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八条学園怪異譚

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第三十七話 テケテケその十三

「ここも違ったわね」
「そうね」
「じゃあ次は小学校のね」
「お稲荷さんのところね」
 こう話すのだった、ここも泉ではなかった。
 二人はそのことに少し残念に思った、だがすぐに立ち直り話すのだった。
「そこに行こうね」
「そうしようね」
「さて、じゃあ食堂車の車両のところに行ってね」
 二人の話が終わったところでだ、口裂け女は目を細めさせて述べた。
「飲もうか」
「そうしよう、五人でね」
「楽しくね」
 花子さんとテケテケも口裂け女の言葉に応える、そしてだった。
 機関車が元の場所に停まった、力は強いがその力は次第に収まり完全に元の場所に停まった。それからだった。
 五人は機関車から降りた、テケテケは両手で車椅子を動かしながらそのうえで二人に顔を向けて言った。
「今から食堂車に案内するから」
「食堂車ってどんなの?」
「新幹線のとか?」
「あれもあるけれど今から行くのは西欧の旅行用のね」
 そうしたものだというのだ。
「欧州中を旅行する時に使うものよ」
「その中に入ってなのね」
「そこでお酒におつまみなの」
「洒落てるでしょ」
 テケテケは笑顔で二人に言う。
「そこで飲み食いするのって」
「あの、欧州風よね」
 ここからだ、愛実は嬉しそうなテケテケに問うた。
「そうよね、その食堂車って」
「そうよ、ゴージャスよ」
「けれど飲むのは日本酒で」
 愛実が指摘するのはこのことだった。
「するめとかよね、おつまみも」
「日本酒っていえばそういうのだろ」
 口裂け女がそうだと答えてきた。
「するめとか柿ピーとかさ」
「そうそう、辛い系が合うのよね」
 花子さんもそうだと続く。
「大吟醸には特にね」
「日本酒には和食よ、和食」
 こう言うのだ、それでだった。
 愛実はここまで聞いてだ、そして言うのだった。
「西洋でそれはないでしょ」
「じゃあ何処で飲めっていうの?」
「鉄道博物館よね」
 愛実はこのことから考えた、時間的には少しだが頭の中ではかなりの時間を考えてそのうえで妖怪達に言った。
「ミニチュアとかあるわよね」
「あるわよ、でかいディオラマ作っててね」
 それでだというのだ。
「鉄道模型を動かしてるわよ」
「やっぱり鉄道博物館だとそういうのあるわよね」
「うん、ここにもね」
「それで席に座って観るのよね」
「鉄号模型ってロマンだからね」 
 大人のロマンだ、これがなくては鉄道博物館の醍醐味がかなりなくなると言っていい。
「もうここが出来ていの一番に出来たわよ」
「そう、じゃあそのディオラマの前でね」
「模型が動くのを観ながらっていうのね」
「飲まない?」
 それでつまみを食べようというのだ、これが愛実の提案だった。
「食堂で秋刀魚定食食べながら赤ワイン飲むのも似合わないでしょ」
「まあ青木先輩はそれでも飲むでしょうけれどね」
 聖花は例外をあえて言った。
「あの人は特殊なケースだからね」
「ああした千人に一人の変人さんは別にしてね」
 愛実も聖花の言葉に応える。 
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