リリカルなのは 仮面の男
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第一話 仮面の男
第一話 仮面の男
高町なのはと自称『平凡な小学3年生』と一人の男の物語だった。
「海鳴か。懐かしいな」
バイクに跨った男は久しぶりの町並みに懐かしさを感じていた。
「さぁて。奴さんはまだ動いていないみたいだし。しばらくは情報でも集めるかね~」
そう言って男は駅前のある店に向かった。
一方なのはは塾の帰り、突然頭に響いた声のこと、そしてフェレットのことを考えていた。それを相談しようとして帰路に着こうとしたがふと翠屋の電気がついたままだった。普段ならもう閉店の時間なのになのはは入ることにした。
「あっなのは。今日は懐かしいお客さんが来てるわよ」
「え?」
桃子が笑顔を向けると、なのははカウンターに座っていた一人の青年を見た。その青年はなのは古い友人だった。
「あっ!一文字さん!」
「よっ!なのはちゃん」
青年、一文字隼人は翠屋のちょっと前までの常連だった。職業はフリーカメラマンでいつも使い込んだカメラを持ち歩いている。なのはにとって一文字は歳の離れた兄のような存在であり、また一文字も子供好きでよくなのはの面倒を見ていた。
「久しぶりだな。元気にしてた?」
「うん!一文字さんも元気だった?」
「ああ。やっぱり世界は広いな~」
なのはは一文字から世界中の話を聞くのが好きだった。フリーカメラマンとして世界を放浪としている一文字の話はなのはにとって魅力的な内容だった。
「桃子さん。コーヒーおかわり」
「はいはい」
桃子が一文字にコーヒーを差し出すと一文字はコーヒーを飲み始めた。
「やっぱりここのコーヒーは美味いな~」
「そう言うならケーキも食べてってくださいよ」
「そうそう。お前くらいだぞコーヒーだけ頼んでいくやつ」
「へいへいその内に」
「そう言えば一文字さん今日はどうしたんですか?」
なのはの疑問に一文字は。
「ん?俺はカメラマンだぜ。特ダネ在る所にならたとえ火の中水の中~」
なのはは相変わらず軽い一文字の言葉に安心していた。
「一文字。どうだい?久しぶりに組み手でも」
士郎が一文字に道場での組み手を申し出たが。
「いや勘弁してくださいよ。こっちはいつも素手なんですから」
「お前の格闘センスはたとえ竹刀を持っていてもハンデにはならんだろ」
等と冗談みたいな会話が繰り広げられているが、一文字は柔道六段、空手五段の武道派である。新聞社からは機動隊になったほうが良いのではないかとも言われたが本人曰く「ペンは剣より強し」のようだった。
「なら今度桃子をモデルに写真とってくれよ」
「おっとそいつはお断り。俺は女性専科じゃないんで・・・」
「ったく相変わらず固いやつだな~なのはの事は撮ってたくせに」
「ん~?俺は女性は撮らない主義だが、なのはちゃんの頼みとあっちゃあ断れないよ」
「このロリコン」
「「「ぷはっははははははは!!!」」」
とまあ数年前まで繰り広げられていた冗談の会話が成り立っている。
「それじゃ。ごっそさん」
「もう帰っちゃうんですか?」
「ああ!また顔出すよ」
そう言って一文字は翠屋を後にした。なのはは今日拾ったフェレットのことを話そうと思っていたのだが一文字はそそくさと去ってしまった。
(また今度話そう)
夜
一文字はバイクを走らせていた。理由は簡単、ある物の調査に赴いていたからだった。すると一文字の頭に何かが響いた。
(お願い・・・助けて・・・)
「なんだこれ?」
一文字は誰かに発せられているテレパシーのようなものを感じ取った。
(僕に少しだけ力を貸してください!)
「・・・・・」
すると一文字はバイクを反転させ来た道を戻った。テレパシーの場所を探るとそこは動物病院だった。そこで一文字はとんでもないものを見た。黒い怪物に追われるなのはだった。
「なのはちゃん!」
「あっ!!一文字さん!!」
一文字が咄嗟になのはを庇う様に怪物の前に出た。
「なのはちゃんどうしてこんなとこに?」
「その・・・何かに呼ばれて」
怪物が襲い掛かってきた瞬間一文字はなのはとフェレットを抱えて人間とは思えない跳躍をした。
「凄い・・・」
一文字の身体能力に唖然とするなのはだが。
「・・・逃げろ」
「え?」
「いいから逃げろ!!」
普段の陽気な一文字とは違いきつい口調で言われたため、なのはは咄嗟に隠れてしまった。
「ぐおっ!!」
怪物の一撃を受けた一文字は地面に叩き付けられた。あまりの衝撃に地面は陥没している。
「くっそ・・・あれがジュエルシードの・・・」
一文字は立ち上がると目の前に居る怪物と対峙した。
「ぐおあ!!!」
怪物の攻撃に思わず防御体制に入る一文字。
「これがジュエルシードの力か!!」
一文字が覚悟を決めたその瞬間。一文字は両腕を左に伸ばし、力を引き出す動きをとった。
「変身!!」
一文字の腰に巻きつけられていたベルトの風車が回転し凄まじい風を生み出した。
「なに!?この風!?」
なのはが目の前を見るとそこには一文字の姿は無かった。居たのは赤い拳に黒い仮面の戦士だった。
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