遊戯王GX-音速の機械戦士-
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
-機械少女VS……?-
前書き
さて本日は、この《遊戯王GX-音速の機械戦士-》が始まって、ちょうど3ヶ月となり、ちょうど30話となりました。
これも皆様のおかげ、これからも頑張っていきたいと思います!
遊矢side
さて、最近は色々なことがあった。
三沢がタニヤを倒し、再び七星門の鍵を守り通した数日後。
今度のセブンスターズの闇のデュエリストは、カードの精霊だという、【黒蠍盗掘団】。
彼らは、この時の為にデュエルアカデミアに潜入しており、七星門の鍵を物理的手段で盗んだが、七星門の鍵は、デュエルしなければ封印は解かれないことを知らなかった。
そのことを知った黒蠍盗掘団の首領・ザルーグを、万丈目が名乗りを上げてデュエルをした。
黒蠍盗掘団たちのデッキは、当然ながら、【黒蠍盗掘団】だった。
《必殺!黒蠍コンビネーション》を使い、黒蠍盗掘団全員をダイレクトアタックさせる強力なコンボを展開。
万丈目の《アームド・ドラゴンL7》をも打ち破り、追い詰めるものの…
万丈目の新たな力、おジャマたちの力で逆転し、おジャマ三兄弟を融合したモンスター。《おジャマ・キングの一撃に、黒蠍盗掘団を撃破。
セブンスターズとの戦いは、またもデュエルアカデミア側の勝利となった。
次なる刺客は、生涯無敗だったという、デュエルの神様アビドス三世。
闇のアイテムの力で蘇り、十代とデュエルをした。
デュエル中に、生涯無敗だったことは、対戦相手が手加減をしていたからだということが発覚するが、実力は確かであり、切り札、《スピリット・オブ・ファラオ》の効果により、十代を追い詰めたものの、十代のヒーローの絆、《HEROフラッシュ!》により、敗北する。
十代と、あの世に来たらまたデュエルしようと約束し、昇天していった…
後は、セブンスターズには関係がないが…いや、無いわけではないが…七星門の鍵の守護者の中で、最強を誇るカイザー亮が、この学校を休学した。
七星門の鍵を鮫島校長に預け、ヘリコプターでどこかへ飛んでいってしまったのだ。
俺たちがそれを知ったのは、亮がいなくなった翌日、鮫島校長から伝えられた。
どこに行ったかは教えてくれなかったが、鮫島校長いわく。
「カイザーにはカイザーで、考えなければいけないことがある…すまないが、少しの間、君たちだけでセブンスターズと戦ってほしい。」
とのことだ。
悩み事でもあるなら、少しぐらい相談してくれればいいのだが…
変に意地っ張りである、あの負けず嫌いは。
そんなわけで、今、カイザーはいないわけたが、セブンスターズも来なかった。
来ないなら来ないにこしたことは無いため、最近、デュエルアカデミアの学園祭が近いので、これ幸いと、そっちの準備に忙しかった。
そんな時である。
深夜、保健室で、未だに目覚めぬ吹雪さんの看病をしていた、俺、三沢、明日香の三人に、
『俺は、天上院吹雪を目覚めさせる方法を知っている。廃寮で待つ。セブンスターズ、第六のデュエリスト』
という手紙が届いたのは。
「明日香。やっぱりお前がデュエルするのか?」
「ええ。兄さんのことが関わっているなら、私が行くわ。」
廃寮に着いた俺たち三人は、タイタンとデュエルをした、中のデュエル場を目指していた。
「おそらく、あの手紙は明日香くんを指名した手紙…【サイバー・ガール】に、メタを張っている可能性があるが…」
「私を指名したなら、私が行くわ。それに、私はまだデュエルしていないしね。」
三沢の忠告にも、明日香の意志は揺らがなかった。
やれやれ。
「じゃ、絶対負けんなよ。明日香。」
「もちろん、そのつもりよ。」
喋っている内に、開けたデュエル場に着く。
そこには、仮面を付けて、漆黒に染めたオベリスク・ブルーの制服を着ている男が立っていた。
「あなたがセブンスターズ?」
明日香がデュエルディスクを構え、一歩前にでる。
「その通りだ。お前が相手か?天上院、明日香。」
明日香の名前を知っている?
わざわざ調べたのだろうか。
「そうよ。あなたの名前は?」
「ククク…俺の名前、か…!」
男は、不気味な笑みを浮かべると共に、つけていた仮面を脱ぎ捨てた。
そして、出て来た顔は、俺も知る顔だった。
「俺の名前は高田純二郎。セブンスターズとなり、黒崎遊矢!お前に復讐するため帰ってきた!」
高田純二郎。
かつて、寮の昇格で俺とデュエルし、この学園を去ったオベリスク・ブルーの男子生徒。
【リクルーター軸・カオス・ネクロマンサー】使いの実力者だ。
そいつが、俺に復讐するため帰ってきた?
「どういうことだ高田!お前がなんでセブンスターズに…」
「黙れ!全て貴様のせいだ!」
俺の質問に、高田は聞く耳を持たない。
「俺への復讐なら、俺がデュエルしてやる!なんで明日香を指名した!?」
「当然、目の前で親友が消えれば悔しいだろう?」
狂っている。
学園にいたころのアイツは、威張り散らしていたが、性格は今と違う。
高田は間違いなく-狂っている。
「大丈夫よ、遊矢。…私は、そんな簡単に負けないわ。」
「なら、闇のデュエルの始まりだァ!」
高田の声と共に、闇が辺りを覆い尽くす。
「遊矢。ここは、明日香くんを信じよう。」
「くっ…気をつけろよ、明日香!」
明日香はこちらを向かずに、コクリと頷いた。
「「デュエル!!」」
明日香LP4000
高田LP4000
「俺の先行!ドロー!」
高田の先攻だ。
アイツのデッキは、前と同じ、【リクルーター軸・カオス・ネクロマンサー】だろうか。
それとも…
「俺は《終末の騎士》を召喚!」
終末の騎士
ATK1400
DEF1200
闇属性限定たが、生きた愚かな埋葬と言っていいモンスター。
「終末の騎士の効果により、俺は《ネクロ・ガードナー》を墓地に送る。」
攻撃を一度防ぐ万能カード…まだ、どんなデッキだかわからない。
「更に、俺は永続魔法、《漆黒のトバリ》を発動する。」
「ってことは…【闇属性】…?」
明日香の呟き通りか、もしくは、闇属性を主軸にしたデッキだろう。
「カードを一枚伏せ、ターンエンド。」
「私のターン、ドロー!」
明日香はどう攻め込むか。
「私は、《融合》を発動!手札の《エトワール・サイバー》と、《ブレード・スケーター》を融合!《サイバー・ブレイダー》を融合召喚!」
サイバー・ブレイダー
ATK2100
DEF800
いきなり登場、明日香のエース、サイバー・ブレイダー!
「いくわよ!サイバー・ブレイダーで、終末の騎士に攻撃!グリッサード・スラッシュ!」
「墓地からネクロ・ガードナーを除外し、攻撃を無効にする。」
十代もよく使う戦士が、サイバー・ブレイダーの攻撃を止める。
…もう使ったか。
「カードを一枚伏せ、ターン…」
「おっと。エンドフェイズ時に《終焉の焔》を発動!二体のトークンを出させてもらうぜ?」
黒焔トークン
ATK0
DEF0
「黒焔トークン…ターンエンドよ。」
エンドフェイズに黒焔トークンを特殊召喚。
それは、大型モンスターを狙っている証。
明日香も、それはわかっているのだろう、嫌な顔をした。
「俺のターン、ドロー!
…漆黒のトバリの効果を発動!ドローした闇属性モンスター、《キラー・トマト》を墓地に捨て、一枚ドローォ!」
これこそが漆黒のトバリの効果。
墓地肥やしとドローを、同時に行うことが出来るカードだ。
「クククッ…黒焔トークン二体をリリースし、《DT-デス・サブマリン》をアドバンス召喚!」
DT-デス・サブマリン
ATK0
DEF0
『ダークチューナー!?』
俺、三沢、明日香の三人の声が重なった。
「…遊矢。ダークチューナーというのは…」
「俺も知らない。そんなモンスターの存在も、さっぱり聞いたことがない!」
そもそも、チューナーというのは、シンクロ召喚のシステム上、低レベルの筈だ。
だが、あのダークチューナー・デス・サブマリンは、レベル、9。
いや、レベル9ですらない。
あれは…
「ヒャーハッハッハ!レベル-9のDT-デス・サブマリンと、レベル4の終末の騎士をダークチューニング!」
高田が奇声を上げ、チューニング…否。ダークチューニングが始まる。
合計レベルは…-5。
ダークチューナーが闇の粒になり、モンスターにとりつき、中に入っていく。
「闇と闇重なりしとき、冥府の扉は開かれる。光なき世界へ!ダークシンクロ!いでよ、《氷結のフィッツジェラルド》!」
氷結のフィッツジェラルド
ATK2500
DEF2500
…これは、シンクロ召喚じゃない…!
「闇の世界に伝わる、ダークシンクロ。ダークチューナーのレベルから、モンスターのレベルを引き、同じレベルのダークシンクロモンスターを特殊召喚出来る!」
シンクロ召喚が、レベルを足すのに対して、ダークシンクロはレベルを引くようだ。
「氷結のフィッツジェラルドで、サイバー・ブレイダーを攻撃ィ!ブリザード・ストライクゥッ!」
氷結のフィッツジェラルドから、氷の飛礫がサイバー・ブレイダーへ飛ぶ。
「リバースカード…」
「甘いんだよ!氷結のフィッツジェラルドが攻撃するとき、相手はダメージステップ終了時まで、魔法・トラップを使用できない!」
なんだと!?
クロノス教諭の、古代の機械シリーズと同じ効果か…
「きゃあっ!」
明日香LP4000→3600
「だけど、サイバー・ブレイダーは、相手モンスターが一体の時、戦闘破壊されない!
パ・ド・ドゥ!」
戦闘破壊されない、攻撃力2100のモンスター。
なかなか強力だ。
「あ?…そういや、あったなァ、そんな効果。カードを一枚伏せ、ターンエンドだァ!」
「私のターン、ドロー!」
未知の敵、ダークシンクロモンスター。
それを相手に、明日香はどう挑む…?
「私は装備魔法、《デーモンの斧》を発動!攻撃力が1000ポイントアップする!」
サイバー・ブレイダー
ATK2100→3100
サイバー・ブレイダーの攻撃力が、氷結のフィッツジェラルドの攻撃力を超えた!
「サイバー・ブレイダーで、氷結のフィッツジェラルドに攻撃!グリッサード・スラッシュ!」
斧を持ったサイバー・ブレイダーが、氷結のフィッツジェラルドを蹴り倒した。
…おい、斧を使えよ。
「ククッ…」
高田LP4000→3400
自慢のダークシンクロモンスターがやられたというのに、高田は不気味な笑みを絶やさない。
「氷結のフィッツジェラルドの効果を発動!このカードが戦闘で破壊された時、他にモンスターがいない時、表側守備表示で特殊召喚する!蘇れ!氷結のフィッツジェラルドォ!」
氷結のフィッツジェラルド
ATK2500
DEF2500
高田の自信は、この効果のおかげか…
「それでも、サイバー・ブレイダーは倒せないわ!」
「ハーハッハッハッ!氷結のフィッツジェラルドの第三の効果を発動ォ!このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、このカードを攻撃した相手モンスターを破壊する!」
「なんですって!?」
ふざけた効果だ…!
戦闘で破壊されないどころか、相手モンスターを破壊するオマケ付きか…
「くたばれェ!サイバー・ブレイダー!」
「くっ…!」
明日香のエースモンスターが破壊され、明日香のフィールドはがら空きになる。
「…タダではやらせないわ!私は、《サイバー・ジムナティクス》を守備表示で召喚!」
サイバー・ジムナティクス
ATK800
DEF1800
現れるは、効果破壊専門のサイバー・ガール!
だが、サイバー・ジムナティクスの効果は、表側攻撃表示モンスターしか破壊できない。
今、氷結のフィッツジェラルドは表側守備表示のため、効果破壊はできない。
「ターンエンドよ。」
「俺のターン!ドロー!
漆黒のトバリの効果を発動ォ!引いたのは、闇属性モンスター、《インフェルニティ・デストロイヤー》だ!一枚ドロー!更に引いたのは、《ダークファミリア》だ!一枚ドロー!」
着実に、高田の墓地が肥えていく。
早くなんとかしないと、ヤバいぞ明日香…
「氷結のフィッツジェラルドを攻撃表示にし、バト…」
「リバースカード、オープン!《和睦の使者》!このターン、私へのダメージは0となり、モンスターは破壊されない!」
まだ、氷結のフィッツジェラルドは攻撃宣言をしていない。
よって、明日香はトラップカードを発動出来る。
「チィッ…モンスターをセットして、ターンエンドだ!」
「私のターン、ドロー!」
氷結のフィッツジェラルドの効果がありながら、モンスターをセットしたのは、サイバー・ジムナティクスがいるからだろう。
氷結のフィッツジェラルドは、効果破壊には耐性を持たないようだ。
「サイバー・ジムナティクスの効果を発動!手札を一枚捨てることで、相手の攻撃表示モンスターを破壊する!」
サイバー・ジムナティクスの蹴りが、氷結のフィッツジェラルドを破壊する。
…効果破壊も、蹴りなのか…
「そして、サイバー・ジムナティクスをリリースすることで、《サイバー・プリマ》をアドバンス召喚!」
サイバー・プリマ
ATK2300
DEF1600
明日香が出したのは、上級サイバー・ガール、サイバー・プリマ!
「サイバー・プリマがアドバンス召喚に成功した時、フィールド場で表側表示の魔法カードを全て破壊する!」
フィールド場で表側表示なのは、高田の漆黒のトバリのみ。
だが、漆黒のトバリは、おそらく高田のデッキの基点。
それを破壊出来たのは、大きい。
「バトル!サイバー・プリマで、セットモンスターに攻撃!終幕のレヴェランス!」
「セットモンスターは、《メタモルポッド》だ!リバース効果により、お互いに手札を五枚捨て、五枚ドロー!」
【カオス・ネクロマンサー】の時にも投入されていた、メタモルポッド。
墓地肥やしと、手札交換を同時に出来る優秀なモンスターだ。
難点は、【デッキ破壊】以外では、相手にも得をさせてしまうどころだが…
「私は、カードを一枚伏せてターンエンドよ。」
「俺のターン!ドローォ!」
お互いに、ライフは余り削られていない。
ここからが勝負どころだろう。
「リバースカード、オープン!《リミット・リバース》!攻撃力1000以下の、DT-デス・サブマリンを復活させる!」
DT-デス・サブマリン
再び現れる、ダークチューナー。
高レベルだが、攻撃力が0のため、いくらでも復活させる手段がある。
「そして、《インフェルニティ・ビースト》を召喚!」
インフェルニティ・ビースト
ATK1600
DEF1200
先程から目にする、《インフェルニティ》と名のつく、聞いたことの無いカードたち。
あれも、闇の世界とやらに伝わるカードなのだろうか。
《インフェルニティ》が、どんな効果を持っているかは知らないが、高田がやろうとしていることはわかる。
ダークシンクロだ。
「レベル-9のDT-デス・サブマリンと、レベル3のインフェルニティ・ビーストでダークチューニングッ!」
ダークファミリアの中に、黒い玉が入っていく…
「闇と闇重なりしとき、冥府の扉は開かれる。光なき世界へ!ダークシンクロ!いでよ、《地底のアラクネー》!」
地底のアラクネー
ATK2400
DEF1200
新たなダークシンクロモンスター!
どんな効果を持つ…?
「地底のアラクネーは、1ターンに一度、相手モンスターを装備することが出来る!トワイナー・スレッド!」
地底のアラクネーが伸ばした蜘蛛の糸が、サイバー・プリマを捕縛する。
そして、そのまま自分の下へ引き寄せた。
「サイバー・プリマ!」
サイバー・プリマが、地底のアラクネーに奪われたことにより、再び明日香のフィールドはがら空きとなった。
相手モンスターを装備する…要は、強力な単体除去だ。
「地底のアラクネーがバトルする時、相手は魔法・トラップを発動出来ない!行け!地底のアラクネー!天上院明日香にダイレクトアタック!ダーク・ネット!」
「きゃあああっ!」
明日香LP3600→1200
明日香のライフが大きく削られる!
「明日香!大丈夫か!?」
「え、ええ…まだまだよ!」
うずくまっていた明日香だが、なんとか起き上がった。
「サッサとくたばれば良いものを…カードを一枚伏せ、ターンエンド!」
「私のターン、ドロー!」
1ターンに一度、明日香のモンスターを奪っていくダークシンクロモンスター、地底のアラクネー。
壁モンスターでは意味をなさない。
どうにか倒さなければ…
「私は、《高等儀式術》を発動!」
儀式術から召喚されるのは、サイバー・ガールたちの天使!
「デッキ内の、ブレード・スケーターを二枚墓地に送り、《サイバー・エンジェル-荼吉尼-》を儀式召喚!」
サイバー・エンジェル-荼吉尼-
ATK2700
DEF2400
最強のステータスを持つサイバー・エンジェル。
こいつの効果があれば、地底のアラクネーを倒せる!
「サイバー・エンジェル-荼吉尼-の効果!特殊召喚に成功した時、相手は、自分のモンスターを一体破壊する!」
「俺のフィールドには、地底のアラクネーしかいないッ…!」
対象をとるのが相手なのがネックだが、今は、地底のアラクネー一体のみなので関係がない!
サイバー・エンジェル-荼吉尼-が、地底のアラクネーに近づき、切り裂こうとした、その時。
いきなり、地底のアラクネーを庇うようにサイバー・プリマが現れ、代わりに切り裂かれてしまった。
「え!?」
「地底のアラクネー第二の効果は、破壊される時に、装備されているモンスターを破壊することにより、その破壊を免れる!」
何個効果があるんだよ…しかも、どれも酷い効果で。
「なら、直接破壊するわ!サイバー・エンジェル-荼吉尼-で、地底のアラクネーに攻撃!」
「リバースカード、オープン!《攻撃の無力化》!サイバー・エンジェル-荼吉尼-の効果を無効にし、バトルフェイズを終了させる!」
サイバー・エンジェル-荼吉尼-の攻撃が、高田が出した時空の穴に吸い込まれて消滅する。
「ククッ…目論見が外れて、残念だったなァ!」
「…私は、《サイバー・プチ・エンジェル》を守備表示で召喚!」
サイバー・プチ・エンジェル
ATK300
DEF200
天使族モンスター、《プチテンシ》を機械化したようなモンスターが現れる。
あんな外見でも、明日香のデッキには必要不可欠な存在だ。
「サイバー・プチ・エンジェルが、召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから、《機械天使の儀式》を手札に加えることが出来る!」
デュエルディスクから、一枚のカードが飛びでる。
「カードを一枚伏せ、ターンエンドよ。」
「何が来るかと思えば、ただの雑魚モンスターの壁かァ!?俺のターン、ドローォ!」
圧倒的に有利な余裕から、高田は自信満々にカードを引く。
「地底のアラクネーの効果を発動ッ!対象は、サイバー・エンジェル-荼吉尼-だ!トワイナー・スレッド!」
地底のアラクネーが、再び蜘蛛の糸を伸ばし、サイバー・エンジェル-荼吉尼-を捕らえ…
「リバースカード、オープン!《ピュア・ピューピル》!自分フィールド場に、元々の攻撃力が1000以下のモンスターが存在する時、効果を発動した相手モンスターを破壊する!」
明日香のカウンタートラップ、ピュア・ピューピルから放たれた光弾に、地底のアラクネーは破壊される。
元々の攻撃力が1000以下の場合のみだが、手札コストなしの《天罰》の効果を持つカウンタートラップ。
少々使いにくいが、強力な効果だ。
明日香がサイバー・プチ・エンジェルを出したのは、壁モンスターでもあるが、なにより、ピュア・ピューピルの発動条件を満たすため。
その作戦は成功し、地底のアラクネーを破壊した。
「地底のアラクネーが破壊された、だと…」
高田も、地底のアラクネーがエースモンスターだったのか、少しショックを受けて…いや。
「とでも言うと思ったかよ!?甘めェんだ!手札から、《死者蘇生》を発動!」
蘇るのは、当然…
「蘇れ!地底のアラクネー!」
地底のアラクネー
ATK2400
DEF1200
再び現れる、蜘蛛のダークシンクロモンスター。
「もう防げまい!地底のアラクネーの効果を発動!サイバー・エンジェル-荼吉尼-を装備する!トワイナー・スレッド!」
今度こそ、地底のアラクネーの蜘蛛の糸は、サイバー・エンジェル-荼吉尼-を捕らえた。
これで、明日香はモンスターを失い、地底のアラクネーには破壊耐性がついてしまった。
「更に、《インフェルニティ・デーモン》を召喚!」
インフェルニティ・デーモン
ATK1800
DEF1200
謎のシリーズカード、《インフェルニティ》と名のつくモンスターが現れる。
しかし、特に何も効果は発動しなかった。
「まず、インフェルニティ・デーモンで、サイバー・プチ・エンジェルに攻撃!ヘル・プレッシャー!」
サイバー・プチ・エンジェルの頭上に、巨大な魔法陣が現れ、そこから出てきた手が、サイバー・プチ・エンジェルを押しつぶした。
「リバースカード、オープン!《奇跡の残照》!このターン、戦闘で破壊されたモンスターを特殊召喚する!サイバー・プチ・エンジェルを、守備表示で特殊召喚!」
サイバー・プチ・エンジェル
ATK300
DEF200
奇跡の残照…少し前、万丈目との友好デュエルの時、《サイバー・ブレイダー》を貰うだけじゃ悪かったので、後日押しつけたカードだ。
明日香の助けになったようで良かった。
「サイバー・プチ・エンジェルの効果を発動!デッキから、《機械天使の儀式》を手札に加えるわ!」
壁モンスターを作ると同時に、次のターンの布石も用意した。
「さっきからしぶといんだよッ!地底のアラクネーで、サイバー・プチ・エンジェルに攻撃!ダーク・ネット!」
防ぐ手段があるはずも無く、サイバー・プチ・エンジェルは破壊される。
「カードを三枚伏せ、ターンエンドだァ!」
「私のターン、ドロー!
…《強欲な壺》を発動し、二枚ドロー!」
明日香がカードを二枚引き、強欲な壺が破壊される。
「行くわよ!まずは、《機械天使の儀式》を発動!手札の、《サイバー・エンジェル-弁天-》を素材に、《サイバー・エンジェル-韋駄天-》を儀式召喚!」
サイバー・エンジェル-韋駄天-
ATK1600
DEF2000
ステータスはもっとも低いが、そのぶん強力な効果を持つサイバー・エンジェル!
「サイバー・エンジェル-韋駄天-の効果を発動!このカードの特殊召喚に成功した時、墓地から魔法カードを一枚手札に加える!私が加えるのは、強欲な壺!」
これで、制限カードである強欲な壺が使い回せる、明日香自慢のドローコンボだ。
「強欲な壺を発動し、二枚ドロー!…そして、《死者蘇生》を発動し、墓地のサイバー・ブレイダーを特殊召喚!」
サイバー・ブレイダー
ATK2100
DEF800
復活する、明日香のエースモンスター、サイバー・ブレイダー!
そして、高田のフィールドにモンスターは二体。
「あなたのフィールド場のモンスターは二体!よって、サイバー・ブレイダーの攻撃力は倍になる!バ・ド・カトル!」
サイバー・ブレイダー
ATK2100→4200
「攻撃力4200だと!?」
「まだまだよ!…遊矢、使わせてもらうわ!私は、チューナーモンスター、《フルール・シンクロン》を召喚!」
フルール・シンクロン
ATK400
DEF200
「「チューナーモンスター!?」」
今度は、高田と三沢が驚きの声を上げる番だった。
「どういうことだ、遊矢。このデュエルアカデミアでは、君しかチューナーモンスターは持っていないんじゃないのか?」
「デッキ作りのお礼に、明日香に上げたんだよ。明日香のデッキの方が合いそうだったからな。」
カミューラとの、闇のデュエル前のことだ。
「レベル2、フルール・シンクロンと、レベル6、サイバー・エンジェル-韋駄天-をチューニング!」
明日香が新しくシンクロモンスターを手に入れていないなら、今から出てくるカードは、俺が渡したカードだろう。
「光速より生まれし肉体よ、革命の時は来たれり。勝利を我が手に!シンクロ召喚!きらめけ!《フルール・ド・シュヴァリエ》!」
フルール・ド・シュヴァリエ
ATK2700
DEF1400
白百合の騎士、降臨。
…《シンクロン》と、名のつくチューナーモンスターから出るシンクロモンスターだが、やっぱり【機械戦士】には似合わないな。
明日香に渡して正解だった。
「フルール・シンクロンは、シンクロ素材となった時、レベル2以下のモンスターを手札から特殊召喚出来るけど、私の手札にレベル2以下のモンスターはいないわ。…バトルよ!サイバー・ブレイダーで、インフェルニティ・デーモンを攻撃!」
「それがどうしたァ!リバースカード、オープン!《聖なるバリア-ミラーフォース-》!これで、お前のモンスターは全滅だァ!」
高田。お前の言葉をそっくりそのまま返そう。
それがどうした?
「フルール・ド・シュヴァリエの効果を発動!自分のターンに一度のみ、相手が発動した魔法・トラップカードを無効にして破壊する!」
「何ィ!?」
フルール・ド・シュヴァリエがバリアを切り裂き、そこからサイバー・ブレイダーがインフェルニティ・デーモンに迫る。
「グリッサード・スラッシュ!」
「グアアアッ!」
高田LP3400→1000
高田のライフを大きく削った!
「更に、フルール・ド・シュヴァリエで、地底のアラクネーに攻撃!フルール・ド・オラージュ!」
フルール・ド・シュヴァリエの華麗なる一撃は、地底のアラクネーの前に現れた、サイバー・エンジェル-荼吉尼-が受けた。
「地底のアラクネーの効果により、サイバー・エンジェル-荼吉尼-を墓地に送り、破壊を免れる!」
「それでも、戦闘ダメージは受けてもらうわ!」
サイバー・エンジェル-荼吉尼-を切り裂いた剣から衝撃波がほとばしり、高田を襲う。
高田LP1000→600
「グアァッ…だが、プレイミスだったな、天上院明日香ァ!これでまた、地底のアラクネーの効果を使えるぜェ!」
「それはどうかしら?」
高田の言葉を、明日香は華麗に受け流した。
これが、デュエルアカデミアの女王の異名を持つ者の実力。
皇帝と並び称される者の実力。
「メインフェイズ2。私は、《レアコールド・アーマー》をフルール・ド・シュヴァリエに装備!」
レアコールド・アーマーは、装備したモンスター以外への攻撃を封じる装備魔法。
残りライフも僅かだ。
攻撃力が低くなった、サイバー・ブレイダーを狙われることを心配したのだろう。
「私は、カードを二枚伏せ、ターンエンドよ!」
リバースカードも用意し、いきなり明日香が優勢になる。
「俺のターン、ドロー!
…ククク…地底のアラクネーを倒さなかったこと、後悔させてやるぜ!」
「リバースカード、オープン!《サンダー・ブレイク》!手札の《サイバー・チュチュ》を墓地に送り、あなたの地底のアラクネーを破壊するわ!」
明日香のトラップからの雷撃。
サイバー・エンジェル-荼吉尼-を墓地に送った今、高田に防ぐ手段はなかった。
だが、確かに地底のアラクネーは破壊されたものの、高田は…変わらず、狂気に笑っていた。
「クククッ…まんまと囮に引っかかってくれたなァッ!俺の切り札は、別にある!」
地底のアラクネー以上のカードがあるだと!?
「俺は、《インフェルニティ・ドワーフ》を召喚!」
インフェルニティ・ドワーフ
ATK800
DEF500
…俺の予想に反し、出て来たのは、あまり強そうではないモンスター。
というか、正直、見た目はただのおっさんだった。
だが、この場にいる者は、誰一人として油断をしなかった。
第一に、未知のシリーズカード、《インフェルニティ》の名を冠していること。
第二に、シンクロ素材にするならば、どんなに弱くても関係が無いからだ。
「俺はリバースカード、《凡人の施し》を発動!デッキから二枚ドローし、手札に通常モンスターがいなかった場合、手札を全て捨てる!俺の手札には通常モンスターはいない!よって、手札を全て捨てる!」
手札を全て捨てる?
それは、墓地肥やしにしてもやりすぎだろう。
手札を0にしては、何もままならない。
俺たちの疑惑の視線を感じたのか、高田は高笑いをする。
「俺が何をしようとしているか知りたいかァ?すぐに教えてやるぜ…俺のハンドレスコンボが完成した時になァ!」
ハンドレスコンボ。
つまり、手札が0の時に発動するということか…?
「明日香!気をつけろ!」
明日香もそんなことは分かっているのだろう、高田から目を放さず、頷いた。
「そして、二枚目のリバースカード、《リビングデッドの呼び声》を発動!蘇れ!《DT-ナイトメア・ハンド》!」
DT-ナイトメア・ハンド
ATK0
DEF0
やはり狙っているのは、ダークシンクロ!
「レベル2のインフェルニティ・ドワーフと、レベル-10のDT-ナイトメア・ハンドで、ダークチューニング!」
レベルの合計は…-8。
「漆黒の帳下りし時、冥府の瞳は開かれる。舞い降りろ闇よ!ダークシンクロ!いでよ、《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》!」
ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン
ATK3000
DEF2500
禍々しいオーラを放つ漆黒の龍…これが、高田の真の切り札なのか…?
「ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンは、墓地に存在する、《インフェルニティ》と名のつくモンスターと同じ効果を得る…そして、《インフェルニティ》は、強力な効果を持つ代わりに、手札が0枚で無いと効果が発揮できない。」
なるほど。
故に、《ハンドレスコンボ》。
問題は、今、どんな効果を持っているかだ。
「ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンの今現在の効果!インフェルニティ・ガーディアンの効果により、手札が0枚の時、戦闘・効果では破壊されず、インフェルニティ・ビーストの効果により、手札が0枚の時、このカードが攻撃する時、相手は魔法・トラップを発動出来ず、インフェルニティ・ドワーフの効果により、貫通能力を得る!」
「ふざけんな!」
つい、口に出してしまう程のチートカードだ。
倒す手段が、バウンズぐらいしかない。
「フン…貴様はそこでほざいていろ。ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンで、フルール・ド・シュヴァリエに攻撃!インフィニティ・サイト・ストリームッ!」
ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンの身体中の目が開き、そこから無限の光を放つ!
明日香のフィールドには、リバースカードがあったが、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンの効果により、発動できない。
「くうっ…!」
明日香LP1200→1000
装備していたレアコールド・アーマーのおかげで、フルール・ド・シュヴァリエしか狙われず、ライフがギリギリ残った。
「まだまだよ!」
明日香はまだ諦めない。
デュエリストとして。
「ククッ…!いや、これで終わりだ!墓地に存在する、インフェルニティ・デストロイヤーの効果!手札が0枚の時に相手モンスターを破壊した時、1600ポイントのダメージを与える!」
「…そ、そんな…!」
明日香のライフは残り200。
耐えられるわけが…無い。
「ヒャーッハッハッハァッ!これで終わりだァッ!追撃のインフィニティ・サイト・ストリームッ!」
再び、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンから光が放たれ、明日香を…貫いた。
「…ゆう…ごめ…」
明日香LP1000→0
明日香は…静かに、倒れ伏した。
「明日香ァァァァァッ!」
何にも構わず、明日香の下に走り出した。
しかし、明日香の周りに、黒い泡が現れ、俺の接近を拒んだ。
この黒い泡は…タイタンとタッグデュエルをした時に出て来た泡!
「明日香を放せぇっ!」
黒い泡につかみかかるが、何か、障壁のような物に弾かれる。
「くそっ!」
「駄目か…」
隣では、三沢も障壁に弾かれていた。
「闇のゲームに敗れたんだ、天上院明日香には、罰ゲームを受けてもらわなきゃなァ?」
高田はこちらを見下しながら、そう言った。
「罰ゲーム…だと…!?」
「あァ…そういや、言ってなかったな。…クククッ…言ってなかったといえば、さっき、インフェルニティ・デストロイヤーの効果を最初に言うのを忘れた。そのせいで、天上院明日香に無駄な希望を味あわせてしまったなァ…クハッ!ハハハハハハハッ!」
響き渡る高田の哄笑に、俺の中の何かがキレた。
「テメェ…」
「おっと…そんな怖い顔をするなよ…まあ、見ていろ。これが敗者の罰だ…」
明日香の身体が、ズブズブと床に…いや、黒い泡に沈んでいく。
「くっ!」
俺と三沢の二人で、なんとか助けようとするが…二人じゃ、とても力が足りない。
そしてそのまま…明日香は、黒い泡に沈んでいってしまった…
「…明日、香…」
「ヒャーッハッハッハッ!」
絶望する俺の声と、何かに耐えるように目を瞑る三沢に、高田の高笑いが木霊する。
「俺とっ…俺とデュエルしろ!高田ァッ!」
感情に任せ、デュエルディスクを構える。
「落ち着け遊矢!」
「これが落ち着いていられるか!一刻も早く、あいつを倒して、明日香を助けだす!」
三沢の忠告にも耳を貸さず、デュエルディスクを構える俺を、高田は冷ややかな目で見ていた。
「断る。…お前を相手にするのは、次の次。もう一人を闇に送ってからだ。…何故かって、その方が復讐っぽいだろ?」
「ふざけんな!復讐するなら俺だけを狙え!」
俺の言葉を無視して、高田は廃寮の奥に歩いていく。
「それじゃ、また明日ってなァ?ヒャーッハッハッハァッ!」
そのまま、高田の姿は闇に消えていった…
「くっそぉぉっ!!」
知らず知らずの内に、俺は床に拳を打ちつけていた。
後書き
…えーっと…3ヶ月・30話というおめでたい話に、ごめん明日香。
だけど、こうしないとこの記念日が、黒蠍盗掘団とのデュエルになってしまうんだ!
…というわけで、許してください、明日香。
君も結構、善戦したよ。
そんなわけで、亮の休学、高田の誰得イカレ再登場と、明日香敗北という三つを記念日にやってしまい、ちょっと詰め込みすぎかもしれませんね。
(他の話が短い、というのもありますが…)
そして、これから期末テスト!
前回は散々でしたので、今度こそ更新速度downです!
…多分。きっと。めいびー。
感想・アドバイス待ってます!
ページ上へ戻る