ハイスクールD×D 新訳 更新停止
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第1章
旧校舎のディアボロス
第31話 コイツを殴らせて下さい!
前書き
ぶっちゃけアニメ通りです。
俺はアーシアを抱えたまま教会の聖堂に来た。そしてアーシアを長椅子の上に寝かせる。
「アーシア、しっかり!?ここを出れば、アーシアは自由なんだぞ!」
俺の呼び掛けにアーシアがこちらを見る。
……その姿はとても弱々しかった。
「俺といつでも遊べるようになるんだぞ!?」
「……私、少しの間だけでもお友達ができて幸せでした……」
アーシアは弱々しくも幸せそうに微笑む。
「何言ってんだ!?まだ連れて行きたい所いっぱいあるんだからな!?」
理解は出来ていた。この子はもうすぐ死ぬ事は……。
それでも!
「カラオケだろ!遊園地だろ!ボーリングだろ!ラッチューくんだって、もっと沢山獲ろうぜ!あとはさ……あれだよあれ……ほら!そうだ!明日夏以外のダチにも紹介しなくちゃ!松田、元浜って言って、ちょっとスケベだけど明日夏みたいにスッゲー良い奴なんだぜ!絶対、アーシアと仲良くなってくれるからさ!みんなでワイワイ騒ぐんだ!バカみたいにさ……!」
俺は涙を流しながらも必死にアーシアにこれからやろうと思っている事を話し掛ける!
「……この国に産まれて……イッセーさんと同じ学校に行けたら……どんなに良いか……」
「行こうぜ!いや行くんだよ!俺とさ……!」
アーシアの手が俺の頬に触れる。
「……私の為に泣いてくれる……私、もう何も………………ありがとう…………」
その言葉を言った瞬間、頬に触れていたアーシアの手が下ろされた。
そしてアーシアは幸せそうな顔をしながら息をひきとった。
「……アー…シア……何でだよ……?何で死ななきゃなんねえんだよ……!傷付いた相手なら誰でも……悪魔だって治してくれる優しい子なのに!」
何でアーシアが死ななきゃなんねえんだよ!?
「なあ神様、いるんだろッ!?この子を連れて行かないでくれよ!?頼む!頼みますッ!?この子は何もしてないんだッ!ただ友達が欲しかっただけなんだッ!……俺が悪魔になったからダメなんすか!この子の友達が悪魔だから無しなんすか!?なあ頼むよ神様ぁぁぁッ!!」
「……悪魔が教会で懺悔?質の悪い冗談ね」
突然声を投げ掛けられ、声がした方を見る。
「レイナーレッ!?」
そこにいたのは地下にいるはずのレイナーレだった。
「ほら見て。ここへ来る途中、『騎士』の子にやられちゃったわ」
そう言い見せた腕には切り傷があった。
「……明日夏と木場と小猫ちゃんは……?」
俺の質問には答えず、レイナーレは手を傷口に翳した。
すると、手から緑色の光が発せられ傷が塞がっていった!
ッ!?その力は!
「素敵でしょう?どんなに傷付いても治ってしまう。神の加護を失った私達堕天使にとって、これは素晴らしい贈り物だわ。これで私の堕天使としての地位は磐石に。ああ、偉大なるアザゼル様、シェムハザ様、お二人の力になれるの」
……ふざけるなよ……!
「……知るかよ……!」
……そんな理由でアーシアを……!
「……堕天使とか悪魔とか……そんなもん、この子には関係無かったんだ……!」
「神器を宿した選ばれた者……これは宿命よ」
「何が宿命だ!静かに暮らす事だって出来たはずだ!」
「それは無理」
「何がッ!?」
「神器は人間にとって部に余る存在。どんなに素晴らしい力であろうと異質な物は恐れられ、そして爪弾きにされるわ」
俺の脳裏にアーシアの言葉が過る。
『悪魔も治療出来てしまう力を持つような者は異教徒だと』
『私、友達が居ないですから……』
ただアーシアは友達が欲しかっただけなのに……!
「仕方ないわ。それが人間と言う生き物だもの。こんな素敵な力なのにねえ」
「でも俺は……俺はアーシアの友達だ!友達としてアーシアを守ろうとした!」
「でも死んじゃったじゃない!アハハ!その子死んでるのよ。守るとか守らないとかじゃないの。貴方は守れなかったの!あの時も!そして今も!」
「……分かってるよ……だから許せねえんだ……!……お前も……そして俺も!全部許せねえんだ!」
俺の脳裏に部長の言葉が過る。
『想いなさい。神器は想いの力で動き出すの。その想いが強ければ強い程、必ずそれに応えてくれるわ」
……部長……。
「返せよ!アーシアを返せよぉぉぉッ!!」
『Dragon booster!!』
その音声と共に籠手から力が流込んできた!
「ッ!?」
「うあああぁぁあああああああッ!!!!」
そのままレイナーレに殴り掛かるが、飛んで避けられる!
「だから言ったでしょう。一の力が二になっても私には敵わないって」
『Boost!!』
「ウアアアァァアアアアアァァァアアアアアッ!!!!!!」
構わず俺は殴り掛かるがやはり飛んでかわされる!
「へえぇ、少しは力が増した」
「ぐッ!?」
「フッ!」
グサッ!
「がっ!?」
俺の両足に光の槍を投げ付けられ、槍は俺の足を貫く!
俺は槍を抜こうと掴むが、掴んだところから手が焼かれる!
「光は悪魔にとって猛毒。触れるだけでたちまち身を焦がす。その激痛は悪魔にとって最も耐えがたいのよ。貴方の様な下級悪魔では…」
「それがどうした!こんなもん、アーシアの苦しみに比べたらぁぁぁッ!?」
俺は強引に槍を引き抜く!
「どうって事ねえんだよッ!?」
『Boost《ブースト》!!』
「大した物ねぇ。下級悪魔の分際でそこまで頑張ったのは誉めてあげる」
「ぐっ!?」
俺は足の力が抜けて尻餅をついてしまう!
「……力が……っ!?」
「でも、それが限界ね。下級悪魔程度ならもうとうに死んでもおかしくないのに、意外に頑丈ねぇ?」
「……はぁ……はぁ……はぁ……神様……じゃダメか、やっぱ……悪魔だから魔王か?いるよなきっと、魔王……。……俺も一応悪魔なんで、頼み聞いてもらえますかね?」
「何ブツブツ言ってるの?あまりの痛さに壊れちゃったぁ!」
俺は立ち上がる為に足に力を入れる。
「……頼みます。あとは何も要らないですから……」
そして、俺は立ち上がる。
「ッ!?そんな!?嘘よ!」
「だから……こいつを……一発殴らせて下さいッ!!」
「立ち上がれる筈がない!?身体中を光が内側から焦がしているのよ!?光を緩和する能力を持たない下級悪魔が耐えられるはず……」
「……ああ、痛ぇよ。超痛ぇ……今にも……意識がどっかに飛んでっちまいそうだよ!?でも……そんなのどうでも良いくれぇ、テメェがムカつくんだよォォォッ!!」
その瞬間、籠手の形が変わり…。
『Explosion!!』
その音声と共にとてつもない力が俺の中に流込んできた!
「この波動は中級、いえそれ以上のッ!?あ、あり得ないわ!その神器は、ただの『|龍の手《トゥワイス・クリティカル』がどうして!?」
俺はレイナーレを睨み付ける!
「ッ!?う、う、嘘よッ!」
レイナーレは光の槍を投げ付けてくるが、俺はそれを籠手で弾き飛ばす!
「イ、イヤッ!?」
レイナーレは飛んで逃げようとするが、俺は一気に近付き腕を掴む!
「っ!?」
「逃がすかバカッ!」
「私は!?私は至高の…」
「吹っ飛べ!クソ天使ィィィッ!!」
ドガァァァッ!
「がああぁぁあああああぁぁぁあああああっ!?!?!?」
ガシャァァァンッ!
レイナーレは言葉通りに吹っ飛び、ステンドグラスを突き破っていった。
「……ハァ……ハァ……ハァ……ざまあみろ……!ぐッ!?」
俺は力尽きて倒れようとするが、誰かに肩を抱かれた。
見ると明日夏であった。
「……明日夏……」
「お疲れ」
後書き
ようやく一巻の内容が終わりそうです。
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