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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第2章
戦闘校舎のフェニックス
  第36話 幼馴染みは忍

 
前書き
タイトル通り二人は忍です。 

 
「そう、昔の幼馴染みが転校してきたのね」
放課後、オカ研の部活動に赴いた俺達は鶇達の事を部長に話していた。
「私もちょっと会ってみたいわね」
「すぐに会うことになると思いますよ」
「どういう事かしら?」
「すぐに分かります」
等と会話していると…。
コンコン。
部室のドアがノックされた。
(来たか…)
「はい、どうぞ」
ガチャ。
副部長が応じるとドアを開けて、二人女子が入ってきた。
「ええぇッ!?」
イッセーが驚いていた。
何せ入ってきたのは先ほどまで話していた幼馴染みの二人だったからだ。
「鶇さん!!燕ちゃん!!」
「この二人がそうなの?」
「あ、はい、部長」
部長の問いにイッセーが答えていると…。
「こんにちわ~、オカルト研究部に入部しに来ました~」
鶇がのんびりとした口調で入部希望をしてきた。
「残念だけど、部員募集はしてないの。ごめんなさいね、イッセー達と同じ部活に入りたいのでしょうけど」
部長が丁寧な口調で鶇達の入部を断った。
まあ、本来は悪魔の活動をするための表面上の部活だからな。
悪魔の存在を知らない普通の人間の入部は全て拒否するのが基本だ。
(まあ、そうしねえと入部希望者がとんでもない事になるからな)
ここには有名人が多いからな。
男女に関わらず入部希望をしてくる大勢の生徒達が簡単に想像出来た。
話を戻すが、部長は鶇と燕が普通の人間と思い、入部を拒否したわけだ。
「あ~、大丈夫だよ~、悪魔の事は知ってるから~」
『ッ!?』
俺と千秋以外の部員全員が驚いていた。
特にイッセーが一番驚いていた。
まあ、久し振りに会った幼馴染みが悪魔を知ってるって言えば驚くわな。
俺も知らなければ驚いていただろう。
ついでに正体を知った時はかなり驚いた。
「貴女達は一体…」
部長が聞いた。
「彼女達は忍です。忍者と言えば分かり易いですかね」
「忍者ッ!!」
俺が答えると部長が目を煌めかせながら立ち上がった。
(ああ、部長のこの反応はもしや…)
「ね、ねえ、貴女達!!何か忍者っぽい事を…つまり忍術を見せてちょうだい!!それが入部条件よ!!」
(…部長…)
おそらく、部長は日本好きだが勘違いした知識を持ってるな。
周りを見てみると、他の部員が何とも言えないっと言った顔をしていた。
副部長だけは変わらず笑顔だった。
「だってさ~、燕ちゃん」
「…いや、姉さん、いろいろツッコムところがあるでしょ」
「まあ~、いいじゃん~」
「はあぁぁぁ…」
お前も相変わらず大変だな。
「…部長、忍って言うか忍者は本来は暗部で働く傭兵みたいな物で、忍術って言うのは隠れる、逃げる、暗殺の為の物で魅せる物じゃないですよ」
「明日夏君~、別にいいよ~」
鶇は特に気にしている様子は無かった。
燕は嘆息しているが。
「それじゃ~、行きま~す」
何て鶇ののんびりとした掛け声と同時に部室に煙が充満した。
「ゲホ、ゲホ…な、何だッ!?」
「こ、これはッ!?煙玉!!」
そう、この煙は忍者でもお馴染みの煙玉によるものだ。
煙が晴れると、二人がいなくなっていた。
「ふ、二人はどこ行ったんだ!!」
イッセーがかなり驚いていた。
「ここだよ~、イッセー君~」
声が聞こえるあたりこの部屋に居るんだろうが、全く気配を感じない。
声から居場所を捜そうとしたが、全く居場所が突き止められなかった。
(…これ程とはな)
俺も実際に見るのは初めてだが、なるほど、当時の忍者達がこれ程の技術があれば大抵の修羅場は乗り越えられただろうな。
俺も相対すれば、おそらく苦戦は免れないだろう。
「じゃ~ん!!」
いきなり壁の一部が捲れると、そこから鶇が現れた。
「おおぉ…」
「これは…」
「あらあら…」
「へえぇ…」
「すごいです!!」
「………」
「………」
イッセー、部長、副部長、木場、興奮しながらアーシア、無言だが千秋、塔城が鶇がやって見せた物を見て、感嘆していた。
「あれ、燕ちゃんは?」
「ここ」
その声を聞き、皆が俺の方を見てきた。
当然だ、俺も今まで気付かなかったが、今の声を聞き場所を特定出来た。
燕はいつの間にか俺の後ろに居たのだ。
『なッ!?』
俺の方を見た皆が驚愕していた。
(何だ?どうした…ッ!?)
その理由はすぐにわかった。
燕は俺の首筋にクナイを押し付けていた。
クナイとは知っての通り、忍者の携帯武器として有名な物だ。
(…俺が後ろを取られるだけじゃなく、刃物を押し付けられるとわ)
戦闘中の様に意識や集中力を高めていれば察知出来るかもしれないが、今の様な状況だと確実に殺られていたな。
「…これでいいですか?」
燕が俺の首筋からクナイを離すと、部長に聞いた。
「え、ええ…二人を歓迎するわ…」
部長もさっきの興奮も収まって、唖然としていながらも、二人の入部を歓迎していた。
「…私、忍者をなめていたわ…」
部長の中で忍者の認識が改まったらしい。
「…燕」
「…何?」
「ここまでやる必要あ ったか?」
俺が聞くと…。
「まあ、ぶっちゃけ…アンタへの仕返し目的でやったから」
なるほど…。
なら…。
「そうか。まあ、そこまで本気で忍者らしい事をやるって事はよっぽど一緒の部活がよかったんだな~」
俺が棒読みでそう言うと…。
「な、ななな、何言ってるのよッ!!別にイッセーと一緒がいいなんて…」
「…誰もイッセーとは言ってねえぞ」
「なッッッ!?」
「…フッ…」
燕が顔を真っ赤にして睨んできた。
「あらあら」
部長が燕を見て、小悪魔的に笑っていた。
「…明日夏君、黒いよ」
木場が俺の微笑を見て言ってきた。
そんな感じで燕のパフォーマンスによって重くなった空気は俺が燕に仕返しで弄る事で空気が穏やかになった。


「そう言えば、鶇さん?」
「何~?」
「雲雀さんもこの町に帰って来てるんですか?」
「兄さんは仕事で帰って来ない」
イッセーが鶇に質問し、代わりに燕が答える。
「イッセー、雲雀さんって?」
部長が聞く。
「ああ、雲雀さんは二人のお兄さんです。で仕事って忍者の?」
「う~ん~、確か賞金稼ぎ(バウンティーハンター)だって~」
「えッ!?賞金稼ぎ(バウンティーハンター)ってもしかして…」
「ああ、兄貴と姉貴がやってるのと同じだ」
イッセーの疑問に俺が答える。
「もしかして、二人の生計って…」
「ああ、それで養ってる。俺達が会った頃からな…」
「そうか…」
二人が両親から勘当されている事はイッセーも知っているためか、表情が曇る。
「ご両親は?」
部長の質問に鶇と燕が表情を曇らせ、イッセーは怒りで拳を握り締めていた。
「…ごめんなさい。聞いてはいけない事を聞いてしまったようね」
部長の謝罪に二人は首を横に振った。
それから俺が目配せをすると、二人は両親の事を話し始めた。


二人と雲雀さんは由緒正しい忍者の家系に生まれた。
特に雲雀さんの才能は一族の中でも過去最大だったらしい。
だが、ある日、三人の母親が違う男と関係を持った。
三人の母親は男癖の悪い所謂淫売と言うやつだった。。
三人の父親に言い寄ったのも遺産が目当てだ。
その事に三人の父親は怒り、母親と離婚、家から追い出した。
そこまではよかった。
だが今度はそんな女から産まれた三人と一族の者達は蔑んだ。
それは父親も同様だった。
その後、三人は勘当され、家を追い出された。
雲雀さんは妹二人を養う為に賞金稼ぎ(バウンティーハンター)となった。
雲雀さんは忍としての才能を発揮し稼ぎは良い方だった為、三人は何不自由することなく過ごしていた。
だが、母親の事が周りに広がっており、その事で鶇と燕は酷い苛めを受けていた。
淫売の娘は淫売と言う何も確証の無い理由でだ。
この町を去ったのも、苛めから逃れるためだ。
さらに間の悪い事に鶇も忍としての才能が高く、燕を苛めていた同年代の男子達を全員病院送りにしてしまった。
それが原因で鶇は狂暴女のレッテルを貼られ、鶇はそれでさらに苛められた。
だが、もっと悲惨だったのは燕の方だった。
狂暴女の妹と上級生から暴力的な苛めも受けた。
それらが原因で鶇は人間不信に燕は笑う事も泣く事もしない感情の無い人形の様になってしまった。


「…そう、そんなことが」
部長達は二人の壮絶な人生に言葉を失っていた。
「でも、辛い事ばかりじゃ無かった。そうだよね?」
木場が二人に聞いた。
「…どうしてそう思うの?」
燕が聞き返す。
「だって、そうじゃ無かったら、今みたいに鶇さんは笑っていないし、燕ちゃんもさっきみたいな反応を見せないと思うよ」
「ッッッ!?………」
木場の言葉に燕はまた顔を赤くした。
そう、そんな二人を救った者が居た。
それが当時のイッセーだった。
イッセーは二人の事を知っても、蔑む事は無く、むしろ二人を受け入れた。
苛めからも二人を体を張って守ろうとしていた。
そんなイッセーに二人は信頼を寄せ、引っ越す前までには二人は自然に笑える様になり、苛めにも挫けなくなっていた。
で、二人ともイッセーに惚れた訳だ。
「な、何か大袈裟じゃないか。苛めをやってた奴らを追っ払っていたのは明日夏だった訳だし」
イッセーが頬を掻きながら謙遜していた。
「俺がその場に行くまで二人を守っていたのはお前だろうが」
「…そうだけどさ」
「明日夏君の言う通りだよ。謙遜する事無いよイッセー君」
木場がそう言うとイッセーはさらに照れていた。
「そうよ、イッセー。さすが私の眷属ね」
「そうですよ、イッセーさん!!」
「そうだよ、イッセー兄」
「あらあら、謙遜する事無いですわよ」
「…少し見直しました」
部員達の称賛にイッセーはさらに顔を赤くする。
「あ、ちなみにこのタイミングで言う事じゃないかもしれないが、二人ともお前の家に住むからな」
俺がそう言うと…。
「…え…」
一瞬呆けた後…。
「ええぇぇぇぇぇッぇぇぇッ!!!!!!!!」
イッセーの叫びが部室に響き渡った。  
 

 
後書き
二人の立ち位置、真剣で私に恋しなさい!の椎名京に似ていますが、違うのは父親からも捨てられる事ですかね。
それにしてもイッセーは原作でも救って惚れさせるって言う感じでヒロインにフラグを建ててますよね。 
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