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八条学園怪異譚

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第三十七話 テケテケその二

「それで私も人は襲わないから」
「そこも口裂け女さんと一緒ね」
「そうなのね」
「そうよ、そんなことしないから」
 絶対にだというのだ。
「私の話をしただけで遅い掛かるとかは」
「じゃあ驚かせるだけとか?」
「ここの他の妖怪さん達と同じで」
「ええ、そうよ」
 そうだとだ、テケテケは二人に明るい笑顔で答えた。
「膝だけで匍匐前進してみせてね」
「それで見た人を驚かせるの」
「口裂け女さんがその口を見せて驚かせるのと同じで」
 二人はテケテケの行動についてもわかった、結局そこも他のよい妖怪達と同じだった。
「別に鎌とかで襲わないのね」
「足をもぎ取ったりとかもしないので」
「そんな物騒なことしないから」 
 絶対にだというのだ。
「何よそれって感じで」
「それで何でここに住んでるの?」
 愛実は次は彼女が何故鉄道博物館にいるかと尋ねた。
「それはどうしてなの?」
「ああ、そのことね」
「そう、それはどうしてなの?」
「生まれた話が線路由来だからね」
 轢かれて死んで妖怪になったという話だからだというのだ。
「元々鉄道とかが好きなのよ」
「ふうん、そうなの」
「それでだったの」
 愛実だけでなく聖花もその話を聞いて頷いた。
「何かそれ聞いたらやっぱり普通ね」
「他の妖怪さん達と変わらないのね」
「至って普通よ、実は下半身だって出せるし」 
 またこの話になった。
「何ならここで出す?それとも呼ぶ?」
「ううん、そう言われても」
「ちょっと判断が」
 すぐに答えられない、二人はテケテケにこう答えた。
「下半身って呼ぶものなの」
「そうなの」
「私の場合はそうなの」
 あくまで彼女限定だというのだ。
「呼んで合体して普通の姿にもなれるのよ」
「普通というかそうなの」
「下半身と合体出来るの」
「ロボットアニメのロボットみたいにね」 
 笑顔で二人にこう話す。
「それが出来るのよ」
「その辺り妖怪って色々ね」
「その妖怪によって違うのね」
「そうよ、違うのよ」
 実際にそうだというのだ、テケテケ自身もこう言うのだった。
「首なし馬さんは合体出来ないけれどね」
「あっ、夜行さんの馬の」
「あの馬ね」
「あのお馬さんは身体は身体、首は首なのよ」
 それぞれ分かれているというのだ。
「一緒の顔だけれどそれでもね」
「合体して一つにはならないの」
「そうなの」
「そこが私と違うのよ、まあとにかくね」
 テケテケは二人にまた話した。
「あんた達がここに来たってことは」
「そうなの、ここも泉の候補地があるって聞いてなの」
「それで来たの」
「別に鉄女って訳でもないのね」
「電車には、あまりね」
「これといっては」
 二人はテケテケに同時に答えた。 
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