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星の輝き

作者:霊亀
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第16局

― アメリカ ―

先日saiと対局した男性は、今日は友人を自宅に招いていた。

友人は昨年のアメリカ代表になった碁打ち仲間だ。
男性のネット碁の対局を、横から観戦していた。
「これが今の君のライバルのasuか。」
「昨年のアメリカ代表である君の感想は?」
「たいしたものじゃないか。さすが日本人だ。是非一度僕も対局したいね!」

対局は終盤に差し掛かっており、ほぼ互角の展開だった。
「棋力が結構ボクと近いようでね、対局成績も勝ったり負けたりで結構五分五分なんだ。もう一人、akaという人も最近いるんだが、この人はボクより少し強い感じでね、負けの方が多いかな。」
「君と五分なら、僕とも五分ってことだからね。いや、ネット碁に実力者が増えてくれるのは大歓迎だね。」

「今回もかなり細かくなったな…。ちょっと足りないかな。」
「ハハ。なんだかんだいって、アメリカトップクラスの碁打ちがゴロゴロしてるんだもんな、日本は。プロがいる国は一味違うか。」

対局が終了したところ、二目差でasuの勝ちだった。
「残念、今回は負けたか。」
「いや、いい碁だったじゃないか。これは、アメリカ予選もうかうかしていられないな。」
「そりゃ、ボクも今回は狙っているからね。さて、次はと…。おっ!saiが対局しているじゃないか!」

「噂の無敗棋士か…。お手並み拝見といこうじゃないか。」






― 中国 ―

 中国の強豪アマチュア棋士、李臨新(リ・リンシン)、彼もネット碁でsaiに注目する人物の一人だった。
今日も、saiの対局を見つけ、観戦している。

―…やはり、強い。そもそもネット碁とはいえ無敗というのがありえない…。代表クラスだって取りこぼしはあるというのに、saiはその代表クラス相手でも負けていない。

 そう、囲碁の世界で”負け無し”とは本来ありえないことだった。
アマチュアのトップレベルであれば、プロと互角に渡り合える者はいる。
しかし、そのレベルに届くアマチュアは世界的に見てもほんの一握りだ。
そして、トップレベル同士のアマチュアの対局になれば、差は僅差だ。
ほぼ互角の勝負が繰り広げられることとなり、当然勝ったり負けたりとなる。

―saiが時々対局している日本のakaとasuにしても、そこまでの強さじゃない。事実、saiには勝っていない。強いことには間違いないが取りこぼしも多い…。特にasuの方はまだ甘い。

 李は中国のアマチュア代表クラスであり、中国の代表クラスということは、世界トップレベルということを意味する。
その李から見て、akaは日本代表にしてはやや物足りず、asuはもう少し下に見えた。
そして、saiは強さの底が見えなかった。

―saiの力はアマチュアレベルではない。それは間違いない。…しかし、プロがこれほどネット碁を打つものだろうか?

李の疑問は尽きなかった。





― オランダ ―

 今日も先日の囲碁教室で、師匠と呼ばれた人物を少年少女たちが囲んでいた。
やはり、ネット碁を観戦しているようだ。

「観戦者の数が日をおって増えてきたな、皆がsaiに注目しだしている。」

 師匠が漏らした言葉を聞いて、少年が尋ねた。
「師匠、この人はプロなんですか?」
「いや、ちがうだろう。プロがこんなに頻繁にシロウト相手に打つもんか……。プロじゃないんだ。」

―saiの弟子じゃないかと噂されている人物たちのうち、akaとは打つ機会があった。僅差で勝てたが、ほぼ互角だった。そんなakaでも、saiには軽くあしらわれている…。明らかにプロレベルの力を持つのに、プロとは思えないsai…。いったいどんな人物なんだろう。






― 日本 ―

 そして、和谷もまたsaiに注目していた。

今日もまた、ネット碁の中にsaiの名前を見つけ、観戦していた。

―すげぇっ、ホントに何モンだ?コイツ。マジで師匠より強くねーか?

 和谷の師匠はプロ棋士の森下九段だ。

八大タイトルこそ獲得経験はないものの、トップリーグ入りを何度かはたしている、ベテラン棋士だ。

そんな森下師匠よりもsaiは強いのではないかと、和谷は考えていたのだ。

―オレがsaiを初めて見たのは三月半ば。それ以来よくみかけるな…。akaやasuも大体同じ時期に現れたんだよな。それにしても、昼間っからだぜ仕事してねーのかよコイツ。三月…春休み…?まさか!

―子供?











 そして四月。

ヒカルとあかりは、海王中学へ入学した。
 
 

 
後書き
以上、小学生編終了です。
楽しんでいただけたでしょうか。
ここまで連日投稿させていただきましたが、次回の投稿までは若干の時間をいただきたいと思います。
次回より始まる海王中学編、楽しみにしてください。 
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