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SAOのペットな彼女?

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デスゲーム
  第四話*暴走と決意

「『ふはははは! よくここまで来れたな! だが……その命運もここまでだ。この圧倒的な力を前に、お前は何ができる!?』『くっ……! つ、強い……!』『も、もうやめて、ソラタ君! 無茶だよ!』『無茶だっていい……やらなくて後悔するよりは、ずっといいだろ!』」

「オイ誰か! ミサキ先輩の暴走を止めろ!」

 ソラタは声を張り上げた。

「こーはいくん、その設定いいね~! なんと、ラスボスはこのあたしだったのか~!」

「何の話ですか!」

「こーはいくんとななみんが力を合わせてラスボスの魔王に挑む話だよ?」

「先輩の妄想劇に俺やナナミを登場させるのはやめろ! やめなさい、やめて下さい!! ……ナナも何か言ってくれよ!」

 ソラタはナナミの方を振り向いたが、ナナミは何故だか頬を赤らめ、俯いていた。
 対してマシロは、ぷうっと頬を膨らませている──どうやらご機嫌が悪いようだ。ソラタの服のの裾をくいっと引っ張ると、上目づかでマシロが訊いてくる。

「どうしてわたしはいないの?」

「何に?」

「ラスボス物語」

「それだとラスボスが主人公みたいだね! てか知るかっ。ミサキ先輩の妄想劇だって言ってるだろ」

 マシロは未だむぅ、とふてくされて、家の奥へ消えていった。
 さくら荘のメンバーは、現在ルームシェアをしている。家もなるべく、さくら荘に似るものにした。

「『ソラタ君、私……君と一緒に冒険できて、楽しかったよ……』『ナナ! 死ぬな!!』」

「ちょっ、ミサキ先輩!? ……ていうか、何で私が瀕死になってるんですか!」

 みんな、少しずつ、この世界──《ソードアート・オンライン》に慣れてきている。
 現実世界のことを全く思い出さない日もあるし、もう一生このままでもいいんじゃないかとさえ思うくらいだ。最初は泣きはらしていたナナミも、現に今、現実世界の《青山七海》と変わらぬ明るさを保っているのだ。
 しかし──思わぬ話題で、現実を思い出す事が未だにある。恋しくなることがある。

「『空太は渡さないわ』」

 言ったのは、戻ってきたマシロだ。

「おぉ~、いいねいいね! 修羅場展開キター\(*^∀^*)/だね!」

「なんでナナミの瀕死シーンが一転、修羅場に変化するんだよ! 今どき昼ドラだってそんなのないだろ! てか顔文字を入れるな!」



「…………昼ドラかぁ……」



呟いたのはナナミだ。

「この世界に来てからは、上井草先輩が作ったアニメも観てない……ていうか、観る事も出来ないですね」

 彼女──青山七海がアニメなどのないこの世界に来てしまったことは、声優志望として大変致命的だ。

「ウチ……絶対にクリアして、現実に戻る。その時に胸張れるように、最前線で生き残ってみせる」

関西弁の口調で言うナナミの瞳は、真剣そのものだった。

「よし、じゃあこーはいくん!迷宮に行くぞー!」
「えっ、いきなりですか!?」
「今行かなくていつ行くんだ!時間は待ってくれないんだもーん!」

よく解らない言葉を並べるミサキに、ソラタは大きく頷いた。

 
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