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無の使い手

作者:カロカロ
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ブルー編
  入学

 
前書き
拙い文章ですがこれからよろしくおねがいします 

 
今から約50年ほど前、巨大な隕石が地球に降ってこようとした。
前々から計算によって巨大隕石が降ってくることは予想できていたため、世界が結集し隕石を破壊することに成功。
しかし完全に破壊できたわけではなく、破壊した際に小さな隕石となって地球のいたるところに降り注ぐ。
運がよかったのか、一人の死者も出ずに事なきを得た。
そのはずだった。
地球に降り注いだ隕石は不思議なエネルギーを持っており一部の……産まれた人間を変化させていった。
変化した人間は異能を、つまり超能力と呼ばれるものを手にしたのだ。
能力も個人差があり、強い能力から何に役に立つのかわからない能力まで様々。



そして現在では地球上の半分は何かしらの能力をもった人たちで溢れている。
漫画やライトノベルなどでしか見たことのないような世界がここにはあった。
もはや、能力漫画はファンタジーなどではなく日常漫画となり、能力であるある漫画なども出てきているほど。
戦国時代は人殺しが日常だったように、日常は時代背景によって簡単に変わってしまうように思える。



「……きて! お……て! 起きて!」
体をゆさゆさと揺すられて僕は目を覚ました。
黒色のショートヘア。
凛々しい目つき。
知的な雰囲気を持つ女性。
僕の幼馴染が目に映る。
「おはよう。和葉(かずは)
「おはよう。神無(かんな)
一週間ほど前から和葉が僕を起こしにくるようになった。
最初は戸惑った。
「なんで和葉が僕の部屋に!?」とか「なんで起こしに来たの?」とか色々聞いた。
その返答は「神無のことが解るかもしれないから」らしい。
起こしに来なくてもいいといったのだが「解らないことが解るまではいやだ」と断られ、今では諦めて起こされている。


「ほら、さっさと着替えて。 入学式から遅刻したら洒落にならないよ?」
そう言われて時計を見てみたが一時間ほど余裕がある。
僕の家から学校まで徒歩20分、自電車で10分くらいの近場。
普通に朝食を食べて、着替えて、出発すれば遅刻することはない。
だがここは素直に着替えて朝食を取る方が何も言われずにすむだろう。
「わかった。着替えるから出てってくれ」
「じゃ、私は家に戻るから。 出発する時は私の部屋に訪ねに来てね」
「わかったよ」
それだけいって和葉は音もなく消えた。
別に透明になったわけではなく、空間転移の類いらしい。
前に和葉本人がそう言っていたのだからそうなのだろう。
僕は純白の制服に袖を通し、自分の能力のランクを示す青いバッジと校章を襟につけて着替えを終わらせた。
朝食には焼き鮭、あさりの味噌汁、ほうれん草のおひたし、ご飯が並んでいた。
食事を終えると歯磨き、洗顔をして時間を見る。
和葉を迎えに行けば丁度いい時間になるだろう。
「いってきまーす」


和葉の家は僕の家のすぐ隣。
迎えに行くのには時間がかからない。
インターホンを押して反応を待った。
「はーい」
元気な掛け声とともに和葉の母親が出てくる。
「おはようございます」
「おはよう、神無くん。 和葉ね、神無くんが来たら和葉の部屋に来てっていってたから」
「分かりました。 お邪魔させてもらいますね」
「どうぞ、上がって」
僕は和葉の部屋(2階に上がって突き当たりを右)を目指した。
和葉の部屋に行くのは初めてではない。
幼い頃はよく行っていたし、和葉も僕の部屋に来ていた。
部屋の前に着くと、ドアをノックする。
「神無だけど」
「神無? 入っていいよ」
「おじゃましま……」
僕はちゃんとノックしたし、名前もいった。
だから、目の前に下着姿の和葉の姿が映ったのは不可抗力のはずだ!
大きく実った果実と、小ぶりな桃を隠す黒い下着。
シミひつつない肌。
くびれた腰。
美しい脚。
それらを確認した僕は素早く
「……した」
バタンと扉を閉めた。
この間1秒未満。
和葉からすれば扉を開けられたと思ったらすぐに閉まった。
そんなところだろう。



制服に着替えた和葉が部屋から出てきたのは僕が扉を開閉した約30秒後。
「なんで着替えてるのに入っていいなんて言ったんだよ?」
「神無がどんな反応するか知りたかったから」
たったそれだけのために自分の着替えている途中に僕を部屋に入れたのか?
わけがわからない。
なんだか頭が痛くなってきた。
僕だって健全な男だ。
和葉の着替えシーンが興味あるかないかで答えればあるに決まっている。
性欲処理だってしたことがないと言ってしまえば嘘になってしまう。
でも、年頃の男に着替え姿を見せるというのはどうかと思う。
悪く言ってしまえばビッチなんじゃないかと疑ってしまう。
あまりうるさく言うと遅刻してしまうかもしれないので短く
「着替えてる途中で僕を部屋に入れないでくれ。 わかった?」
「わかった」
この発言がまた別の問題につながるのはまだ先の話。



和葉の家をでた僕たちは学校に向かって歩いていた。
このまま行けば予鈴の10分前には学校に到着するだろう。
僕たち以外にも学校へと向かう生徒たちの姿が見受けられる。
その生徒たちは僕の隣を歩く和葉を見て、逃げるように走り出した。
生徒たちが見たのは和葉本人ではなく、和葉が制服に着けている黒いバッチの方だろう。
ブラックと呼ばれる世界中を探してもたった数人しかいない能力者たち。
能力のランクで最上位を示すバッジだ。
そして僕のブルーは、能力のランクが最下位。
武術の達人がどうにかあしらえると言われるブルー。
先進国の軍隊と互角以上に戦えると言われるイエロー。
ブルーやイエローがどんなに束になっても勝てず、現在の科学ではどうあがいても殺すことのできないレッド。
そして、レッドがどんなに束になってかかっても勝てない、全能の神如き能力(ちから)を持つと言われる存在がブラック。
その神様みたいな人が僕の隣で歩いているわけだ。
そりゃ、見たら逃げ出したくもなるのかもしれない。
「逃げても無駄なのにね」
「え?……ああ、そっか」
僕たちの通う学校は"普通"の学校だ。
能力者だけが通う学校。
昔は珍しかったらしいが、今では当たり前のようにある"普通"の学校。
そして、能力者だけが通う学校の中でも最上位の学校。
ブラックも数人通っていると言われている。
だから僕たちの通う学校は、こうも言われている。
最も危険で、最も安全な学校。
ブラックが数人いるのだから、危険と安全が伴うのは言うまでもない。
それに学校自体が、この宇宙ごと消し飛ばしても無くならないと言われているほどだ。
どんな構造だ!?と突っ込みたくなる。
そうこう思考しているうちに
「着いたな」
「体育館集合だから早く行きましょう」


外見はいたってどこにでもあるような体育館だった。
しかし、中身は違った。
というか、外見と中身の大きさが一致しない。
外見はバスケットのコートが2面入る程度の広さを持つどこにでもありそうな体育館。
その中身は、東京ドームの10倍は広いであろう空間が広がっていた。
※東京ドームのグラウンド面積:13,000 m^2
「どういう構造なんだ……」
「この学校にはブラックがいるんだからこれぐらい出来て当然でしょう」
確かに全能の力をもってすれば、外見と内面の空間の広さが違うものを創りだすくらい簡単なはずだ。
「それに学校の大きさはこれの比じゃないしね」
「え?」
もしかして、校舎内もこんな風に摩訶不思議空間なのか?
どれだけこの学校はやばいんだよ。
近場の能力者の通う学校と聞いて選んだだけだが、早くも苦労しそうな未来しか見えない。
そんな風に悩む神無であった。

時間は刻々と過ぎて行き、いよいよ入学式がはじまる。
体育館内には数え切れない程の人が集まっている。
下手をすれば万を超えているかもしれない。
入学式はスムーズに進んでいった。
能力者が通う学校だから、なにか特別な注意事項があると思ったのだがそうでもないようだ。
入学式の最後に一人の男が出てきた。
「初めまして。 この学校で生徒会長をしている(れん)だ。 なんで特別な注意事項がないんだと思っている生徒が沢山いるようだから最後に答えてやる。 それは俺たち(ブラック)がいるからだ」
全能の力を持つブラックは、いつどこで何が起こるかも知っているし、そういうことを起こさせないような力もある。
だからこそ、特別な注意事項は端から必要ない。
いよいよ学校生活が始まる。 
 

 
後書き
次回はいよいよバトルの予定
 
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