「やめろ」
「だから、なにを否定してるの?」
しかしこうなると、魔力が足りないなあ。
他のみなさんにも、全員に毎日とはいかなくとも、定期的にかけておきたいし。
色々、練習はしないといけないし。
「ヘンリー。魔力、ちょうだい」
「はあ?何、言ってんだ」
「ダメ?」
「ダメとかダメじゃないとかの前に。説明しろって、ちゃんと」
仕方ない。
こういうことは、ちゃんと同意を得ないといけないからね!
「マホトラが、使えるんだけどね」
「……なんでだよ?お前が使えるなら、マホキテだろ?」
「ゲームで使えなかった魔法は、適性が無いから使えないのと、学んで無かったから使えないのがあるみたいでね。マホトラは、勉強したら使えた」
「そうなのか。それで?」
「さっきのキレイキレイを、他のみなさんにもかけたいんだけど。私の魔力だけだと足りないから。ヘンリーの攻撃魔法は、どうせここでは料理の火種くらいにしか使えないし。余った魔力、ちょうだい」
「……いいけど。俺も、ゲームでは使えなかった魔法、使えるかもしれないんだよな?」
「そうだけど。レベル1だと、難しいと思うよ」
「……結局、そこか」
「うん。まあ、将来的には使えるんだろうし。勉強しときたい魔法があるなら、そこは教えてもいいよ。私、知識はひと通り覚えてるから。訓練で経験値が全く入らないとも限らないし」
成長システムは、よくわからんとこあるよね。
数値が見られるわけじゃ無いから。
「……覚えてるって。……全部、か?」
「うん。勉強しないと使えないなら、仲間に教えないといけないでしょ。だから、使えないのも全部」
「……そうか。……すごいな、お前」
「そう?普通じゃない?私の環境なら」
大人の常識とゲームの知識とひと通りの資料が揃った、恵まれた環境があったんだからさ。
「まあ、勉強したいのは考えといてね。じゃ、もらうよ」
「おう。やってくれ」
「えーい、マホトラー」
「えーいとかそういうのはやめろ!」
なんでさ?
折角の魔法で美少女なんだから、ちょっとくらい魔法少女気分に浸ってもいいじゃない!
戦闘中でも無いんだから!
「心配しなくても、年齢的に限界を感じたらやめるよ」
「そんな心配はしてねえ」
全く、わけがわからないよ。
「じゃあ、キレイキレイしてくるから」
「その名前も……誰が、考えたんだよ……」
「さあ?私か、べネットじいさんじゃないの」
たぶん私だと思うけど。
書いてなかったから、知らん。
「そーれ、キレイキレイー」
ぽわわわわーん。
「わあ、すごい、すごい!すっきりした!ありがとう、ドーラちゃん!」
「どういたしましてー」
「えーい、キレイキレイー」
ぽわわわわーん。
「はー、気持ちいいー。ドーラちゃん、可愛いー!」
「ドーラに、おまかせー」
あ。
「ごめんなさい。魔力が、切れました」
「え、そうなの?残念」
「誰か、魔力くれませんか?」
「あげられるなら、あげたいけど」
「試して、いいですか?」
「いいよー」
「えいっ、マホトラー」
同意を得た上で手当たり次第に試した結果、六割程度のみなさんに魔力があることが判明しました。
これで、魔力の消費は気にしなくてもいいね!
練習し放題だね!
思いがけずも全員にキレイキレイすることができて、みなさんツヤツヤしてます。
うん、キレイ、キレイ!
体と一緒に心もリフレッシュされたように、みなさんニコニコしてますけれども。
なぜか、ぐったりしてる人が約一名。
「ヘンリー?どうしたの?ホームシック?」
「……本気で言ってるのか?それ」
言ってません。
「あんまり細かいこと気にしてると、ハゲるよ。あと、胃に穴空くよ」
「……誰のせいだよ」
「強いて言えば、私のせいかとは思うけど。他の誰も気にしてないし、ヘンリーもちょっとは図太くなったほうがいいと思う!」
この、余裕がある今のうちに!
細かいことは気にしない、図太さは身に付けるべき!
「……まあ、お坊っちゃまに対して、私も遠慮無さすぎたかもね。ごめん、気を付けるよ」
「……」
私と違ってコイツは育ちが良すぎたんだった、そう言えば。
それを考えたら、少々可哀想なことをした。
もっと距離感を保って、真面目に接してあげるべきか!
「ごめんね、ヘンリーくん。本当に私、気を付けるから。もう、しないよ」
「……いいよ」
「大丈夫。本当に嫌なら、遠慮なんかしなくていいから」
「いいよ、今まで通りで」
急にどうした。
よく考えたら程よい距離感ってフラグ折りに有効な気がしてきたから、本当に遠慮しなくていいのに。
「ヘンリーくん?」
「……くそっ!負けねえからな!いいから!今まで通りで!!」
なんだ、本当にどうした、ヘンリーくん。
「えーと。つまり、どうして欲しいんですか?実際のところ」
「今まで通りで頼みます!!」
頼まれてしまった。
そういうことなら、まあ、そうするのも吝かでは無いよ。
「うん、なら、わかった」
「……おう」
男心は、複雑だねえ。
特にわかる必要性を感じて無いところが、一番の問題だけどね!
まあ、いいって言うなら、いいか!
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