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八条学園怪異譚

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第三十七話 テケテケその一

                   第三十七話  テケテケ
 愛実と聖花が鉄道博物館に行くとその入口にだった、車椅子に座ったショートヘアの女の子がいた。
 中学生だろうか、短い髪にあどけない顔をしている。服は上はセーラー服で下はカーディガンをかけていてよく見えない、靴をはいた足は見える。
 だがその彼女は二人を見上げて笑ってこう言って来た。
「下半身はないからね、私は」
「じゃあその足も義足なのね」
「そうなのね」
「そう、下半身も出そうと思えば出せるけれど」
 だが今は、というのだ。
「力使わないといけないしそうしない方が私的には慣れてるから」
「だから車椅子なの」
「それに乗ってるの」
「そうよ、最近はこれで移動してるの」
 車椅子を使ってだというのだ。
「楽よね、這わないで済むから」
「ううん、足出せるの」
「それも出来るの」
「そうよ、口裂け女さんだってあの口普通にすることが出来るのよ」
 彼女にしろそうだというのだ。
「今はまだこっちには来てないみたいだけれどね」
「ここで待ち合わせしたんだけれど」
「あの人は来てないのね」
「ちょっとね、今ね」
 二人の横にいる花子さんが言って来た、日下部から話を受けて二人とテケテケを合わせたのである。
「小学生の子を驚かせようってしたのよ、ここに来る途中で」
「まさかそこでポマードって言われたとか?」
「それで逃げたとかなの?」
「ベッコウ飴投げられてそれに飛びついてね」
 こちらだった、口裂け女にとっては絶対の好物である。
「もうちょっとしたら来るから」
「もうちょっとなの」
「あの人が来るのは」
「そう、ベッコウ飴を舐めてからね」
 それからだというのだ。
「来るから」
「そうなの、じゃあ今は四人でお話して」
「それからね」
 二人は花子さんの説明を聞いて言った、そしてだった。
 あらためてテケテケを見てだ、こう言ったのである。
「そういえばあんたって色々言われてるけれど」
「事故で死んだとかいうけれど」
「ああ、あの話ね」
 テケテケも話を聞いてすぐに応えてきた。
「私が電車に轢かれて真っ二つになって死んだって話ね」
「そう、それで三十分位生きてたって」
「噂話をするとその人のところに出て来て足をもぎ取るっていうけれど」
「そういう話って本当?」
「どうなの?」
「私の話って北海道から出て来たけれどね」
 テケテケは二人に応えて自分の話をした、それは北海道からだった。
「北海道が幾ら寒くても傷口が塞がるってことないから」
「じゃあ三十分位生きてたっていうのは?」
「それ作り話なの」
「その辺り花子さんや口裂け女の姉さんと一緒よ」 
 テケテケは車椅子から花子さんを見て言う。
「おトイレで殺されたとか整形手術の失敗とかね」
「そういうのと同じなの」
「作り話なのね」
「そうなの、実際にそうした事故はなかったみたいだし」
 テケテケは二人にこのことも話した。
「私も気付いたらいて」
「それで今も生きてるの」
「そうなの」
 二人はテケテケの出生について納得した、確かに都市伝説としてはよくある話であり彼女も例外ではなかった。
 そしてだ、テケテケはさらに話すのだった。 
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